Vol.005 本物に触れる(R3.3.24 文責:千賀)
旧梓村(梓川地区)で明治33年(1900)から使用された消防ポンプ。手押しのポンプを台車に載せて火災現場に向かう、100年前の消防車です。新博物館の展示資料調査として、5月の新型コロナ対策の臨時休館期間に実物を使って放水実験をしました。台車からポンプを降ろし、ホースをつなぎ、水を入れてレバーを押すと勢いよく水が噴射し、実験は大成功でした。
しかし、準備から放水までに30分もかかり、4人の男性職員でもあっという間に体力がなくなり、レバーを押し続けることができませんでした。これが木造住宅の多い当時の火災現場だったらと思うと…。当時の消防組員の技術と体力の高さを改めて実感しました。
貴重な資料を適切に保管することは重要ですが、それと同じくらい、「本物」に触れることで資料の構造や昔の人の暮らしぶりを体感することも大切です。新博物館では、資料を展示するだけでなく、イベント等で「本物」に触れる体験をしてもらいたいと考えていますので、お楽しみに!
【終了しました】再開! ミニパネル展示「松本市立博物館のこれまで、そして、これから」
松本市立博物館では、現在の建物とともに歩んだ活動の記録と新博物館の情報などを展示するミニパネル展示をロビーにて3月18日まで開催。多くの来館者のみなさまに楽しんでいただきました。
この度好評につき、展示エリアを移動して、同パネル展示を3月末の閉館まで再展示します。
会期
3月24日(水)から3月31日(水)まで
会場
松本市立博物館 2階特別展示室
開館時間
午前8時30分から午後5時まで
(入館は午後4時30分まで)
観覧料
無料
※come(calm) to matsumoto キャンペーン中につき、松本市立博物館内すべての展示室を無料で観覧いただけます。
お問い合わせ
松本市立博物館
〒390ー0873 長野県松本市丸の内4番1号
電話:0263ー32ー0133 FAX:0263ー32ー8974
✉この担当課にメールを送る
Vol.004 レトロ玩具「すごろく」(R3.3.16 文責:高木)
新しい博物館では「あそびはまなび」というコンセプトで、博物館でしかできないこどもの体験ひろばを設けます。体験を通して、こどもたちが楽しい時間を過ごすことはもちろん、保護者にとっても発見の喜びが共有できる、そんなモノを探しています。そこで、まず、昔の玩具に焦点をあててみました。今回は双六(すごろく)について紹介します。
この双六は昭和12年に「信濃日報社」が制作した「商売繁栄双六」です。現在でも続く松本の老舗の商店名が読み取れますので探してみてください。双六には遊びながら物の名前を覚えるという教育的側面がありましたが、こんな風に宣伝としても使われていたことがわかり、当時の風俗を語る歴史資料ともなっています。
他に「幼年行事双六」「乗り物双六」などが体験アイテムの候補にあがっています。
双六は明治後半より、少年少女雑誌の正月号の定番となり普及していきました。「振り出し」から「上がり」まで、サイコロを振って駒を進める単純な遊びが、お正月という、家族の時間の一コマを作っていたのかもしれません。それももう、昭和のノスタルジーでしょうか。新博物館の展示製作はひとつひとつしっかりと駒を進めているところです。
Vol.003 新博物館の常設展示室の構成について(R3.3.10 文責:福沢)
今回は、新博物館の常設展示の構成についてご紹介します。
皆さんも博物館に行かれたときに、旧石器時代や縄文時代から江戸時代または現代まで、古い時代から順番に地域の歴史を見ていく展示をご覧になったことがあるかと思います。
新博物館では、時代順の展示方法ではなくテーマごとの展示で皆さんをご案内します。
松本には多様な文化・自然遺産があり、これらを大切に守ってきた人々もまた松本の特徴です。松本の多様な魅力を知るための8つのテーマにより、皆さんに様々な視点から松本を知っていただく展示構成となっています。
一部をご紹介しますと、松本のシンボルの一つ松本城。そして江戸時代から商業の中心地であり、今のまちにもつながる商都松本。美ケ原や上高地に代表される自然豊かな山々。などの松本を知るうえで重要なポイントからテーマを設定しています。
