Vol.050 身近な自然を訪ねて(R5.4.25 文責:内川)
これまで松本市の自然については分館の山と自然博物館で発信をおこなってきました。リニューアルオープンを契機に総合博物館として、本館でも積極的に取り組んでいきたいと考えています。普段は山と自然博物館のあるアルプス公園の自然を観察し紹介しているのですが、市街地である本館の近くにはどんな生き物がいるのでしょうか。
ある日、博物館の軒下で、大きな昆虫を見つけました。
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比較のために十円玉を置いて撮影してみました。
これはマダラガガンボ(もしくはその仲間)で、幼虫は水辺の植物の根を食べて育つようです。こんな市街地で見かけるのは意外でしたが、おそらく博物館のすぐ近くを流れる女鳥羽川から飛んできたのでしょう。他にも川辺で見られる昆虫をたくさん見つけることができました。トビケラもカワゲラも幼虫期間を水の中で過ごす昆虫です。
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四柱神社にいたカゲロウの仲間。昆虫の中ではかなり原始的な種類で不完全変態の昆虫です。
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旧開智学校跡のサクラの樹にいたトビケラの仲間。カワゲラとは違い幼虫から蛹を経て成虫になる完全変態の昆虫です。
昆虫がいるということは、それを食べるために野鳥たちも集まってきます。ちょうど子育ての時期ですので、巣を作る姿やエサを集める姿が見られました。
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セグロセキレイは珍しい鳥ではありませんが、川辺に依存する鳥です。
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沢山の餌を加えてビルの上へ。付近に巣があるのでしょう。
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よく似たハクセキレイは市街地でもよく見られます。
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泥がたまった場所でツバメのつがいが巣材を集めていました。
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すぐ近くで営巣するようです。
川という環境があることで、川独特の生き物同士のつながりが生まれます。それは自然があまり豊かでない市街地でも変わりません。今回はそのつながりに着目して紹介をしましたが、他にも様々な生物を見つけることができました。開館後は博物館を拠点に、このような身近な自然も紹介していければと考えています。