ウィンドーギャラリーより ―本藍による型染め 浜染工房―
新博物館の開館は令和5年10月を予定しておりますが、それまでできる取り組みとしてウィンドーギャラリーの展示に力を入れています。
これまでに「松本まるごと博物館」を構成する松本市立博物館分館の紹介のほか、四賀地区召田薬師堂の仏像、本郷小学校3年2組の皆さんが作ったてまりなどをお借りして展示してきました。
また、多くの職人さんたちから資料・作品をお借りし、松本のものづくりをご紹介しています。
今回、浜染工房さんから藍染めの作品をお借りしウィンドーギャラリーに展示しましたのでご紹介します。
浜染工房は明治44年(1911)創業で、現在3代目と4代目が「藍の型染め」の技術を受け継ぎ今に伝えています。
藍染めは飛鳥時代に中国より伝わり、一般的に庶民に親しまれるようになったのは木綿の衣服が普及する江戸時代で、松本でも江戸時代後期に山辺を中心に藍が栽培されていました。当時は絞り染めが特産物であったようです。
明治時代後期以降の化学染料の普及もあり、現在では高度な技術を要する型染め職人はわずかしかいません。
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藍染めの染料である蒅(すくも)は「生きている」ため、温度を一定に保ったり攪拌したり毎日の手入れが必要です。手入れの仕方により発色が変わってしまうと濱さんに伺いました。
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今回お借りしたものの中には鹿革を藍染めしたゾウのキーホルダーとペンケースがあります。近年、県内・市内でもニホンジカによる被害が増え、捕獲されるシカが毎年一定数います。ジビエとしてだけでなく革も有効利用できないかとの思いから、現在は試作段階ですが新たな作品が生み出されています。
藍による繊細な濃淡は、甕覗き、水色、浅葱色、縹(はなだ)色、紺、褐(かち)色、茄子紺など四十八色とも表現されます。古くから日本人に愛され、明治時代には「ジャパン・ブルー」として外国人を魅了しました。
浜染工房では新しい感性で時代に合った作品を作り出しながら、藍の型染めの伝統を守り続けています。
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Vol.043 ウィンドーギャラリー借用展示品紹介(R5.3.7 文責:本間)
ウィンドーギャラリーでは、さまざまな逸品を借用して展示しています。
ここでは、どのようなものを展示しているのか紹介していきたいと思います。
1 真田十勇士 (伊藤 叡香 氏)
伊藤叡香氏の和紙人形制作は、「綺麗な千代紙や染め紙などを、素材としてどうしたら活用できるか」という思いから始められました。毎年新しいテーマで人形を制作しており、「紙舘 島勇」でも展示を行っています。現在展示している紙人形は、NHK新大型時代劇「真田太平記」を題材に制作されたもので、真田十勇士を威風堂々表現した大作です。
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2 松本押絵雛・松本姉様人形(べラミ人形店)
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・松本押絵雛
べラミ人形店では、昔の松本押絵雛をもとにして復活させた制作技法を用いて押絵雛を作り続けています。
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・松本姉様人形
女の子の遊び道具として紙や布で作られた「姉様人形」は、日本髪の美しさを見せるため後姿を正面にしています。地域ごとにさまざまな姉様人形がありますが、松本の姉様人形は、前掛けをしているのが特徴です。
3 木工芸品(有限会社 柳沢木工所)
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・信州紬ストラップ付 からまつネームホルダー
と金具は使用せず、ネームホルダー本体には「信州からまつ材」、ストラップ部分には「信州紬(伊那紬)」と「絹糸」を使用しています。ネームホルダー本体は、名刺入れとしても活用可能です。第38回長野県伝統工芸品展 第1回新作展で特別賞を受賞しました。
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・ 林音ーRinneー
木製スマホスピーカーに、木曽漆器の塗りたて技法による仕上げを施しています。木の種類によって音の大きさが変わります。木製・軽量・手のひらサイズなので持ち運びに便利であり、スマホスタンドとしても使用できます。
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・どこでもハンドル
当時3歳だった乗り物大好きな息子さんの、「ぼくも運転がしたい!だからハンドル作って!」という一言で誕生したものです。これさえあれば、どこでも運転手に大変身できます。
「グッドデザイン」「グッド・トイ」賞を受賞しました。
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・東大寺あんどん
木工家・黒田辰秋氏が東大寺にある照明器具をアレンジして電気スタンドにしたものが元になっています。
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・椅子
信州のからまつで作った椅子です。カルカヤの草の根を水にさらした後に、干してから束ねた道具である「浮き造り」を用いて、木材の表面をこすって仕上げています。
浮き造り仕上げをすると、木目による陰影が強調され、木の表情が豊かになります。見た目が美しく仕上がるのが特徴です。
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4 野溝ほうき(關 正幸 氏)
芳川地区の住民有志らでつくる団体「芳川地域づくり協力隊」が、地元の伝統産業の「野溝ほうき」を編む作業に励んでいます。本年度は、材料となる植物の栽培に初めて挑戦し、種まきや草刈り、穂の収穫や乾燥も手掛けました。
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ウィンドーギャラリーを、多くの皆さんにご利用いただきたいと思っています。
松本の逸品をお持ちの皆様、ぜひ博物館までお声かけください!
