Vol.041 松本民芸家具があるカフェスペース(R5.2.21 文責:弘中)
新博物館の1Fにはカフェスペース(ドリンクコーナー)が設けられており、ドリンク等の販売を予定しています。このカフェスペースには松本民芸家具が設置されており、飲食や休憩等でご利用いただくことができます。
松本民芸家具はミズメザクラ等の素材や深い光沢のある塗装が特徴的な家具であり、国が定める伝統的工芸品の家具部門に「松本家具」として全国で初めて指定を受けました。松本民芸家具は昭和23年から製造が始まり、現在クラフトのまちとして栄えている松本のものづくり文化を支えてきた伝統工芸品の1つです。
窓際に配置されたウインザーチェアは、松本民芸家具を代表する製品です。
ゆったりとくつろぎやすいチェアやローテーブルなど、数種類のテーブル・チェアを設置しています。
新博物館がオープンした際には、伝統工芸やものづくりといった松本の文化が感じられるカフェスペースにもぜひお立ち寄りください。
Vol.040 文化財を虫・カビから守る(R5.2.14 文責:武井)
博物館資料をおびやかす要因は数多く存在しますが、その中でも一番身近な大敵といえるのが虫とカビです。
博物館資料などの文化財に悪影響を与える虫を「文化財害虫」と言います。これらの虫は文化財を食べたり、糞で汚したりと、資料に多大な悪影響を与える存在です。
日本の文化財は、木や紙、革、布といった有機素材のものが圧倒的に多く、文化財害虫による被害を受けやすい存在です。その上、温暖多湿な日本は昆虫の数が多く、動きも活発であるため、短期間で甚大な被害を受けるリスクが高いのです。
カビも文化財害虫と同じく、資料にとりついて汚染したり、内側に入り込んで材質を脆くしたりと、文化財に取り返しのつかない被害をもたらす存在です。
カビは気温20~30℃、湿度70%以上の環境で発育しやすいため、温暖多湿な日本では日常的に存在します。その上、多量の胞子を産出するため、飛散しやすく、短期間で大量に発生する危険性があります。
ホコリや汚れを養分とするので、清掃が行き届いていない場所ではよりカビ害のリスクが高まります。
こうした虫・カビによる被害を防ぐために、博物館では館内の温湿度を管理したり、収蔵庫入口に粘着マットを設置したり、定期的な清掃を行ったりと、さまざまな対策をしています。その対策のうちの一つが「燻蒸」です。
燻蒸とは、ガスで資料を燻して、文化財に害を与える虫やカビを駆除するための作業です。
博物館資料の中には、長年ほこりをかぶり、虫・カビ害を受けた状態で収蔵されるものも少なくありませんし、目が届かない部分に虫やカビが潜んでいる可能性もあります。そうした資料を安全な状態で収蔵庫に収蔵するために、燻蒸は欠かせない作業になります。
今回の博物館の引っ越しに伴い、松本市立博物館・旧館で大規模な燻蒸を実施しました。
休館となり空になった展示室に大きなビニールテントを建て、この中で資料を燻蒸しました。
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効率よく資料を燻蒸するために、さまざまな大きさの資料をまるでパズルを組むように入れていきます。
燻蒸で使用する薬剤は、紙や木には浸透していきますが、プラスチックやビニールを透過することができないので、プラスチック製の箱はわざとずらして重ねたり、ビニールに包まれている資料はその梱包を解いたりと、細やかな作業が必要になります。
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今回の燻蒸では、「ヴァイケーン」と「エキヒュームS」という二つの薬剤を使用しました。
ヴァイケーンは虫やその卵に効く薬剤で、ガスを24時間充満させることで、中にいる虫とその卵を退治することができます。ガスをテントに入れ込み、充満させ、ガスを外に放出するまでがおよそ3日間で完了します。
