Vol.073 常設展示ガイド講座(R5.10.3 文責:武井)
令和5年6月から月1、2回の頻度で実施してきた「常設展示ガイド養成講座」が、9月23日の発表会をもって終了しました。
発表会では複数のグループに分かれて、グループごとに展示室を回りそれぞれのガイドを発表していただきました。
自身の得意分野を深堀りしてオリジナルガイドを展開される方、ガイド練習に先立って複数パターンの台本を用意された方、より分かりやすいガイドのために特製の手持ち資料を使用される方、地元の方しか知らないようなニッチな情報を披露される方などなど…多くを学ばせていただくと同時に、皆さんの熱意に圧倒されてしまいました。
開館後は、講座を受講された市民の方が、不定期で常設展示のガイドとして活躍される予定です。
このガイドを通じて、松本市立博物館という場所が住む場所や世代を超えたコミュニケーションの場となることを心から期待しています。
Vol.72 心をこめて準備中 ~常設展示室~ ( R5.9.26 文責:吉澤 )
新館オープンまで残すところあと2週間を切った松本市立博物館。3階の常設展示室では、展示の最終調整が着々と進められています。
常設展示室は松本の魅力を資料とともにとことん紹介する、博物館の「顔」ともいえるエリアです。オープンに向けて展示資料やキャプション、照明を細かく調節し、クリーニングを念入りに行います。
資料やキャプションの細かな位置を調節しています。大切な資料たちを取り扱う、緊張感が漂う作業です。
展示の「資料の見せ方」も大切です。配置に違和感がないか、資料や解説が見づらくないか、複数の職員の目で何度も確認します。
たくさんの方にしっかり見てもらいたいから…。ケースの小さな汚れも丁寧に拭き取ります。
来館された方々が、貴重な資料たちに惹き込まれながら松本の魅力にも触れられる…常設展示室がそんな素敵な空間になるよう、最後の最後まで気を抜かず、作業に取り組んでまいります!
また、常設展示をご覧の際は、ぜひこの展示解説シートもお供にご巡回ください!
パネルやキャプションとは異なる切り口から、展示をさらに深掘りします。
おとなも子どもも楽しめるよう、様々なトピックを用意しました。常設展示室で皆様に読んでいただける日を心待ちにしております!
Vol.71 市民学芸員「お蚕組」のフィールドワーク( R5.9.19 文責:本間)
市民学芸員のフィールドワークについては「Vol.051」で紹介した通りですが、今回は「お蚕組」の活動を紹介します。
「お蚕組」は松本の蚕糸業について学んでいるグループです。9月3日(日)に岡谷蚕糸博物館へ伺い、学芸員の森田氏よりお話をお聞きしました。
1 カイコふれあいルーム
「カイコふれあいルーム」は、蚕が育つ様子や繭作りの観察ができる場所です。昔ながらの養蚕道具を使い、桑の葉の餌やりを楽しむこともできます。
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2 岡谷市鳥瞰図
昭和11年(1936)の岡谷市制施行の際に、観光パンフレットの原画として市の依頼で描かれたもの。作者は鳥瞰図絵師の吉田初三郎です。製糸工場の煙突や岡谷市役所などが描かれています。
3 常設展示
常設展示は主に3つのテーマで構成されています。まず、「シルクとの出会い・糸都岡谷への道」では、絹文化の起源から蚕とシルクの秘密など、シルクの魅力に様々な切り口からアプローチしています。
次に、「機械でたどる糸都岡谷ものがたり」では、明治5年(1872)創業当時の官営富岡製糸場で使われ、唯一現存しているフランス式繰糸機などが展示されています。
そして、「資料でたどる糸都岡谷ものがたり」では、厳しい蚕糸業の中で、先見の明を持って歩んできた先人達の資料などから岡谷の歴史を探っています。今回は各テーマでお話を伺いました。
4 株式会社宮坂製糸場
製糸全盛期から変わらない諏訪式繰糸機などが稼働しているところを見学しました。
5 特別展示
開催中の特別展「人生の節目と絹に寄せる思い」を見学しました。諏訪地域の家庭や製糸業に関わっていた家庭で大切に受け継がれてきた絹の衣装が中心に紹介されていました。
