アルプス公園の自然:ヒレンジャクとキレンジャク
キレンジャク 学名:Bombycilla garrulus
ヒレンジャク 学名:Bombycilla japonica
スズメ目レンジャク科
冬鳥たちが移動を始める時期、動物園近くでレンジャクの群れを観察できた。
尾の先端が黄色いのがキレンジャクで、赤い(緋色)のがヒレンジャク。共に大陸から渡ってくる冬鳥で一緒に群れることもあるが、キレンジャクは北半球に広く生息するのに対し、ヒレンジャクは極東地域にしか生息しない。観察した群れはほとんどがヒレンジャクで、キレンジャクは数羽しかいなかった。
漢字では「連雀」と書くとおり基本的には群れていて、甲高い「ヒィーヒィー」という鳴き声も特徴的なので、知っていればすぐに分かる。
アルプス公園の自然:エゾビタキ
鳥の仲間には季節に応じて日本にやってくる渡り鳥が多くいる。繁殖のため春から秋にかけ日本で見られる鳥を「夏鳥」、越冬のため秋から春にかけ見られる鳥を「冬鳥」と呼ぶ。そして、渡りの途中で日本に立ち寄り、春か秋の短い期間だけ見られる鳥を「旅鳥」と呼ぶ。
エゾビタキも旅鳥の1種で、秋の公園で見ることができる。胸にある縦斑が特徴で、公園内で見られる近縁種のコサメビタキ(夏鳥)と見分けるポイントになる。ヒタキの仲間には英語で「フライキャッチャー」と呼ばれる一群がいて、枝から飛び出して、飛んでいる昆虫を空中で捕まえる姿が観察できる。上の写真も、そうやって狩りをしている最中だった。
アルプス公園の自然:カマキリモドキ
三角形の頭、長く伸びた胸部、鎌状になった前脚…カマキリと共通した特徴を持ったこの昆虫は、カマキリモドキと呼ばれている。分類としてはアリジゴクで知られるウスバカゲロウに近い完全変態昆虫で、不完全変態のカマキリとは縁遠い。大きさや色合いもカマキリとは全然違っていて、むしろハチに擬態しているのではないかとも言われている。それでもこれほどの共通点を持つのは「前脚を使って獲物を捕食する」という目的のための収斂進化の賜物だ。
夜の灯火に集まってくるのを探す以外では見つけるのが中々困難な昆虫だが、写真の個体は出勤時に車の中に飛び込んでくるという思いがけない出会いをした。車内の写真ではそれっぽくないので、近場の葉の上に移すという若干のズルをしている。いつどんなチャンスがあるか分からないので、中々カメラは手放せない。
アルプス公園の自然:アリスアブの仲間
博物館前の広場で、金色に輝くアブを複数見つけた。アリスアブというアブの仲間だ。「アリス」という文字をみると何だか可愛らしい印象を受けるが、漢字で書くとすると「蟻巣」で、アリの巣の中で成長するアブの仲間である。
アリスアブは見た目が似た種が多いが、腹部の模様と、寄主であるクロヤマアリFormica japonicaの巣が周辺にあることからコマチアリスアブMicrodon murayamaiだと思われる。
幼虫はドーム型の面白い形をしていて、アリの幼虫や蛹を食べて成長する。一度くらいは見てみたいと思っているのだが…
アルプス公園の自然:スジボソヤマキチョウ
花の丘のオミナエシで吸蜜するスジボソヤマキチョウを何頭か見つけた。昨年はあまり見慣れなかった光景だ。
スジボソヤマキチョウは成虫で越冬した個体が春に卵を産み、6~7月に羽化した新成虫は暑い夏の間は活動をしない「夏眠」を行う。そして秋に再び活動を開始し冬を越す、というライフサクルをおくる。例年なら9月に入ってから活動を再開するので、オミナエシは最盛期を過ぎ蜜源にあまりならないのであろう。今年は8月半ばの長雨から涼しい日が続いたため、早々に活動を再開した個体が多い様だ。
しかし、ここ数日暑い日がぶり返している。こんな時スジボソヤマキチョウがどう行動するのか気になるところだ。
アルプス公園の自然:アブラゼミ、日中の羽化
昼過ぎに所用で外に出たところ、意外なものを見つけた。アブラゼミの羽化である。
通常セミの羽化は夜間に行われる。土中から這い出た幼虫は動きが鈍く、いざ羽化を始めると完全に無防備なので、天敵を避けるためだ。そのため、一瞬「羽化に失敗した個体か」とも思ったが、それにしては色が白く、よく見ると足が動いたため、羽化の最中で間違いなかった。せっかくなので時間ごとの変化を追ってみた。羽化が完了したらすぐにでも飛び立ちたいであろうに、結局日が暮れてもその場にいた。
昼に羽化した原因は、ここ最近続いた大雨だろうか。
8月も半ばを過ぎ、早く羽化をしたくて仕方がなかったのにできない日が続いたため、危険を顧みずに行動をおこしたのかもしれない。



