もう一つのエキヒュームSは、虫だけでなくカビにも効く薬剤です。ヴァイケーンよりも燻蒸時間が長く、ガスを外に放出するまでおよそ5日間かかります。
燻蒸剤の毒性は資料に残留しないため、一回燻蒸したら虫・カビが寄ってこなくなる、というものではありません。
燻蒸後も再度虫・カビが発生しないよう、日常的な管理を続けていくことが大切です。
Vol.039 ウィンドーギャラリーの取り組み(R5.2.7 文責:原澤)
現在、新しい博物館の南側の歩道が工事中のため、博物館の軒下の通路を通行できるように開放しています。博物館の軒下通路は約110mある長い通路で、そのガラス面の大部分は木の棚を設置したウィンドーギャラリー空間となっています。博物館の活動や松本の行事・産業・人のほか、地域や学校での活動成果など多様なテーマの展示を行っていくことを計画しています。

東側からみた軒下通路
博物館では、10月の開館に先行してこのウィンドーギャラリーを使い、分館の紹介や松本の伝統工芸品や名産品の紹介など、どのように活用していくか試行錯誤をしながら展示を行っています。

松本市立博物館の多彩な分館紹介

昭和レトロな学校備品(ラジオ)

松本の伝統工芸品・名産品(みすず細工)
これまで、四賀地区の仏像を借用した展示や松本てまりの作成に取り組んだ小学生の作品の展示を行うなど、ウィンドーギャラリーの活用の可能性について探ってきました。
今後も不定期ではありますが、展示の更新を行ってまいります。ぜひ足をお運びください。
Vol.038 博物館での体験ってなに(R5.1.31 文責:千賀)
ひと昔前の博物館といえば、展示を「観覧」する場所というイメージでしたが、最近では「体験」という要素が重要視されています。確かに、解説文を読み展示資料を見るだけよりも、自分で触れる・操作するといった体験要素があるほうが、関心が高まり理解が深まるとともに、なにより楽しいですよね。また、観光の志向も「モノ消費」から「コト消費」へと変化しつつあり、飲食や買い物だけでなく「そこでしかできない体験」に価値を求めるようになっているようです。
新博物館の展示にあたっても、どういった体験を提供すべきなのかを何度も議論し、実際にいくつかの博物館で最新のコンテンツを体験してみました。VRやAR、プロジェクションマッピングといった映像・デジタルコンテンツでは、クイズやゲームなど様々なシミュレーションを楽しめました。また、資料のレプリカに触れて、模様の複雑さや重量を感じるコンテンツもありました。
どれも楽しいものでしたが、導入に向けてはどうかなと思うところもありました。
ひとつは、すでに実施されているコンテンツを参考にしたところで、二番煎じになってしまい陳腐化してしまうことです。ほかの施設と似たことを実施しても「そこでしかできない体験」ではなく、それを目的に来る人はいないでしょう。また、デジタル技術の発展は著しく、せっかく導入しても数年後には時代遅れになってしまう可能性もあります。
もうひとつは、ゲーム的な「楽しさ」が博物館の体験の本質なのだろうかということです。ゲーム的なコンテンツは博物館の楽しさを伝えるための「手段」であり、大切なのは、そこで伝えたい本質は何かということです。
日々の業務を振り返ると、学芸員はいろいろな資料に触れています。例えば、4,500年ほど前の縄文土器に触れると、時空を越えて土器を作った縄文人と対話している気持ちになります。どんな資料でも、触ってみると「見た目よりも重いな」「この出っ張りは何だろう」「表面がザラザラしてるな」「ここに書いてある文字は…」など、多くの疑問と発見があります。疑問と発見を結び付けながら「資料と対話する=当時の使用者・製作者とつながる」ことは、とっても楽しいです。やはり本物に勝るものはありません。これこそ、博物館でしかできない体験だと考えます。
