火起こし体験解説

※スマートフォンだとうまく表示されないようです。適宜拡大してご覧ください。
 
 考古博物館では、まいぎり式の方法で火起こし体験を実施しています。
道具は画像の一式を用意し、周りに何もないことを確認して行います。(数組で行う場合は互いに距離をとって行うようにしましょう。)

道具一式

道具一式

1.火きり棒にヒモを巻き付け、棒の先を受け皿の小さいくぼみに合わせます。持ち手を下げ、回転をさせます。
持ち手を下げる際に力を入れ、下まで降りたら力を緩めます。ヨーヨーのように、ヒモは下におろすと伸びますが反動で自動的に棒に巻き付きます。ヒモが巻かれる勢いで持ち手は上に上がる力が働きます。(この時に無理に上にあげようとするとヒモは棒に巻き付かなくなり回転が止まってしまいます。)
この動作をひたすら繰り返します。

臼に軸棒を当てている様子

臼に軸棒を当てている様子

軸棒を回転させている様子

軸棒を回転させている様子

2.棒の先と受け皿には回転によって摩擦が生じます。この摩擦によって受け皿のくぼみが削れていき、木の粉が出てきます。さらに摩擦熱が木の粉に移ることで火の赤ちゃんでもある“火種”が出来上がります。
(木の粉から煙が出てくれば火種ができている合図になります。一緒にやる方に見ていてもらいましょう。摩擦熱が生じているので回転している部分からも煙が出ますが火種の煙と間違えないように気を付けてください。また、大変熱く(約600℃)なっているので触らないようにしましょう。)

木の粉が出てきている様子

木の粉が出てきている様子

出来上がった火種

出来上がった火種

3.火種は、麻ヒモをほぐして作った火口(ほくち)に優しく移し、軽く包みます。

火種を火口に移す様子

火種を火口に移す様子

火種を包んでいる様子

火種を包んでいる様子

4.軽く包んだ麻を竹ばさみでしっかりと掴み、腕を大きく振ります。
(竹ばさみで火種をつぶさないように、火口の中心をずらして掴みます。)

竹ばさみで掴んでいる様子

竹ばさみで掴んでいる様子

腕を振り空気を送り込んでいる様子

腕を振り空気を送り込んでいる様子

5.火口に空気を送りこむことによって火種が大きくなり、火がつきます。
(火がつく前は煙の量が大きくなります。しっかりと火口を見て腕を伸ばすようにしてください。また、火がついたら腕をちょっと上に向けます。びっくりして腕を下げてしまうと火は自分の体のほうに上ってきてしまいやけどの原因となってしまいます。)

火がつきました

火がつきました

安全のため水の中へ

安全のため水の中へ

 

当館では、このような要領で火起こし体験を実施しています。
考古博物館での体験はもちろんのこと、小学校やその他施設での出前講座や道具の貸出を行っております。お気軽に考古博物館までご連絡ください。

考古博物館ニュース⑤ 考古博物館の体験紹介(火起こし編)

 考古博物館では、いくつか体験を用意しています。
 勾玉作りや火起こし、弓矢飛ばしといった古代体験のほか館内にも土器パズルなどのミニコーナーを設けています。
 今回は、火起こし体験に焦点を当てて紹介します。

火の大切さを知ろう!火起こし体験

 普段から来館者の方や小学校などの見学で多くの方に体験をしてもらっていますが、この火起こし、実はちょっと難しいんです。
 小さいお子さまには難しく、小学校5・6年生くらいになると筋力と集中力がついてきて火をつけられる子が増えてきます。大人でもコツを掴むまでに時間がかかり苦戦する方もいます。当然ながら天候の悪い日には雨風の影響もあり、火はつきにくくなってしまいます。
 この体験を通じて「ライターやマッチがない時代に火をつけることがいかに大変だったか」「火が、いかに人間の生活で欠かせないものなのか」を学び感じてもらえれば幸いです。また、火はとても危険なものということも知ってもらいたいと思います。