どのテーマに一番興味をもっていただけるかは、ご覧いただく皆さんそれぞれですが、テーマごとに担当する学芸員の特徴が出てきていますので、楽しみにしていてください。
Vol.002 博物館基幹博物館建設担当のご紹介(R3.3.1 文責:堀井)
今回は、どんな人たちが、新しい博物館をつくっているのかをご紹介します。
令和2年度は、博物館の中に新しい博物館をつくるための担当が置かれ、職員7名が配置されています。課長、係長(1級建築士の技術者)、事務職員と、学芸員が4名です。
それぞれ、建築工事の監理や来館者が使う備品の検討などを行って、新しい博物館の姿を具体化する仕事をしています。
学芸員はというと、新しい博物館の展示をどうするかを日々検討し、展示製作業務の受注者と協議をしながら、展示製作の細部を詰めています。
学芸員4名それぞれ特徴があり、「現実派」「感覚派」「理念派」「熟考派」と、かなりタイプが違います。意見の違いもあり、激論が交わされる日もありますが、多様な来館者の方にお楽しみいただく展示づくりに向け、日々業務に励んでいます。
松本市立博物館休館に伴うお知らせ
松本市立博物館の移転新築に伴って、下記の期間、休館いたします。
ご迷惑をおかけしますが、ご理解を賜りますようお願いいたします。
休館期間
令和3年4月1日(木)~令和5年秋【予定】
※休館期間中、館内観覧はできません。
資料の特別観覧および貸出
移転に向けた作業に伴い、当面の間停止といたします。
お問い合わせ
松本市立博物館
〒390-0873 長野県松本市丸の内4番1号
電話:0263-32-0133 FAX:0263-32-8974
E-mail:mcmuse@city.matsumoto.lg.jp
Vol.001 展示ができるまで(R3.2.15 文責:千賀)
博物館の展示を考える学芸員。学芸員といえば、部屋にこもって古文書を読んだり古い物を調べているイメージがあるのではないでしょうか。それも、学芸員の仕事の一部ですが…
今回の新博物館の展示をつくるためには、できるだけ多くの“場所・もの・できごと”を実際に現地に行って調査することを大切にしています。それは、現地で見て驚いたものや感動したものこそ、展示室でご覧いただくみなさんに驚きと感動をお伝えできると考えるからです。松本には、豊かな自然・歴史・文化が現地に残されています。展示を見たみなさんに、「現地に行ってみたい!」と思い実際に見て感動してもらいたい。そんな想いで、学芸員は松本中を飛びまわっています。
Vol.000 ロビー展示「これまで、そして、これから」展のお知らせ(R3.2.8 文責:堀井)
今回のコラムは、「展示ができるまでの物語」の視点でお届けします。
標記のミニ展示を松本市立博物館の1階ロビーで、3月7日(日)まで開催しています。こうした展示は、みなさんにお披露目されるまでの間、どのようにできていくのでしょうか。大きくは、企画→資料選定→解説原稿作成→展示作業という流れです。
まずは企画・立案です。誰に、どんなことを、どんな風に伝えたいかをイメージしながら企画を練ります。今回は「卒業アルバム」を展示コンセプトとしてイメージし企画しました。
次は、実際に展示する資料を選びます。今回はパネル展示なので写真を選びますが、「アルバム」がコンセプトなので、博物館で実施してきた色々な行事の様子をピックアップするようにしています。
資料の選定にあわせ、その資料に語らせるメッセージを考えます。これが、博物館の展示で「解説」や「キャプション」と呼ばれるものです。今回は、パネルの中に一言コメントを入れています。
資料の選定・解説原稿ができれば、いよいよ展示作業です。出力した写真紙を片面に糊がついたパネルに貼り付け、展示パネルを切り出して作っていきます。展示パネルを壁にピンで打ち付けて設置することで、今回のパネル展が「一旦」完成します。それぞれの作業の中に、学芸員のこだわりが見え隠れするのですが、それは今後のコラムのお楽しみにとっておきます。
さて、わざわざ「一旦」完成と書いたわけですが、皆さんは卒業アルバムに、同級生から寄せ書きをしてもらいませんでしたか?今回の展示、実は皆さんからのコメントを寄せていただく、参加型のイベントを行っています。「博物館が展示をつくる→来館者が展示を見る」という一方向のものではなく、双方向の展示になっています。会期が進むにつれて「変化していく展示」、皆さんもぜひ、ご参加ください。