これを学芸員しかできないのは、もったいないですよね。もちろん、皆さんが資料に触れることで汚れや破損のリスクは高まるので、多くの博物館では本物ではなくレプリカを体験に使っているのだと思います。しかし、学芸員が立ち会いサポートすることで解決できるのではないでしょうか。また、学芸員との会話も生まれ、体験がさらに楽しくなるのではないでしょうか。体験を通して「資料との対話」と「学芸員との会話」を楽しんでもらうことは、博物館の敷居を下げることにもなります。機械任せではなく、博物館のヒト(=学芸員)とモノ(=資料)を楽しんでいただくことこそ、「松本市立博物館でしかできない体験」になればと考えています。
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ということで、前置きがかなり長くなってしまいましたが、現在、本物の資料に触れる体験プログラムを検討しています。それとともに、学芸員のトーク力もトレーニング中ですので、ぜひ、お楽しみにお待ちください。開館後は、「松本の博物館で本物の○○を触ってみたら…」なんて声が聞けるとうれしいです。
Vol.037 こども体験ひろば アソビバ!(R5.1.24 文責:高木)
新博物館の子どものための空間は展示室というより、触って、感じる体験型の広場を目指しています。世界的なコロナ禍の影響で、実際にさわって感じるという体験が難しくなってしまいました。それでもやはり、子どもから実際に体験する機会を奪ってはならないと感じています。子どもの遊びがすべてバーチャルになってしまったら・・・・・。そう考えると不安になります。子ども時代に五感を使って一生懸命遊んだ事が大人になってからの生きるエネルギーになるはず。新博物館では「あそびはまなび・まなびはあそび」をコンセプトに子どもたちに博物館の特別なあそび場を提供できればと思っています。それが「こども体験ひろば アソビバ!」です。
具体的には、松本にゆかりのあるモノ、昔の遊びなど24種類のおもちゃ箱をそろえた「まるはくコレクション」、松本のまちをかたどった大型マップをを使って自由にまちをつくっていく「まちをつくろう」、松本に生息する動物と背比べができる「まつもとのもり」、不思議な木にマグネットの野菜や果物を貼っていく「まつもとファーム」、県産材の積み木で自由に遊ぶ「つみきひろば」、木製のボールプールにてまりを入れた「てまりおんせん」。
どうでしょう。このラインナップをみてわくわくしていただけたでしょうか。
そして、この部屋のイラストを担当したのは松本で活躍しているイラストレーターの古荘風穂さんです。古荘さん自身、現在子育てに奮闘中ということで、子どもの気持ち、親の気持ちをダイレクトに感じ、表現に生かしてくれました。
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「こども体験ひろば アソビバ!」には古荘さんが描く、小さなまつもとの大きな世界が広がっています。
現在、すべてのアイテムが揃い、特別なアソビバ!が整いつつあります。その内容をこれから少しずつ紹介していこうと思います。
Vol.036 甲冑レプリカ贈呈式を実施しました(R5.1.17 文責:本間)
赤廣三郎氏より手作りの甲冑レプリカを寄贈いただいたため、1月5日に贈呈式を実施しました。
伊佐治教育長より赤廣氏への感謝状贈呈後、甲冑の歴史やレプリカ作成方法について懇談を行いました。
甲冑レプリカのクオリティは高く、精巧なつくりで展示も可能なレベルです。
しかし、強化プラスチックを用いて軽量化を図っているため、装着してもほとんど重さを感じず歩行に支障が無い程です。
博物館で所蔵している甲冑をもとに作成いただいたレプリカもあります!