火起こし体験の様子

火起こし体験の様子

 火起こし体験の方法については解説ページ作成しましたので、こちらからご覧ください。

火と人間の歴史

 大昔、落雷による火事などの自然発生したものから人間が利用し、その後火を作ることができるようになり、自由に火を使うことができるようになりました。
 火を使うことで、①食材を調理(食の幅が広がり食料の保存期間が延びた)すること、②暗い夜にも行動できるようになったこと、③寒い日に暖をとること、④獣から身を守ることといったことができるようになり生活する上で大変欠かせないものとなりました。
 しかし一方で、火にはとても危険な一面もあります。一度つくと燃焼物がなくなるまで燃え続け、燃え広がった火を消すのは容易なことではありません。住居などの生活空間の焼失や人間や生き物の命を奪う恐ろしいものです。
 火はとても大切なものですが、その危険性を十分に理解し、取扱いには注意しましょう。

火起こし体験時に使用する火の説明パネル

火起こし体験時に使用する火の説明パネル

<夏休み特別体験講座のご案内>

様々な体験を行っていますが、今年は夏休み期間に合わせ、新しく実施する体験講座もありますので紹介します。
(夏休み体験講座の詳細につきましては、こちらのページをご確認ください。)
この機会にぜひ考古博物館に遊びにきてください。

耳飾りマグネット作り
紙粘土を型にはめ、耳飾りなどの形のマグネットを作ってみるというものです。小さいお子さまにも簡単に作れるものとなっています。
紙粘土には水性の絵の具で着色をするので、自分だけのマグネットを作ってみましょう!

ランタン作り
七色に光るランプの周りに紙粘土をつけ、土器やはにわの形にしてみましょう。
細かい作業の部分もありますが、こちらも小さいお子さまにも作れるものをなっています。

※ともに要予約・人数制限あり。

考古博物館ニュース④ 学芸員のおすすめ資料

銅製三尊仏像

 銅製三尊仏像は、高さ9.8㎝、幅8.2㎝で、1本の茎(なかご)から分かれた3本の茎上部に座像が作られています。当初は、錫杖(しゃくじょう)の頭部ではないかと考えられていましたが、錫杖頭部に特徴的な円形の輪型がないことから、念持仏として台上に安置されたとも考えられています。

銅製三尊仏像

銅製三尊仏像

三尊仏彫刻の石製硯

 三尊仏彫刻の石製硯は、縦約6.8㎝、横約3.8㎝、厚さ1.5㎝の小型の石製の硯です。裏面には、三尊仏の彫刻があり、塼仏(せんぶつ)の型になっています。
 塼仏とは、仏像が浮き彫りになるように作られたものです。この硯は、そのための型として利用され、これに粘土をつめて三尊仏像を作り、焼きかためて製品にしたと考えられます。

三尊仏彫刻の石製硯

三尊仏彫刻の石製硯

平瀬遺跡

 上記2資料は松本市島内地区の北部に位置する「平瀬遺跡」から出土しました。
 鎌倉時代の文献に、「信州平瀬法住寺(ほうじゅうじ)」という寺院が記されており平瀬遺跡は「法住寺」に関連するものではないかと考えられていました。
 発掘の結果、寺院の建物跡は確認されませんでしたが、上記の資料や布目瓦など寺院に関連する遺物が発見されました。そのため、平瀬遺跡は、法住寺に何らかの関係のある集落であったと考えられています。また、古墳時代の住居跡も発見されました。これにより、島内地区の平地部でも、古代から人々の生活が営まれていたことがわかりました。

 

コラムクイズ

平瀬遺跡のある松本市島内。同じ島内地区内の北方遺跡から出土した目を惹く遺物はなんでしょう?

3つの中から選択してください

夏休み体験講座の開催について

考古博物館では、7月23日(金・祝)から8月9日(月・祝)の期間に
夏休み体験講座」を開催します。

この体験講座は、複数の体験を実施日と時間をわけての開催となります。各回ごと人数の制限を設けさせていただきますことご了承ください。

※当館でも感染対策をしての実施となりますが、来館者様もマスクの着用など感染対策にご協力ください。
※申込みの際は「体験講座名」「実施日」「時間」をお確かめの上ご連絡ください。
※新型コロナウイルス感染拡大防止対策のため、中止となる場合がございます。

➀ 弓矢作り体験 (募集定員に達しました。)