今回のフィールドワークでも、市民学芸員の皆さんから「非常にためになるお話を聞けて良かった」という感想がありました。
市民学芸員の皆さんが日々活動で学んでいることは、新博物館開館後、一緒に発信していく予定です。こうご期待ください。
講演会「啓蒙する松本博覧会」
松本市立博物館開館特別展「まつもと博覧会」の開催に合わせて、以下の講演会を開催いたします。
日時
令和5年10月14日(土) 午後1時30分~3時00分(予定)
内容・講師
講演会「啓蒙する松本博覧会」
講師:塩原 佳典 氏(新潟大学教育学部准教授)
会場
松本市立博物館 講堂
参加料
無料
定員
80人(要予約・応募多数の場合は抽選)
お申込み
こちらのお申し込みフォームからお申込みください。
お問合わせ
松本市立博物館
℡:0263-32-0133
FAX:0263-32-8974
松本市立博物館開館特別展「まつもと博覧会」
松本市立博物館では10月7日リニューアルオープンに合わせ、特別展「まつもと博覧会」を開催いたします。詳しくは10月1日オープン予定の本サイトをご確認ください。
会期
令和5年10月7日(土)~12月10日(日) 休館日・火曜日
※一部資料は展示替えいたします。
開館時間
9:00~17:00(入室は16:30まで)
観覧料
特別展単独券 大人1000円(800)、大学生600円(400)、高校生以下無料
常設展とのセット券 大人1200円(1000)、大学生800円(600)、高校生以下無料
※()内団体20名以上料金
会場
松本市立博物館 2階特別展示室
お問い合わせ
松本市立博物館
℡ 0263-32-0133
FAX 0263-32-8974
Vol.070 展示資料の背景( R5.9.12文責:内川 )
常設展示室の「ともにある山」のコーナーには美ヶ原の鉄平石が展示されています。
溶岩が冷え固まる際に板のように割れたもの(板状節理)です。
溶岩が固まったものということは、当然その昔火山の噴火があったということです。かつて日本列島を二つに分けていたフォッサマグナで知られるように、松本市周辺はその昔海でした。そして、クジラの化石が発掘された四賀周辺の地質は海底に泥や砂が堆積してできたものですが、美ヶ原周辺の地質はそれらに加えて海底火山の噴出物が堆積したものです。
ただし、美ヶ原上部の地質や鉄平石はこの時できたものではありません。今から200万年ほど前に地上で噴火した溶岩が冷え固まったものです。
…なんて話は展示室ではいっさい解説されていません。
「ともにある山」のテーマのとおり、私たち人が、この板状の形の岩を屋根材として利用していたということが書かれています。この他にも北アルプスの山々やそこから流れ出る梓川にも壮大な大地の歴史があり、そうやって形作られた自然があるからこそ我々人の営みがあります。しかしながら、スペースやテーマなどが限られる中、そういった話を全て解説するという訳にはいかず、展示を作成する難しさを感じます。
ほかの資料についても、展示では詳しい背景が語り切れません。そういった内容については、このコラムような別媒体や展示替えで発信していければと思います。
Vol.069 特別出前コンサートin 松本市立博物館( R5.9.5文責:高木 )
現在松本では「2023セイジ・オザワ 松本フェスティバル」が開催されています。クラッシックファンが全国から訪れる楽都松本ならではの音楽の祭典です。今回、サイトウ・キネン・オーケストラの有志メンバーが、10月7日に開館を迎える新松本市立博物館に出前コンサートに来てくださいました。松本てまりモビールお披露目会以来久しぶりに多くの方が集まり、また初めて、東側正面玄関から一般のお客様をお迎えしました。
エントランスの吹き抜け空間が次々と人々で埋まっていきます。猪子奈津子さん、塚本禎さんによる「テレマン:2つのヴァイオリンのためのカノン風ソナタ」から演奏が始まると、空間全体が生き生きと動き出したように感じました。普段、人けがない時は静止しているてまりモビールもゆっくりと回旋を始めます。