ご寄贈いただいた甲冑レプリカは、新博物館で着付け体験用として活用予定です。
どのレプリカも本物そっくりにできているため、着付け体験をすることで体感しながら歴史を学ぶことができます。こうご期待ください。
また現在、新博物館のウィンドーギャラリーに、いただいたレプリカのうち3領を展示しています。是非足をお運びいただき、実物をご覧ください。
Vol.035 いよいよ搬入開始 ―収蔵資料の梱包と運搬 ―(R5.1.10 文責:大島)
旧博物館に収蔵されている資料はざっと12万点。1988年に行われたベータベースを基に随時、悉皆調査、燻蒸作業を経て、徐々に新館への資料の搬入が行われています。今回は、収蔵資料の「梱包」と「輸送」についてお話します。
梱包
まず資料の輸送に先立って行われるのは梱包作業。大切な資料を安全に運ぶための最初の作業です。コロナ禍において劇的に変化した生活様式に物流があげられます。ありとあらゆる物が直接自宅まで届けられます。その時、荷物が痛まないように適切な資材を用いて届けるための荷造りが「梱包」です。近年モノを包む梱包用資材も多様化しています。空気を利用した緩衝材エアーキャップ(プチプチ)などは、皆さんお馴染みではないでしょうか。
ここで注目してほしいのは旧館で運搬を待つ梱包された収蔵資料【写真1】。
白い紙で包まれているのが解るかと思います。この白い紙、実は日本発の優れもので「白薄葉紙」というものです。一定方向に強く、特性を利用しもう一方方向は簡単に裂けるため頑強な紙紐も現場で作ることができます。今では世界中の博物館や美術館で使用されているスタンダードな梱包材の一つなのです。
輸送
当館の中でも超ヘビー級の収蔵資料「蒸気ポンプ(大正2年)」。優に800㎏を超すと思われ、輸送は長年の実績と経験を積んだ専門業者6人で行われました。入念な事前打ち合わせにより作業手順が決定しました。運搬時のダメージを回避するため、木枠が組まれています。思い出したのは、以前立ち会った重要文化財である仏像彫刻の運搬のこと。この木枠はその時のノウハウが生かされていました。多様な資材と道具を駆使して、仏像に対峙する時と同じ心持ちで、輸送を遂行していただきました。この一連の作業は、大事な資料の安全の担保、資材の解体のしやすさに加え、再利用が可能なサスティナブルな資材が活用されていました。
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【蒸気ポンプ搬入】 博物館資料の運搬を扱う専門の作業員。服装にしても作業時にポケットのものが落ちて資料を痛めるリスクを避けるため、胸ポケットのない長袖のユニホーム、資料を汚さないため白手袋を着用。資料への気配りと、たくさんの道具を使い分ける技術力が求められます。 |
最後に、学芸員実習の際の「資料取り扱いの心得」について幾つか触れておきます。まず、資料の構造や状態について理解を深めることが前提です。
・どんな小さな資料でも必ず両手で行い、モノを扱うとき音を立てない。
・取り扱いは冷静に慌てないこと、一人で無理をしない(2人で組になって行う)。
・箱に入った資料を扱う際には箱の紐に頼らないで、底と側面をしっかり持つ。
そして何より大切なことは、歴史を刻んできた資料に「敬意」と「愛情」を持って接するようにと先輩から言われたこと思い出しました。
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【古文書を収蔵庫へ搬入】 古文書など紙資料は、酸性化を防ぐため中性紙箱を使用し保管します。調湿と防虫効果にも優れています。 |
「松本てまりプロジェクト」番外編 本郷小3年2組が初めて作ったてまり
12月上旬にウィンドーギャラリーにてまりを展示しました。本郷小学校3年2組の皆さんが総合学習の時間を使って制作したてまりで、28個の色とりどりのてまりが並びました。
今年度初めにお話を伺った際に、先生が「松本てまりプロジェクト」をご存知だったこともあり、ウィンドーギャラリーでの展示のお話をさせていただいたものです。
展示の際には特別に児童の皆さんにバックヤードに入ってもらい、自分でてまりを展示してもらいました。
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「松本てまりプロジェクト」では新博物館のエントランスホールを飾るシンボル展示物を市民参加で制作しましたが、市民と博物館をつなぎ、今まで以上に博物館を身近に感じてもらうことを目指す取り組みでもありました。プロジェクトをきっかけに松本てまりに興味を持つ市民が増えたことも成果の一つですし、このように市民が作ったものを博物館に展示できたことも、てまりが市民と博物館をつなげてくれたからだと思っています。