Vol.039 ウィンドーギャラリーの取り組み(R5.2.7 文責:原澤)
現在、新しい博物館の南側の歩道が工事中のため、博物館の軒下の通路を通行できるように開放しています。博物館の軒下通路は約110mある長い通路で、そのガラス面の大部分は木の棚を設置したウィンドーギャラリー空間となっています。博物館の活動や松本の行事・産業・人のほか、地域や学校での活動成果など多様なテーマの展示を行っていくことを計画しています。

東側からみた軒下通路
博物館では、10月の開館に先行してこのウィンドーギャラリーを使い、分館の紹介や松本の伝統工芸品や名産品の紹介など、どのように活用していくか試行錯誤をしながら展示を行っています。

松本市立博物館の多彩な分館紹介

昭和レトロな学校備品(ラジオ)

松本の伝統工芸品・名産品(みすず細工)
これまで、四賀地区の仏像を借用した展示や松本てまりの作成に取り組んだ小学生の作品の展示を行うなど、ウィンドーギャラリーの活用の可能性について探ってきました。
今後も不定期ではありますが、展示の更新を行ってまいります。ぜひ足をお運びください。
「松本てまりプロジェクト」番外編 本郷小3年2組が初めて作ったてまり
12月上旬にウィンドーギャラリーにてまりを展示しました。本郷小学校3年2組の皆さんが総合学習の時間を使って制作したてまりで、28個の色とりどりのてまりが並びました。
今年度初めにお話を伺った際に、先生が「松本てまりプロジェクト」をご存知だったこともあり、ウィンドーギャラリーでの展示のお話をさせていただいたものです。
展示の際には特別に児童の皆さんにバックヤードに入ってもらい、自分でてまりを展示してもらいました。
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「松本てまりプロジェクト」では新博物館のエントランスホールを飾るシンボル展示物を市民参加で制作しましたが、市民と博物館をつなぎ、今まで以上に博物館を身近に感じてもらうことを目指す取り組みでもありました。プロジェクトをきっかけに松本てまりに興味を持つ市民が増えたことも成果の一つですし、このように市民が作ったものを博物館に展示できたことも、てまりが市民と博物館をつなげてくれたからだと思っています。
今後もてまりモビール制作のように市民が参加し、「私たちの博物館」と思っていただけるような事業を継続的に行っていきたいと思っています。
本郷小学校3年2組のてまりは令和5年1月末まで展示予定です。児童の皆さんが初めて作ったてまりをぜひご覧になってください。
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新博物館 ウィンドーギャラリー展示紹介
現在、新博物館のウィンドーギャラリーでさまざまな展示をしています。
今回は展示の様子を少し紹介したいと思います。
1 松本まるごと博物館分館紹介
まるごと博物館分館を紹介するコーナーです。
各分館に関する展示品及び外観写真を展示しています。
松本市立博物館・旧開智学校は現在休館中ですが、その他の分館は開館しておりますので、是非足をお運びください。
2 召田薬師堂 仏像展示【終了しました】
四賀・召田薬師堂から借用した「薬師如来像」「十二神将像」を展示しているコーナーです。
今回展示中の仏像は普段は地域の方が保存しており、公開されていない貴重な文化財です。
本コーナーの展示は11月3日(木)までとなります。是非お早めにご覧ください。
【終了しました】再開! ミニパネル展示「松本市立博物館のこれまで、そして、これから」
松本市立博物館では、現在の建物とともに歩んだ活動の記録と新博物館の情報などを展示するミニパネル展示をロビーにて3月18日まで開催。多くの来館者のみなさまに楽しんでいただきました。
この度好評につき、展示エリアを移動して、同パネル展示を3月末の閉館まで再展示します。
会期
3月24日(水)から3月31日(水)まで
会場
松本市立博物館 2階特別展示室
開館時間
午前8時30分から午後5時まで
(入館は午後4時30分まで)
観覧料
無料
※come(calm) to matsumoto キャンペーン中につき、松本市立博物館内すべての展示室を無料で観覧いただけます。
お問い合わせ
松本市立博物館
〒390ー0873 長野県松本市丸の内4番1号
電話:0263ー32ー0133 FAX:0263ー32ー8974
✉この担当課にメールを送る
【終了しました】「収蔵資料大公開展」(7月11日~3月21日)
松本市立博物館は、今年で開館114年!
