アルプス公園の自然:ウラギンシジミ

 ウラギンシジミ♂ ウラギンシジミ翅の表

 

博物館の前にいたシジミチョウの仲間。
名前のとおり翅の裏面の銀白色が特徴で、林縁部をキラキラと飛び回る姿が公園内でもよく観察できる。
翅を閉じてとまることが多いが、日光の加減によっては広げてとまる。
写真は翅の表がオレンジ色のオス。メスは青白い色をしているが、間近で写真に撮る機会にはまだ恵まれていない。

アルプス公園の自然:アオダイショウ

アオダイショウ

博物館の幕板の間から顔を出していたアオダイショウ。

アオダイショウの幼体はマムシに似た模様で擬態をしているようだが、この個体は縞模様もうっすら見えた。
長さもそれなりにあり、成蛇へと成長途中のようだ。

「冬の野鳥観察会」を開催しました

2/8(土)に冬の野鳥観察会を開催しました。ご参加の皆様ありがとうございました。

観察した野鳥

カヤクグリ

カヤクグリ

カワラヒワ

カワラヒワ

ホオジロ

ホオジロ

アオジ

アオジ

カシラダカ

カシラダカ

ヤマガラ

ヤマガラ

ルリビタキ

ルリビタキ

そのほか観察した鳥:トビ、ハシブトガラス、ヒヨドリ、エナガ、ジョウビタキ、シジュウカラ、メジロ
声を聞いた鳥:コゲラ、イカル

観察会の様子

観察会の様子 観察会の様子2

アルプス公園の自然:ヒレンジャクとキレンジャク

キレンジャクとヒレンジャク

キレンジャク 学名:Bombycilla garrulus
ヒレンジャク 学名:Bombycilla japonica
スズメ目レンジャク科

冬鳥たちが移動を始める時期、動物園近くでレンジャクの群れを観察できた。
尾の先端が黄色いのがキレンジャクで、赤い(緋色)のがヒレンジャク。共に大陸から渡ってくる冬鳥で一緒に群れることもあるが、キレンジャクは北半球に広く生息するのに対し、ヒレンジャクは極東地域にしか生息しない。観察した群れはほとんどがヒレンジャクで、キレンジャクは数羽しかいなかった。
漢字では「連雀」と書くとおり基本的には群れていて、甲高い「ヒィーヒィー」という鳴き声も特徴的なので、知っていればすぐに分かる。

レンジャクの群れ

ほとんどがヒレンジャクだが、少なくとも1羽だけキレンジャクがいる。

キレンジャク拡大

キレンジャクは翼の縁も黄色くなる。 写真は動物園で廃棄になったリンゴを食べているところ。

松本城で水浴び

年によって渡ってくる数が変わるが、今年は当たり年のようだ。 松本城でも水を飲んだり浴びたりする様子が観察できた。

 

アルプス公園の自然:エゾビタキ

エゾビタキ

エゾビタキ Muscicapa griseisticta

鳥の仲間には季節に応じて日本にやってくる渡り鳥が多くいる。繁殖のため春から秋にかけ日本で見られる鳥を「夏鳥」、越冬のため秋から春にかけ見られる鳥を「冬鳥」と呼ぶ。そして、渡りの途中で日本に立ち寄り、春か秋の短い期間だけ見られる鳥を「旅鳥」と呼ぶ。

エゾビタキも旅鳥の1種で、秋の公園で見ることができる。胸にある縦斑が特徴で、公園内で見られる近縁種のコサメビタキ(夏鳥)と見分けるポイントになる。ヒタキの仲間には英語で「フライキャッチャー」と呼ばれる一群がいて、枝から飛び出して、飛んでいる昆虫を空中で捕まえる姿が観察できる。上の写真も、そうやって狩りをしている最中だった。

集団で行動するエゾビタキ

小集団で行動することもあるようだ

水浴びをするエゾビタキ

まだ人の少ない朝、公園の水路で水浴び

 

 

展示紹介:松枯れ材を活用したエレキギター

展示の様子

市内で生産されたアカマツギター。松本市はギター生産量日本一です。

アカマツは、松本市の「市の木」にも指定される、市民にとって馴染み深い樹木ですが、近年、市内では松枯れの被害が深刻化しています。松枯れの被害にあった木材は有効活用されず放置されたり、焼却処分されたりすることがほとんですが、市内の企業がエレキギターの材として有効活用する取組みを行っています。そのギターの1つが松本市に寄贈されました。人と自然の関わり、木材の利用を伝える資料として、山と自然博物館で展示中です。

松本産アカマツ・ギタープロジェクトとは?

