建設地の定点撮影(2021年5月6日)
今日は撮影のために現場に行くと、敷地南西側で何やら人だかりが…。何かと思ってよく見ると、建物を支える柱を立てていました。柱だけで本当に自立してました!詳しくは、また展示コラム(博物館の展示ができるまで)で紹介したいと思いますが、職人さんの技が凝縮されていて感動しました。
アートプロデュース土屋・小松氏の現地視察 2021.4.20
松本てまりプロジェクトのアートプロデュースを引き受けてくださった土屋氏、小松氏が、新松本市立博物館の建設現場や地元木工業者を視察しました。世界的に活躍する公共彫刻家の土屋氏ですが、実際にお会いして、とてもエネルギッシュで魅力的な方だと感じました。プロジェクトを始めるにあたって、まずは松本の街を好きになってもらいたいと願っていましたが、移動するたびに「松本いいね!」と何度も言ってくださり安心しました。
まずは、小松氏作成の試作品を博物館講堂の天井から吊るして確認しました。てまりを持っているのが小松氏で、数々の賞している新進気鋭の美術家です。東京から部品を運び、その場で組み立ててくれました。博物館の狭い講堂の中でも十分に美しく、完成がさらに楽しみになりました。
まずは、小松氏作成の試作品を博物館講堂の天井から吊るして確認しました。てまりを持っているのが小松氏で、数々の賞を受賞している新進気鋭の美術家です。東京から部品を運び、その場で組み立ててくれました。博物館の狭い講堂の中でも十分に美しく、完成がさらに楽しみになりました。
松本民芸家具の工場にて、てまりを乗せる木工バーをどのように作れるか相談し、椅子の上にてまりを置いて、木の色とてまりの相性などを検討しました。
次に、柳澤木工所に行き、木の種類と重さの検討などを相談しました。松本民芸家具も柳沢木工所も松本の民芸運動を担った老舗の木工所です。
今回制作するてまりモビールは、とことん松本らしさにこだわりたいと土屋氏が提案してくれました。お二人ともに、この視察を通して、松本の良さを生かす作品作りの足がかりをつかんだようでした。
Vol.008 レトロ玩具「かるた」(R3.4.23 文責:高木)
双六は楽しく遊びながら学べる、まさに、新博物館が目指す子どもの空間にぴったりだと前回のコラムに書きました。今回は「かるた」についてです。
かるたも双六と同様に歴史は古く、ポルトガル語の「Carta」が語源になっています。昭和初期にはお正月遊びの定番として人気がありました。種類も豊富ですが、最も有名なのは「犬棒かるた(いろはかるた)」でしょうか。「負けるは勝ち」「油断大敵」「楽あれば苦あり」「泣きつらにハチ」など今でも使えることわざの宝庫です。
かるたについて調査を進めるなかで見つけたのが「少国民カルタ」です。
昭和17年(1942)10月発行で、この年には「欲しがりません勝つまでは」が流行語となって
います。アンネフランクが日記を書き始めた年でもあります。
かるたには教育的側面もあると話しました。
しかし、この読み札と絵札を見ると胸が痛くなってきます。
どんな時代にあっても、大人は子どもの遊びに責任を持つべきです。
新博物館では子どもの遊びについてしっかりと考えなければと、このかるたを見て思いを新たにしました。
てまり制作体験 2021.4.12
てまりプロジェクトを進めるにあたり、自分たちがまず、てまりを作ってみようということになりました。伝統的な松本てまりを完璧に作るのはかなりハードルが高いということで、初心者向きのてまり作りを体験します。まず、中町の「手仕事商會すぐり」で開催しているワークショップにお邪魔し、特別に土台まり作りを体験させていただきました。
まず色選びから始まります。美しいグラデーションの無数の色糸の中から探すのはとても楽しい時間です。次に、もみ殻を芯にしてひたすらくるくると糸を巻いていきます。出っ張っているところを押さえながら段々ときつく巻いていき、下地が全く見えなくなったら出来上がりです。ほどけないように糸の処理をすれば、可愛いまんまるてまりに。およそ20分間、無心で糸を巻くのはどこか魔法めいた不思議な時間でした。
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次に、松本市立博物館分館の歴史の里で松本てまり制作体験の講師をしている鈴木さんに、地まりの作り方、地割の仕方、かがり方などを教えてもらいました。
鈴木さんは簡単に作れる方法を考えたり、てまりでこけしを作ったり、様々なアイデアを持っていて、てまり作りを本当に楽しんでいました。
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今回、2種類のてまり制作体験を通して、松本てまりといっても作り手によって素材や技法に違いがあることが良くわかりました。おそらく江戸時代にも、その家庭ごとに異なる素材、作り方があったはずです。今後も、作り手のそれぞれの思いを尊重して、てまりプロジェクトを進めていきたいと思いました。
Vol.007 縁の下の力持ちは美しい。(R3.4.12 文責:三木)
いつもは「建設地の様子から」で工事現場についてご覧いただいていますが、今回は展示コラムに出張し、建築工事の様子を紹介してみたいと思います。
新博物館は『鉄筋コンクリート』の建物ですが、『鉄筋』は完成すれば隠れてしまう事から、一般の方が普段目にすることはないと思います。そこで今回は、建物を中から支える『鉄筋』に焦点をあててみました。
建物基礎の鉄筋を組み立てている様子です。鉄筋の太さの違いに注意しながら、設計図通りに組み立てるのはまさに職人技。
水道や空調の管が通るための穴の位置も、この時点で正確に設置しなければなりません。
鉄筋の一本の長さは、運搬の都合上長くても5mほどですが、博物館の基礎はもっと長いので、鉄筋をつなげて一本化します。
専用のガスバーナーで鉄筋を1,000℃以上に加熱し、一体化します。専門用語で『ガス圧接』と言います。
建物基礎鉄筋が組みあがった状態です。見えなくなるのが残念なほどの出来栄えです。
この後、型枠を組み上げコンクリートを流し込み『鉄筋コンクリート』の基礎となっていきます。
この工事現場では、鉄筋工事以外にも1年間で延べ7,000人以上の職人さんが活躍されています。今後も工事のいろいろな様子をお知らせしますので、お楽しみに!