実施日:7月23日(金・祝)から7月25日(日)までの3日間
時 間:10:00~12:00の1日1回
定 員:各日先着5人
参加費:500円
受付開始:7月9日(金)9時から電話にて(0263-86-4710)

➁ 耳飾りマグネット作り講座 

マグネット

内 容:紙粘土を型にはめ、耳飾りなどの形のマグネットを作ります。小さいお子さまにも簡単に作れるものとなっています。
紙粘土には水性の絵の具で着色をするので、自分だけのマグネットを作ってみましょう!
実施日:7月27日(火)から8月1日(日)までの6日間
時 間:10:00~10:30 10:30~11:00 11:00~11:30
    13:30~14:00 14:00~14:30 14:30~15:00の1日6回
定 員:各回先着2人
参加費:200円
受付開始:7月16日(金)9時から電話にて(0263-86-4710)

➂ ランタン作り講座 

ランタン

内 容:七色に光るランプの周りに紙粘土をつけ、土器やはにわの形にしてみましょう。
細かい作業の部分もありますが、こちらも小さいお子さまにも作れるものとなっています。
実施日:8月3日(火)から8月9日(月・祝)までの7日間
時 間:10:00~11:00、14:00~15:00の1日2回
定 員:各回先着6人
参加費:300円
受付開始:7月21日(水)9時から電話にて(0263-86-4710)

※中止 あがたの森考古学ゼミナール(7月10日、17日)

長野県では、6月5日から全圏域の感染警戒レベルを4から3とし、「特別警報1」から「警報」に切り替えましたが、全国的には、緊急事態宣言が発令されている地域もあることから、松本市では、当面の間、「警戒期」を継続することとし、感染拡大への警戒を続けることとなっており、このことから「あがたの森考古学ゼミナール」を中止とします。

企画・準備などにご協力いただいた関係者の皆さん、楽しみにされていた皆さんには申し訳ありませんが、安心・安全を第一に考えた結果ですので、ご理解いただきますようお願いします。

発掘された松本2020➇ 「松本城北門跡確認調査」

松本城北門跡確認調査

 本調査は、調査地を古地図と照らし合わせたところ、松本城北門跡付近であることがわかったため、北門の遺構が残存しているかを確認するために実施した調査です。
 北門は、松本城三の丸北東隅に位置しており、現在ある南北の道をまたいであげられた櫓門で、お城の北側に住んでいた武士たちがお城に勤めに出かけていくときの通用門と考えられています。門の両脇には土塁が続き、進入や視界を防いでいました。門の内側には番所が設けられていました。

絵図で見る調査地

絵図で見る調査地(クリックで拡大します)

  調査の結果、門跡にかかる遺構(石垣や礎石など)は見つかりませんでしたが、土塁と考えられる盛土を確認しました。盛土の下部は、地盤沈下しないように礫で補強されており、上部は土質の違う土を混ぜ突き固めた版築土が構築されていました。また、調査地北部で、土塁の裾部を確認することができました。

盛土の様子

盛土の様子(クリックで拡大します)

 

コラムクイズ

松平直政公が松本城主であった期間に、松本城北門よりも北側に整備された町は何という名でしょうか。(現在は旧町名として名が残っています。)

3つの中から選択してください

発掘された松本2020➆ 「県町遺跡第21次」

県町遺跡第21次調査

 県町遺跡は、あがたの森公園周辺を中心とする、東西・南北ともに約700mという広い遺跡です。
 今回の調査は、道路拡幅に伴う東西140mという細長い範囲で、遺跡内での遺構分布の広がり方の変化がわかりました。中心部に近い東側では密度が高く、狭いB地区(約200㎡)では、弥生時代から中世までの建物跡が8軒見つかっています。対して広い西側のA地区(約560㎡)では密度が低く、建物の跡はありませんでした。それでも弥生時代以降氾濫を繰り返してきた薄川の氾濫の跡を確認しました。
 見つかった生活の跡は弥生時代から古墳時代、平安時代、中世と続いており、さらに現在に至るまで2000年近く人々の暮らしの営みが続いてきたことがわかりました。

調査地全景

調査地全景(クリックで拡大します)

 