川本嘉子さんによる、「J.Sバッハ:無伴奏チェロ組曲1番よりプレリュード」は本当に素晴らしく感激で胸が震えました。たった一つの楽器から奏でられているとは信じがたいほどの、大きく暖かく広がりのある音が約200人の心をたっぷりと満たしたと思います。
その後、奏者3人によるドヴォルザーク弦楽三重奏の迫力に、ぐいぐいと引き込まれ、解き放たれて演奏が終了しました。
今回のように、ジャンルを超えて博物館の空間が使われていくことが、新博物館の存在意義に確実につながっていくと感じました。
Vol.068 アソビバ!オリジナル( R5.8.29 文責:高木 )
新博物館の「子ども体験ひろばアソビバ!」は博物館の特別な遊び場です。この、子どものための特別な空間に、いくつかオリジナルアイテムを用意しましたので、今回はそれらを紹介したいと思います。
「まつもとすごろく」
新博物館をふりだしに、ゴールの開智学校を目指して、松本市内の名所をぐるりと巡ります。あっちへ飛んだりこっちにもどったり、すいかの収穫で足止めされたりとなかなかゴールできません。モニタリングでは小学校5年生が男女一緒にとても盛り上がって遊んでいました。遊びながら自然に松本観光ができます。
「まつもとパズル」
古荘風穂さんのイラストで創った「まちをつくろう」を56×42㎝のジグソーパズルにしました。小学校6年生の子が二人で真剣にやって30分かかっていましたので、大人がやっても楽しめると思います。遊びながら地区の特徴や特産品などがわかってきます。
「オリジナル積み木とマグネット」
「まちをつくろう」に描かれたマップの建物を三角の積み木にしました。これも古荘さんのイラストです。マップの中を探して正解の場所に置くのもよし、自分の住んでいる場所を探して、隣に松本城や美しの塔を置くのも楽しいでしょう。
「まつもとファーム」の壁に貼って遊ぶマグネットには、松本伝統野菜の―本ネギや保平かぶ、カブトムシもいます。これも風穂さんのイラストです。
どちらのアイテムも子どもたちが遊びやすいように素材や大きさを検討するだけでなく、積み木の角はすべて丸く削り、誤飲を防ぐためマグネットをネジ式にしたりと安全にも配慮しています。
「前掛けと提灯」
ままごと遊びのコーナーには、酒屋さんでおなじみの昔ながらの前掛けに博物館のロゴを入れてオリジナルを作りました。子ども用もあります。この昔ながらの綿織物の前掛けにはしっかりとした紐がついています。このひもを丹田とよばれるおへその下にしっかりしめることによって、重いものを持っても腰を痛めないそうです。前掛けは服を汚さないというよりも、重労働から体を守る機能があったんですね。また、このロゴでオリジナルの提灯も作っています。
「六面体パズル」
正方形の積み木の六面にそれぞれイラストが描かれています。松本てまり、松本城、七夕人形、シガマッコウクジラ、山岳ヘリとFDA、松本一本ねぎと保平かぶの6種類です。新博物館のエントランスに掲げた大型イラストとエジタルサイネージを組み合わせた「ようこそ松本」のイラストレータースズキサトルさんの作品の一部を使わせてもらいました。
「てまり温泉」
ヒノキで作られたボールプールにてまりがたくさん入っています。このてまりは松本市のリユース事業で持ち込まれたてまりを使わせてもらいました。様々なてまりが120個と、てまり温泉用に特別に作っていただいた優しい色合いのてまりが100個入っています。子どもだけでなく大人もこの温泉に入って癒されてほしいと思います。
開館まで40日を切りました。アソビバ!のオリジナルアイテムで子どもたちが遊んでくれる日が近づいています。
Vol.067 西善寺を訪ねて ( R5.8.22 文責:前田 )
この秋冬は新しい博物館オープンを記念した特別展が2つ開催されますが、来春以降も引き続き、多彩な展覧会で皆さんに楽しんでいただけるよう、それぞれの担当者はその準備にとりかかっています。
私が携わる展覧会で、ぜひとも出展させていただきたいと熱望しているのが、西善寺所蔵の「紙本着色釈迦涅槃図」(享保14年・1729)です。このほど所蔵先である西善寺関係各位のご厚意で拝見する機会がありました。