Vol.006 人の思いを共有する(R3.4.2 文責:堀井)
松本市立博物館は移転新築のため、3月31日をもって閉館(一時休館)しました。Vol.000のコラムでは、この地での歩みを振り返るミニパネル展示を紹介しました。どんな「思い出の花」が咲いたのでしょうか。
多くの皆様の協力で、日々進化する展示が実現できました。ありがとうございました。実はこのインスタレーション、新博物館の常設展示に取り入れるための実験的な取組みでした。
その名は「ユアオピニオン」。博物館の展示を「館から来館者へ」の一方向のものから、「来館者から館へ」「来館者から来館者へ」という、双方向・交流に発展させていくことを目的にしたものです。
今回のパネル展の成果を踏まえ、新博物館の展示をより良いものにしていきます!
建設地の定点撮影(2021年4月1日)
令和3年度に入りました。今年度は、敷地西側から徐々に建物の姿が見え始め、年度末には建物外観がほとんど完成します。新築工事施工者によるホームページでは、AR技術を活用した建物完成パースを公開しています。こちらもぜひご覧ください。
Vol.005 本物に触れる(R3.3.24 文責:千賀)
旧梓村(梓川地区)で明治33年(1900)から使用された消防ポンプ。手押しのポンプを台車に載せて火災現場に向かう、100年前の消防車です。新博物館の展示資料調査として、5月の新型コロナ対策の臨時休館期間に実物を使って放水実験をしました。台車からポンプを降ろし、ホースをつなぎ、水を入れてレバーを押すと勢いよく水が噴射し、実験は大成功でした。
しかし、準備から放水までに30分もかかり、4人の男性職員でもあっという間に体力がなくなり、レバーを押し続けることができませんでした。これが木造住宅の多い当時の火災現場だったらと思うと…。当時の消防組員の技術と体力の高さを改めて実感しました。
貴重な資料を適切に保管することは重要ですが、それと同じくらい、「本物」に触れることで資料の構造や昔の人の暮らしぶりを体感することも大切です。新博物館では、資料を展示するだけでなく、イベント等で「本物」に触れる体験をしてもらいたいと考えていますので、お楽しみに!
【終了しました】再開! ミニパネル展示「松本市立博物館のこれまで、そして、これから」
松本市立博物館では、現在の建物とともに歩んだ活動の記録と新博物館の情報などを展示するミニパネル展示をロビーにて3月18日まで開催。多くの来館者のみなさまに楽しんでいただきました。
この度好評につき、展示エリアを移動して、同パネル展示を3月末の閉館まで再展示します。
会期
3月24日(水)から3月31日(水)まで
会場
松本市立博物館 2階特別展示室
開館時間
午前8時30分から午後5時まで
(入館は午後4時30分まで)
観覧料
無料
※come(calm) to matsumoto キャンペーン中につき、松本市立博物館内すべての展示室を無料で観覧いただけます。
お問い合わせ
松本市立博物館
〒390ー0873 長野県松本市丸の内4番1号
電話:0263ー32ー0133 FAX:0263ー32ー8974
✉この担当課にメールを送る
Vol.004 レトロ玩具「すごろく」(R3.3.16 文責:高木)
新しい博物館では「あそびはまなび」というコンセプトで、博物館でしかできないこどもの体験ひろばを設けます。体験を通して、こどもたちが楽しい時間を過ごすことはもちろん、保護者にとっても発見の喜びが共有できる、そんなモノを探しています。そこで、まず、昔の玩具に焦点をあててみました。今回は双六(すごろく)について紹介します。
この双六は昭和12年に「信濃日報社」が制作した「商売繁栄双六」です。現在でも続く松本の老舗の商店名が読み取れますので探してみてください。双六には遊びながら物の名前を覚えるという教育的側面がありましたが、こんな風に宣伝としても使われていたことがわかり、当時の風俗を語る歴史資料ともなっています。
他に「幼年行事双六」「乗り物双六」などが体験アイテムの候補にあがっています。
双六は明治後半より、少年少女雑誌の正月号の定番となり普及していきました。「振り出し」から「上がり」まで、サイコロを振って駒を進める単純な遊びが、お正月という、家族の時間の一コマを作っていたのかもしれません。それももう、昭和のノスタルジーでしょうか。新博物館の展示製作はひとつひとつしっかりと駒を進めているところです。