博物館周辺の自然:ガマズミに集まる甲虫たち
博物館の裏手のガマズミの花に多くの昆虫が集まっていた。特に甲虫の多さには目を見張るものがあったので紹介する。甲虫以外にも双翅目(ハエ・アブの仲間)、鱗翅目(チョウ・ガの仲間)、膜翅目(ハチの仲間)など多くの昆虫が見られた。ガマズミはアルプス公園内の各所に生育するが、これほど多いのは館の周辺ではこの株だけであった。西側が林に面しているという立地がいいのだろうか?
ガマズミ
ガマズミ科の植物。
5~6月にかけて白く小さな花をたくさん咲かせる。
秋には赤い実をつけ、鳥たちが好んで食べる。人間の食用にもなる。
カミキリムシの仲間
コガネムシの仲間
博物館周辺の自然:ヨコヅナサシガメ
学名:Agriosphodrus dohrni
カメムシ目(半翅目)サシガメ科
カメムシの仲間は草食性のものが多いが、サシガメと呼ばれる肉食性の一群がいる。その中でも日本では大型の種(とはいうものの明治以降に中国から入ってきた移入種と考えられている)。幼虫はサクラの幹などで集団越冬し、この時期に羽化するが、羽化直後は体が固まるまでは写真のように真っ赤。
※不用意に触れるとエサの体液を吸うための口吻(こうふん)で刺されることもあるのでご注意ください!
博物館周辺の自然:ヒゲナガハナバチ
ニッポンヒゲナガハナバチ 学名:Eucera nipponensis
シロスジヒゲナガハナバチ 学名:Eucera spurcatipes
ハチ目(膜翅目)ミツバチ科
花に集まるハチの仲間でオスは長い触角が特徴的。長野県には4種類生息していて、アルプス公園で確認したのは今のところこの2種。南駐車場のドウダンツツジや博物館裏のカラスノエンドウに来ていた。
センダイムシクイ
山と自然博物館山と自然博物館山と自然博物館山と自然博物館山と自然博物館
センダイムシクイ 学名:Philloscops coronatus
スズメ目ムシクイ科
この時期、公園内のいたるところで林の中から「チヨチヨビィー」という鳴き声が聞こえてきます。その正体はこのセンダイクシクイです。「虫食い」の名前のとおり葉や枝についている昆虫を食べるムシクイ類の一種で、日本には繁殖のために渡って来る夏鳥です。特徴的な鳴き声(さえずり)をしていますが、木々の間をかなりの頻度で移動しながらさえずるため、姿をとらえるのはなかなか難しいです。
キビタキ
キビタキ 学名:Ficedula narcissina
スズメ目ヒタキ科
林の中から聞こえてくる、笛の音のような鳴き声。その主は黒に美しい黄色が映える小鳥、キビタキのオスでした。繁殖のために日本にやってくる夏鳥で、5~7月にかけて縄張り宣言やメスを呼ぶためにさえずります。林の中でさえずりの聞こえる方向を注意深く見れば、その美しい姿を観察できるかもしれません。
カリン(バラ科)
場所:古民家前
カリンといえば、秋の黄色い大きな果実が印象的ですが、春には淡桃色の可憐な花を咲かせます。カリンの実は酸味が強く硬いのでそのままでは食べられません。砂糖漬けやカリン酒として楽しみます。また、咳止めなどの薬効があるので、のど飴に用いられたりします。
フキ(キク科)
場所:森の入口里間
風が吹くとふわふわと綿毛が舞うので、タンポポかな、と辺りを見回したところ、その正体はフキでした。フキは雌雄異株で、白っぽいのが雌株、黄色っぽいのが雄株。フキノトウの時は地際に生えていますが、その後スルスルと茎が伸びます。特に雌花は高く伸び、結実した実が綿毛で飛びます。
ゴウダソウ(アブラナ科)
ショカッサイに似ているけど、それより赤みが強い紫色で、どことなく違います。最も違いが分かるのは果実。ショカッサイが細長い果実をつけるのに対し、ゴウダソウは平たくなります。そして熟すと薄く中が透けて銀色に輝くようなところから、別名、銀扇草(ぎんせんそう)や銀貨草(ぎんかそう)とも呼ばれています。
ウスバシロチョウ(アゲハチョウ科)
学名:Parnassius citrinarius
食草:ムラサキケマン 出現時期:5月~6月中旬
「シロチョウ」と名が付くがアゲハチョウの仲間で、別名ウスバアゲハ。その名の通り、半透明の白い翅が特徴。アルプス公園でも時期になると大量に発生し、吸蜜中に近づいてもあまり逃げないのでじっくり観察できる。