コラムクイズ

日本における紀元前10世紀前後から紀元後3世紀中頃までの時代を弥生時代とよんでいます。
では、弥生時代の「弥生」とは何を意味しているでしょうか。

3つの中から選択してください

発掘された松本2020➅ 「県町遺跡第20次」

県町遺跡第20次調査

 県町遺跡は、あがたの森公園周辺にひろがる弥生~平安時代を中心とした大規模な複合遺跡です。
 第20次調査では、あがた運動公園西端~南端の駐車場内の発掘を行いました。調査範囲は幅2m弱ですが、第1面では古墳~平安時代の遺構・遺物を確認し、中には床面付近に遺物が集中的に出土した竪穴建物址がありました。第2面では弥生時代の遺物を含む黒色土や土坑などが見つかりました。
 弥生時代の痕跡は調査範囲の南西部にのみ認められ、北側では砂礫層が深くまで堆積していることがわかりました。この砂礫層は薄川の氾濫によるものと考えられ、洪水で当時の地表面が削られたものと推測できます。砂礫層は調査区の広い範囲に認められ、規模の大小はあるものの、この一帯は度々氾濫の影響を受けていたと思われます。

調査地から望む景色(南西から)

調査地から望む景色(南西から)
 中央奥に見えるのは県ヶ丘高校校舎

発掘された土層

発掘された土層
 洪水による砂礫の堆積や遺構の断面などが土層からわかります。

 

コラムクイズ

県町遺跡からは、古代の役所や蔵の建物に使用された錠前が出土しています。
画像のような形をしたこの錠前はある生き物に形が似ているため◯◯錠と呼ばれていますが、◯◯には次の内どれがあてはまるでしょう。

3つの中から選択してください

古代の錠前(レプリカ)

発掘された松本2020➄ 「松本城三の丸跡柳町第6次」

松本城三の丸跡柳町第6次調査

 松本城三の丸内に置かれた武家地の一つ「柳町」は松本城北門の南側に位置し、北西部には北総堀土塁がかかります。19世紀には松本藩主戸田氏家臣の多湖氏が武家屋敷を構えていたことが古地図等で確認でき、明治維新後も、大正年間の火災による屋敷の焼失まで多湖氏の子孫が暮らしていました。また、中世の柳町は「信府統記」に記された「市辻・泥町」の推定地の一つとされており、市場が存在したと推測されています。
 調査の成果として、北総堀土塁の一部とみられる層や武家屋敷に伴う庭園の池跡などが確認されました。また、中世にあたる面からは、宋銭・荷札木簡などが出土し、市場の痕跡が見られました。

絵図で見る調査地

絵図で見る調査地(クリックで拡大します)

 

コラムクイズ

安政5年(1858)8月と文久2年(1862)4月下旬ごろ、暴瀉病(ぼうしゃびょう)という感染症が松本で流行しました。この感染症にかかると激しい下痢と吐き気を伴い、脱水症状になって死に至ることもあったため、非常に恐れられました。
当時の人々を震え上がらせた暴瀉病と呼ばれる感染症、現在の呼ばれ方は次のうちどれでしょう。

3つの中から選択してください

※中止 ゴールデンウィーク特別体験講座(5月1日~9日)

 松本広域圏の新型コロナウイルス感染警戒レベルが引き上げられたことに伴い、感染拡大を防止するため「ゴールデンウィーク特別体験講座」を中止します。

 企画・準備などにご協力いただいた関係者の皆さん、楽しみにされていた皆さんには申し訳ありませんが、安心・安全を第一に考えた結果ですので、ご理解いただきますようお願いします。


 

  

内 容
1 土器風ランプをつくろう!(材料費300円)
  テラコッタ粘土と7色に光るLEDライトをつかってオリジナルランプをつくります。

2 土製耳飾りマグネットをつくろう!(材料費200円)
   エリ穴遺跡出土遺物をモデルにマグネットをつくります。

開催日 令和3年5月1日(土)~5月9日(日)

    ※5月6日(木)は休館日

場 所 松本市立考古博物館

時 間 下記スケジュールのとおり開催します。

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受 付 実施期間中、考古博物館窓口にて随時受付ます。

定 員 各講座先着3組

お問い合わせ 考古博物館(86-4710)

注意事項 新型コロナウイルス感染拡大防止対策のため、中止となる場合があります。