発掘された松本2021① 概要と「史跡弘法山古墳第3次」
令和3年発掘調査の概要
令和3年の発掘調査では、松本城関連遺跡4カ所の調査が精力的に進められ、かつての松本城の姿や、中世から近世の松本の様子を紐解く資料となる発見がありました。史跡弘法山古墳や県町遺跡では昨年に続き調査が行われました。
また、長野県が実施した発掘調査では、松本市波田地区で初めての古墳が発見されるなど、近年の歴史への関心の高まりとともに注目が集まりました。(真光寺遺跡については過去のコラムで紹介していますのでこちらご覧ください。→ 考古博物館ニュース⑥ 「新発見!波田地区で見つかった古墳」)
今回は弘法山第3次調査を紹介いたします。次回以降も数回にわたり、令和3年発掘調査の速報をお届けします。
史跡弘法山古墳第3次調査
弘法山古墳の再整備に向けて、令和2年度より継続して調査が行われています。今年度は後方部2カ所と前方部1カ所の計3カ所にトレンチC・D・E(土の堆積の様子を観察するための溝)を設定し、発掘調査を実施しています。調査では、古墳の形や規模などを確認するために、土の違いを観察しながら、古墳が造られた後に堆積した土を取り除いています。
Cトレンチの下半分では、長さ20cm程度の角張った石や丸みを帯びた石がまとまって確認されました。丸みを帯びた石は河川で見られるものであることから、河川から弘法山まで運ばれてきたことがわかります。しかし、葺石などの古墳に関わる石になるかは現段階でまだ判断ができていません。古墳の規模を確定するための墳裾部(古墳の端の部分)などを確認するため、次年度も引き続き調査が実施されます。