今後もてまりモビール制作のように市民が参加し、「私たちの博物館」と思っていただけるような事業を継続的に行っていきたいと思っています。
本郷小学校3年2組のてまりは令和5年1月末まで展示予定です。児童の皆さんが初めて作ったてまりをぜひご覧になってください。
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Vol.034 資料を安全な場所へ (R4.12.19 文責:福沢)
展示製作業務委託が先月に完了し、導入展示があるエントランスや展示室の準備が徐々に整ってきました。展示製作業務では展示ケースに実際に資料や解説パネルを並べ、安全に、見やすく資料を展示できているかを確認し、展示器具の調整などを行いました。
vol.030でも書きましたが、作ったばかりの展示ケースや展示器具は、使用された塗料や接着剤などから資料を劣化させてしまう汚染物質が出ています。もちろん、汚染物質の発生が少ない材料を使用し、その後も十分に換気し「枯らす」ことで、展示室内やケース内の汚染物質濃度が基準値以下であることを専門業者が測定を行って確認しています。
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ですが、資料を劣化させる汚染物質は、木質材料など長期間にわたり微量に出続けるものもあり、徐々にケース内に溜まってしまうことがあるので、確実に放出が終わり、安全な空気環境になるまで資料を展示することができません。また、夏季は放出が多く、気温の下がる冬季は放出が少ない傾向にあります。
きれいに展示した資料ですが、変色、腐食、破損から守るためには一度安全な空気環境である収蔵庫に戻す必要があるのです。
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確認のためにケースに並べた資料をきれいに包み直して保管します。 |
資料を劣化させる怖れが確実になくなるのは来年の夏以降のため、開館は令和5年秋となっています。
それまでは展示ができないため、皆さんに展示室をご覧いただくことはできませんが、今後も開館に向けて様々なイベントや情報発信を行っていきたいと思います。
Vol.033 展示を支える縁の下の力持ち (R4.11.28 文責:千賀)
博物館の展示室の主役は、もちろん展示資料です。でも、資料を展示するために欠かせないものが、展示ケースです。展示ケースがなければ、博物館の資料を展示することができません。
博物館の資料は、長い年月を経て今に残るものや精巧な飾りのついたものなど、非常に繊細で脆いものも多くあります。そのため、展示するためには展示ケースに入れて資料を守らなければなりません。では、何から資料を守るのでしょうか。それは、温度・湿度・有害ガス・紫外線などの大気に含まれるものから、地震や火災、事故や盗難といった災害など、資料を傷つける可能性のあるすべてのものから守ります。
展示ケースには絶対の安全性が求められます。ケース自身が有害なガスを発していないか、また、ケース内に外気が入ってこないかなどを測定し、基準を満たしているかどうかを確認します。それとともに、実際に資料を展示して開閉時の操作性や展示台の安定性などの確認も必要です。
一方で、展示ケースはただ資料を守るだけではなく、来館者がストレスなく資料を見ることができることも大切です。そこで、仮展示の作業では、資料を展示する高さや角度、ガラス面からの距離などを細かく調整しながら、解説パネルとの位置関係や照明の当て方を決めていきます。
資料を保存することだけを考えると、本当は安全な環境が維持された収蔵庫でゆっくりと休んでもらうことが良いのですが、皆さんに見てもらうこと(=展示)も博物館資料の重要な仕事です。しかし、展示は、収蔵庫から出すため資料にとってはリスクを伴います。そのリスクを最小限に抑えながら、来館者には最大限に満足してもらうという、2つを両立させる役割を展示ケースは担っています。
でも、そんな重要な役割をもっていながら、展示室ではできるだけ存在を消さなければなりません。まさに展示を支える縁の下の力持ちです。
今回製作した展示ケースは、こうした困難なミッションを果たしうる、全幅の信頼をもって大切な資料を預けられるケースになったと思います。展示室に来られた際は、もちろん展示資料を見ていただきたいですが、展示ケースのことも少しだけ気にかけていただけると、うれしいです。