発掘された松本2021⑥ 「県町第22次調査」
前回(発掘された松本2021⑤ 「松本城三の丸跡柳町第7次調査」)に続き、発掘された松本2021の調査結果を紹介していきます。今回は県町遺跡第22次調査です。今回で発掘された松本2021調査結果の紹介は最後になります。
県町遺跡第22次調査
県町遺跡は、あがたの森公園周辺を中心とする広い遺跡で、現在までの調査では弥生時代と平安時代を中心とした数多くの住居跡が見つかっている大規模な集落跡です。
今回の調査は遺跡範囲の西縁に近い部分でしたが、13軒の竪穴住居跡などが見つかりました。
特記すべきものは、A区で平安時代の溝が5条見つかり中から黒曜石製の帯飾りなどが出土しました。この黒曜石製の帯飾りは長野県内では初めての発見で、全国的にも貴重な発見です。さらに、溝に削られてわずかに残った弥生時代の地面からは、弥生土器の壺などが出土しました。C区では、平安時代の皇朝十二銭のうち「富寿神宝」、「隆平永宝」(欠損)が各1点のほか、縄文時代晩期の深鉢が埋設されているものが見つかりました。
縄文時代から弥生時代、古墳時代、平安時代、中世、さらに現在に至るまで、3000年近く人々の暮らしの営みが続いてきた場所といえます。
コラムクイズ
今回の調査で出土した「富寿神宝」と「隆平永宝」。鋳造時期の早いのはどちらでしょう。