涅槃図とは、お釈迦様が入滅した時の情景を描いたもので、仏教三大行事の一つである涅槃会の本尊として用いられる仏画です。なかでもこちらの涅槃図は地方寺院最大級といわれるとおり、巻いた状態で長さ5メートルを超す巨大な軸です。
最初に学芸員8人がかりで、普段保管されている蔵から地区の公民館まで、細心の注意をはらいながら移動。あまりにも大きく、あつかう自分たちが小人になったかのようなスケール感です。ひっそりとした趣のあるお寺の参道を、大きな軸が運ばれていく様子は、おとぎばなしみたいな光景でした。
いざ、畳敷きの広間でひろげてみると、そこにはお釈迦様の命の終焉という悲しい場面でありながら、その教えの永劫性をたたえた荘厳なる世界が繰り広げられていました。
男女や階層の差なく宗派を超えて信仰された融通念仏の精神のもと、松本藩の御用絵師によって描かれたこの涅槃図。もとは松本きっての巨刹とうたわれた旧念来寺の什物(じゅうもつ)でしたが、明治の初め、廃仏毀釈の嵐の中にあったその寺から、信徒たちによって救い出され、巨大な寺宝の数々とともに同系の西善寺に運び込まれたのでした。
今こうして貴重な文化財の数々を拝んでいると、150年前に仏さま達を窮地から救った先人たちのひたむきな行いと、これを受けて大切に守り続けてくださっている地域の皆様に対して「よくぞ残してくださいました」と心からの感謝の気持ちでいっぱいです。
そして今度は、博物館として何ができるかを考える番。多くの方にこの素晴らしい松本の文化財を知っていただくには・・・。この大きな文化財に負担をかけない展示にはどんな方法がふさわしいか・・・。
実は今回の調査には、当館のおおうちおさむアソシエイトプロデューサーも同行していました。おおうちプロデューサーは、展覧会のトータルデザインや芸術祭のプロデュースを手がける凄腕のアートディレクターで、松本市立博物館の新たな挑戦をグイグイ牽引してくださる方だと感じています。ご自身の経験に裏打ちされた展示のアイデアにより、障害さえも味方につけて、より良く見せようとする柔軟な思考力。この日も涅槃図を前に、おおうちさんから次々とひらめきが飛び出しました。きっといい展覧会になる、もうその予感しかありません。
市内各所に点在する文化財はそれぞれの歴史を今に語りかけてくれます。それらに耳を傾けるきっかけをつくり、松本の歴史や文化により親しんでいただける展覧会になるよう努めてまいります。
松本は「まるごと博物館」です。旧念来寺から和田境地区まで「清水の大仏」などとともに貴重な什物を運び出した150年前の人々に思いをはせるためにも、現地に足を運んで西善寺の涅槃図をご覧になることもおすすめします。涅槃会に合わせて一般公開される春分の日を中心とした数日間が、西善寺にて涅槃図をご覧いただけるチャンスです!
Vol.066 令和の「ぼんぼん・青山様」レポート(R5.8.15 文責:鈴木)
ここ数年間、コロナ禍で地域の行事が思うように実施されない状況でしたが、今年の5月以降、ようやく再開されてきました。こうした中、「松本の夏の風物詩」ともいえる「ぼんぼん・青山様」も今年は各地区で行われました。
―「ぼんぼん・青山様」については、「広報まつもと 2023年8月号」に掲載されていますので、こちらからご覧下さい。
そこで、近所の町会や中央地区で行われた「ぼんぼん・青山様」にご一緒させて頂きましたので、その模様をお伝えします。
1.下横田町(上土町と合同):7月29日(土)
町内の「鯛萬の井戸」から出発して岡宮神社を目指します。神社でお参りをしてから一旦「鯛萬の井戸」に戻って一休み。その後、下横田町会内を一回りしました。青山様のお神輿は高学年の子が4人で担ぎます。「青山様だい、わっしょいこらしょ」のかけ声を聞いた町内の方が外に出てきてお賽銭を下さることもありました。ぼんぼんの女の子は、浴衣を着て薄紙で作った花を髪に飾り、ほおづき提灯を提げた姿で歩きました。ぼんぼんの歌は保護者の方がCDプレーヤで流していました。
下横田町会での「ぼんぼん・青山様」は4年ぶりのため、4年生以下の子は初めてとのことでした。
