発掘された松本2021④ 「松本城三の丸跡土居尻第14次調査」

 前回(発掘された松本2021③ 「松本城外堀跡南外堀第4次」)に続き、発掘された松本2021の調査結果を紹介していきます。今回は松本城三の丸跡土居尻第14次調査です。

松本城三の丸跡土居尻第14次調査

 土居尻は、松本城三の丸のうち史跡松本城跡の南側、大名町の西側の一帯で、江戸時代には松本藩の武家屋敷地のうち上級家臣の屋敷地として利用されてきた場所です。今回の調査地は、幕末には木村新兵衛の屋敷として、古絵図にも記載のある箇所です。

調査区全景

調査区全景

 現在までの調査では、江戸時代の屋敷跡(第1・第2面)は残っていませんでしたが、下層から中世の生活面を少なくとも3面確認しました。第3面からは木組みの水路状遺構が、第4面からは用途不明の方形の石敷遺構や囲炉裏などが見つかり、さらにその下の第5面でも穴などを確認しています。出土した陶磁器の多くが16世紀半ばから末のものとみられることから、これらの面の時期差はほとんどなく、いずれも松本城築城以前、深志城時代のものと考えられます。
 深志城の実体はまだまだわからない点が多いのですが、この調査がそれを紐解く資料の一つになるものと思われます。

囲炉裏発掘時の様子

囲炉裏発掘時の様子

 

コラムクイズ

今回の調査で、古瀬戸とみられる鳥形の陶器が出土しました。これはどのように使われたものでしょう。

鳥形水滴

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