市内のギター製造会社、(株)ディバイザーでは、松枯れにより止むを得ず伐採したアカマツを用いたエレキギターを作り、販売しています。きっかけは、社員が市内の山林で、松枯れ被害の対策に携わったことでした。 「松枯れ被害など、地域の環境に関心を持つきっかけをつくりたい」という想いから、通常はギターに使用しないアカマツ材の、しかも松枯れ被害にあった取扱いの難しい木材を用いて、試行錯誤の末に完成させました。通常は避ける木材の節や虫食いの跡をデザインに取り入れ、松枯れ材によく見られる青みがかった染みをあえて生かした塗装を施すことで、個性的な印象の「アカマツギター」が完成しました。

松枯れとは

健康なマツが急激に枯れていく病気です。原因は線虫という小さな生物(マツノザイセンチュウ)の寄生により、根から吸い上げた水を通す仮道管が詰まってしまうことです。この線虫は、マツノマダラカミキリの体内にいて、カミキリがマツの新葉をかじると、そこからマツに感染・増殖します。そして枯れたマツにカミキリが産卵し、翌年の初夏には線虫に寄生された新成虫が羽化します。この線虫は、従来日本にはいませんでしたが、外国からの輸入木に寄生しており、そこからマツノマダラカミキリに寄生したといわれています。

マツノマダラカミキリ

マツノマダラカミキリ

 

 

アルプス公園の自然:カマキリモドキ

ヒメカマキリモドキ

ヒメカマキリモドキ Mantispa japonica

三角形の頭、長く伸びた胸部、鎌状になった前脚…カマキリと共通した特徴を持ったこの昆虫は、カマキリモドキと呼ばれている。分類としてはアリジゴクで知られるウスバカゲロウに近い完全変態昆虫で、不完全変態のカマキリとは縁遠い。大きさや色合いもカマキリとは全然違っていて、むしろハチに擬態しているのではないかとも言われている。それでもこれほどの共通点を持つのは「前脚を使って獲物を捕食する」という目的のための収斂進化の賜物だ。

夜の灯火に集まってくるのを探す以外では見つけるのが中々困難な昆虫だが、写真の個体は出勤時に車の中に飛び込んでくるという思いがけない出会いをした。車内の写真ではそれっぽくないので、近場の葉の上に移すという若干のズルをしている。いつどんなチャンスがあるか分からないので、中々カメラは手放せない。

アルプス公園の自然:アリスアブの仲間

コマチアリスアブ雌

メス

コマチアリスアブ雄

オス。メスに比べ複眼が大きい。

博物館前の広場で、金色に輝くアブを複数見つけた。アリスアブというアブの仲間だ。「アリス」という文字をみると何だか可愛らしい印象を受けるが、漢字で書くとすると「蟻巣」で、アリの巣の中で成長するアブの仲間である。

アリスアブは見た目が似た種が多いが、腹部の模様と、寄主であるクロヤマアリFormica japonicaの巣が周辺にあることからコマチアリスアブMicrodon murayamaiだと思われる。

幼虫はドーム型の面白い形をしていて、アリの幼虫や蛹を食べて成長する。一度くらいは見てみたいと思っているのだが…

コマチアリスアブ交尾

交尾

巣の上でホバリングする雌

産卵のタイミングをうかがっているのか、アリの巣の近くにいたり、巣の上でホバリングするメスが観察できた。

 

松本城にやってきた珍客2:トモエガモ

トモエガモが今年も松本城にやってきました。

トモエガモ雌松本城

トモエガモ メス

トモエガモ雄松本城

トモエガモ オス

トモエガモはオスの顔の模様が巴模様に見えることから名づけられたカモで、環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。
ここ数年は全国的に記録が増えているらしく、松本城でも一昨年、昨年とオスを続けて記録していましたが、今年はメスがはじめてあらわれました。
メスはコガモのメスに色も大きさも似ていますが、くちばしの付け根にある白い班で見分けることができます。
(余談ですが今年の松本城はコガモが極端に少ないです。)

松本城であまり見かけないカモは、オスが単独でいることが多く、数日でいなくなってしまうことがほとんどです。
今回のトモエガモはつがいのためか(といってもあまり近くにいないのですが)、1週間ほど前から滞在しているようです。
このまましばらく観察できると嬉しいですが、はたしてどうなるでしょうか。

松本城にやってきた珍客:アメリカヒドリ

冬になると松本城の濠に様々なカモが見られますが、このたび珍客がやってきました。アメリカヒドリです。

松本城アメリカヒドリ

アメリカヒドリ

アメリカヒドリはヒドリガモの仲間で、名前の通り主に北米大陸に生息するカモです。冬になると日本には数多くのヒドリガモ群れでやってきますが、アメリカヒドリはその中に混じって稀に見られます(昨年の全国のガンカモ類の生息調査ではヒドリガモ135,833羽に対してアメリカヒドリ59羽)。
 ところが、松本城ではヒドリガモですら1シーズンで数回見られる程度です。この日は2羽のヒドリガモがいましたので、群れといえる規模ではありませんが、一緒に飛んできたのでしょうか。

 ”ヒドリ”とは漢字で”緋鳥”と書き、赤茶色の頭から付けられた名ですが、アメリカヒドリは白っぽい頭に光沢のある緑が特徴です。雑種が生まれることも多く、アメリカヒドリの特徴を持ったヒドリガモを見かけることもあります。

ヒドリガモオス

ヒドリガモ

雑種

アメリカヒドリの様に緑の模様があるヒドリガモ(撮影:御宝田遊水地)