上條館長の山城案内 稲倉城
稲倉城(しなぐらじょう)(松本市稲倉)
昭和57年12月20日に松本市特別史跡に指定
さて、今日は稲倉城(しなぐらじょう)です。かつて、松本平から善光寺や小県、江戸、東京に抜ける街道は、刈谷原(かりやはら)峠、馬飼(うまかい)峠そして稲倉峠を抜ける道が普通でした。現在も稲倉峠を越えて四賀に車で抜けることができます。三才山峠を越える道も含め、ここは交通の要所です。そんな場所に城は築かれてきました。この城は伊那から小笠原氏とともにやってきた赤沢氏が築城したといいます。赤沢氏は小笠原一門であり、伊豆赤沢を本拠地としていたのですが、早い時期に信濃に移り住み、小笠原氏と共に数々の戦に臨んでいます。最初、現在の本郷小学校あたりに屋敷を構え、伊深城の後庁氏を攻め北部地方を掌握しました。
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洞交差点
さて、道順ですが、伊深城と同じ洞の信号機を右折します。
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国道より
すると100mほど先に左に入る道がありますので、そちらに進みます。
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稲倉峠入口
やや道は狭いですが、車で3,4分走ると左手に稲倉峠への道が見えてきます。
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稲倉城主御屋敷跡
しばらくいくと右手に稲倉御屋敷跡の看板があります。
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車用鳥獣除けフェンス
そこを過ぎるといつもの鳥獣除けフェンスにぶつかります。ここは車が通れるフェンスです。桐原城と一緒です。フェンスを開けて入っていきます。もちろん、きちんと閉めておいてください。
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登城口
道なりに進むと看板があり、そこに広いスペースがあります。ここに止めて登城です。
最初に行ったときは左手の本郭を目指す道を行ったのですが、どこかで間違え、かなり山の上にでてしまい、あやうく熱中症になるところでした。宮坂本では東の竹の入の沢からが大手と提示されています。お屋敷が西にあるのにそんな大回りをするのかやや疑問ですが、西側から急斜面を登るよりいいのかもしれません。
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三の郭へ
2回目は右手の三の郭を目指す道を登りました。登り口からすぐに右に折れます。
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三の郭へ続くロープの道案内
すると、すぐに杭とロープが見えてきます。これは助かります。かなりの急斜面ですが、ロープや鎖につかまりながらのぼると楽ちんです。また、道を間違えることが全くないので安心です。それでもフーフー言いながら三の郭につきました。
郭の前には石積みがあり、簡単な門でもあったのでしょうか。何段かの平場と堀らしきものがあり、やや狭い三の郭です。大手道だと推測される竹の入の沢からの道はここに続いていると思われます。
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三の郭虎口
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三の郭
ここから二の郭へ続く道がこの城の見どころ、かなりの段差があり、今は鎖が垂らされています。二の郭がこんなに低くなっているのはあまり見かけない特徴的なつくりといえます。
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堀底から見た三の郭への鎖
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三の郭空堀
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二の郭
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二の郭東端
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松本市街地方面
二の郭は平たんな部分が多く、西側、峠道方面にいくつもの平曲輪が築かれています。兵はかなりの数、駐屯できたと思われます。ここが最初の主郭だったのかもしれません。
二の郭の東端の曲輪からは松本平や三才山峠への道がよく見えます。
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大空堀標柱
この二の郭と一の郭の間にも深い堀が築かれています。大空堀と呼ばれていたのでしょうか、標柱が朽ちて倒れていました。
一の郭も広いスペースがあります。ここは後郭のようにも思えます。後からできた居住スペース的なものがあったのかもしれません。
主郭
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主郭への道
一の郭には東と西に下っていく道らしきものがみえます。今回は西の峠道、駐車場方面に下りていきます。途中までは道はあるのですが、消えてしまいます。写真にある矢印が登り口です。そこを目指していきましょう。少し薄暗い杉木立の中に入ったら、右手を見ながら進んでみてください。
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水の手?
沢を下りてくると、もしかするとここが水の手?という窪みもありました。
こちらの道は、冬には上から続く竪堀跡が見えるかもしれないのですが、道らしき道はよくわかりません。緑がなくなるころには何とか進めるかもしれませんが、本郭への登りはお勧めできません・・。
稲倉城は三の郭への登城道が整備されていますので、そちらから登ってみるといいと思います。30分かかりません。三の郭が高く築かれている特徴を持ち、鎖で降りることができるのは探検のようで楽しいと思いますよ。