長い歴史の中で約12万点にものぼる資料を収集・保存してきました。
本展では、それらの資料の中から選りすぐりの資料を5テーマに分けて一挙大公開します。
各展覧会紹介
武士の世界【7月11日(土)~8月23日(日)】
江戸時代、松本を治めていた松本藩主やその家臣たちが身に着けていたとされる甲冑(かっちゅう)を中心に、刀剣や小笠原家に伝わるひな道具なども展示します。これらの資料を通して武士の勇壮な姿や洗練された美をお楽しみください。
博物館の逸品Ⅰ~農耕用具コレクション~
【9月5日(土)~10月4日(日)】
当館には、長床犂(ちょうしょうり)と無床犂(むしょうり)の長所をもとに改良された短床犂(たんしょうり)など、先人が工夫を凝らした農耕用具が、重要有形民俗文化財として収蔵されています。ぜひ足をお運びいただき、先人たちの足跡や知恵に触れてください。
生活と色~暮らしを彩る意匠~
【10月17日(土)~11月29日(日)】
本展では、手のひらサイズのコレクション群を中心に、装身具、伝統工芸品、印刷物など暮らしに関わる資料を展示します。小さな世界に広がる彩り豊かな意匠をお楽しみいただけましたら幸いです。
博物館の逸品Ⅱ~民間信仰資料コレクション~
【12月12日(土)~2021年1月11日(月・祝)】
当館所蔵の重要有形民俗文化財「民間信仰資料コレクション」は松本及びその周辺地域の、農耕を中心とした民間信仰に関する資料からなるコレクションです。人々の生活に寄り添い続けた信仰用具から、素朴で力強い祈りを感じてください。
年中行事【2021年1月23日(土)~3月21日(日)】
年中行事とは、昔から一年の中で特に日を定めて行われてきた身近な祭りの数々です。松本では、江戸時代後期に藩の殖産興業政策により武家で始まったとされる押絵雛や、各地で行われていたヒトガタ、流し雛などが流行しました。松本を代表する特産品となった、これらの人形たちをとおして、昔の人々の思いや松本の城下町風情に触れてみませんか?
休館日
2020年12月29日(火)から2021年1月3日(日)まで
観覧料
通常観覧料 大人200円(700円)、小中学生100円(300円)
※( )内は、国宝松本城との共通券料金
会場
松本市立博物館 2階特別展示室
お問い合わせ
松本市立博物館
TEL 0263-32-0133
FAX 0263-32-8974
【終了しました】松本の春、みつけた!2020「月遅れのひな祭り展」を開催します
【終了しました】松本市立博物館ロビー展示「上級家臣の暮らし~新博物館建設地の発掘~」を開催します。
展覧会名
松本市立博物館ロビー展「上級家臣の暮らし~新博物館建設地の発掘~」
会期
令和元(2019)年12月18日(水)から令和2(2020)年2月25日(火)まで
会場
松本市立博物館1階ロビー
料金
松本市立博物館の通常観覧料(大人200円、小中学生100円)
展示の概要
松本市基幹博物館整備事業に伴い実施している、新博物館の建設地の埋蔵文化財調査(発掘調査)の様子を速報展示します。
あわせて、新博物館を描いたイメージスケッチ数点も展示します。
展示の見どころ
上級家臣の暮らしぶりをうかがい知ることができる上質な焼物の破片を展示します。
また、江戸時代における「エコ」の一端を垣間見られるものとして、修理の痕跡がある器(破片)も展示します。
その他
同一会期・会場で、「松本で造っていた寛永通宝~銭座関連資料の発見~」の展示を開催します。
お問い合わせ
松本市立博物館
〒390-0873 長野県松本市丸の内4番1号
電話:0263-32-0133 FAX:0263-32-8974
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【終了しました】「藤原コレクション展」【12/14~1/26】
昭和33年(1958)に博物館に寄贈された簪(かんざし)や櫛(くし)、笄(こうがい)といった
髪飾りのコレクションを展示しています。素朴なものから豪華なものまで、そのデザインは様々
で、つくりが非常に細やかです。鼈甲(べっこう)や象牙(ぞうげ)といった希少な素材で作られた
ものもあります。実際に目で見て楽しんでいただけたら幸いです。
会期
令和元(2019)年12月14日(土)から令和2(2020)年1月26日(日)まで
会場
松本市立博物館 2階展示室
料金
通常観覧料(大人200円、小中学生100円)
展示のみどころ
羊遊斎(ようゆうさい)という有名な蒔絵師(まきえし)の銘が入った櫛を展示します。
お問い合わせ
松本市立博物館
〒390-0873 長野県松本市丸の内4番1号
電話:0263-32-0133 FAX:0263-32-8974
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