2.桜町:7月29日(土)(28日(金)と2日間に分けて町内を回ったとのこと)
下横田町の「ぼんぼん・青山様」のあと、別の方角から青山様のかけ声が聞こえてきたため、少しだけご一緒しました。青山様のお神輿は2人で担ぎます。町内の各家々の前で青山様のかけ声に加え、笛や鐘、太鼓を鳴らします。お賽銭をもらうと、「わっしょい、わっしょい」の声とともに、お神輿を担ぎながらその家の前でぐるぐる回っていたのが驚きでした。女の子は法被姿と浴衣姿の子がいて、浴衣の子でもほおづき提灯を持たずに青山様の太鼓を持っている子がいるなど、「青山様優先、青山様・ぼんぼん混合型」でした。
この町会では、コロナ禍の間も2020年を除いて毎年青山様を続けており、コロナ禍の間は、かけ声を出せない代わりに太鼓や鐘などで賑やかさを出していたとのことです。
3.今町2丁目:8月2日(水)
この町会は「青山様」だけを行うとのことで、全員が法被姿で集合しました。町会長さんに案内されながらお神輿を担いで(担ぎ手は2人)町内の家々を1軒ずつ訪ね、家の人が外に出てきてお賽銭を下さると、青山様のかけ声のあと「わーいわーい」と言いながらお神輿を前後に揺すります。お神輿の担ぎ手は最初男の子でしたが、途中で女の子に交替しました。
今町2丁目は、町会内のマンションの子どもが小学生になって人数が増えたため、久しぶりに青山様をやることにしたそうです。このため子どもは全員初めてで、数人の保護者と町会の方の記憶だけを頼りにやることになりました。近所の方からは、「久しぶりに青山様が来てくれて嬉しい」とか「できれば続けてもらいたい」といった声が聞かれました。
4.中央地区:8月8日(火)
「中央地区縁日だよ!全員集合!」に組み込まれるかたちで「ぼんぼん・青山様」が行われました。ぼんぼんに参加する女の子は事前に公民館に集まって、「ぼんぼんの歌」を歩きながら歌えるように練習しました。また、髪に飾る花作りをし、色とりどりの花が出来ました。
当日は四柱神社に集合して、あがたの森文化会館の木下館長から「ぼんぼん・青山様」について教えてもらった後、神主さんにお祓いをしてもらいました。
松本城大手門枡形跡広場で出発式をしてから、縄手通りを抜けて上土町を通り、松本城に向かいました。松本城で記念撮影のあと、西堀、土井尻を経由して大名町を通って桝形跡ひろばに戻りました。松本城では観光客からも注目を浴びていました。「ぼんぼん・青山様」をやったことがない子どもがほとんどでしたが、青山様のかけ声やぼんぼんの歌を頑張っていました。参加した子どもは、縁日(枡形跡広場で開催)の500円券がもらえたので、終わった後は早速かき氷を食べたり、射的で遊んだりしていました。
5.ご一緒させてもらって考えたこと
青山様は町会ごとにお神輿の扱い方が少しずつ違っていて、引き継がれていく中で変わっていったようです。また、男の子の行事である青山様に女の子も加えて青山様だけを実施し、女の子限定のぼんぼんはできない町会もありました。中央地区町会合同ではぼんぼんの形にはなりましたが、歌を歌いながら歩くのは難しそうでした。
道路建設に伴う住民の転出、分譲住宅やマンションの新築に伴う子どもの増加など、町内の人員構成は増減します。また、コロナ禍でここ数年は行事を中止せざるを得ない状況でした。このような環境変化の中で伝統行事を続けることの難しさを感じたとともに、町会役員、保護者、地域住民の皆さんが、工夫を凝らしながら伝統文化を守り続けていこうとする想いに頭が下がる思いでした。
「ぼんぼん・青山様」を今後も末永く続けていくためには、いつからどのような意味で行われたものなのか、そして、松本だけで続いている行事であることなどを説明することが大切であり、博物館としてできることを、町会の方々や公民館などと連携して実施することが必要だと感じました。
6.新博物館の収蔵品(青山様のお神輿)
10月7日(土)に開館する新しい博物館には、昔使われていた青山様のお神輿が保管されています。
今後、「ぼんぼんと青山様」の説明とともに、このお神輿も常設展示室で展示される予定(開館直後ではありませんが)ですので、新しい博物館でぜひご覧頂ければと思います。