考古博物館ニュース⑥ 「新発見!波田地区で見つかった古墳」
波田地区で初めての古墳!
松本市波田地区の真光寺遺跡で新たに円墳が発見されました。波田地区では初めて発見された古墳・石室となります。(今回の調査は、中部縦貫自動車道の建設にあたり長野県埋蔵文化財センターが行っているものです。)
今回発見された古墳は、墳丘および横穴石室の上部が削平(破壊)された状況で発見されました。規模は、石室の主軸(南北)方向で墳丘径約12m、周溝幅約1.5~2mです。石室は、全長約7.5m、幅が奥壁で1.1m、入口部1.85m、現存する高さは0.7mです。石室は梓川系の川原石を使用して構築されています。古墳からの出土遺物は、須恵器の坏や蓋、小形長頸壺ほかが出土し、石室内からは須恵器の蓋や鉄鏃の破片が出土しています。
この古墳は、近接する新村地区の安塚古墳群や秋葉原古墳群を構成する古墳と類似した石室が構築されており、日本列島全域で古墳が築造されなくなった7世紀後半以降に築造された非常に珍しい古墳の可能性もあると考えられます。
(一部、長野県埋蔵文化財センターにて作成の地元現地説明会資料より抜粋いたしました。)
※次号8/15で安塚古墳・秋葉原古墳の紹介を予定しています。
波田地区の歴史的背景
波田地区を含む松本盆地の西山山麓には、縄文時代中期の大規模な集落遺跡が南北に点々と連なって発見されています。波田地区からも葦原遺跡や麻神遺跡、下原遺跡といった縄文の集落が見つかっています。
これらの遺跡の規模の大きさや密集の度合いは、縄文中期のメッカと言われる茅野市や富士見町などの八ヶ岳山麓の縄文遺跡と比べても遜色はありません。北アルプスから松本盆地へと流れ出る大小の河川と、それらによって形成された大規模な扇状地や段丘などの地形は、縄文人が集落を営んでいくのに適していたのでしょう。
コラムクイズ
大規模な扇状地に位置する波田地区の名産品となっているものはなんでしょう?