時の記念日企画展「古時計の魅力」を開催します。

 

        装飾・動作・モチーフの3つの視点

会期:令和3年5月22日(土)~6月20日(日)

6月10日の時の記念日にちなみ、装飾や動きに特徴のある時計を展示し、古時計の魅力を紹介します。

時計博物館_2021イメージ

1 開催趣旨・展示内容

 時の記念日について紹介するとともに、造形に特徴のある資料や装飾が美しいもの、動きが面白いものなどを展示し、古時計の魅力について紹介します。

 また、古時計説明会のために音や動きに特徴を持つキャラクター時計など含むを収蔵資料と令和2年度の新規収蔵資料をあわせて展示します。

2 主催

  松本市時計博物館

3 会場

  松本市時計博物館 3階企画展示室

4 観覧料 

  通常観覧料(大人:310円 小人:150円)

5 展示構成

⑴ 古時計の魅力

 古時計の魅力には様々なものがあり、人それぞれの視点から鑑賞することができますが、今回は、古時計の魅力を装飾・動作・モチーフの3つの側面から紹介し解説します。

⑵ 古時計説明会資料

 園児対象の古時計説明会用資料を展示します。(園を通じて予約終了)

 線香時計をはじめキャラクター時計など珍しい時計資料の実演からユニークな時計を楽しんでいただけます。

⑶ 令和2年度新収蔵資料紹介

 前年度に寄贈された資料について公開します。

 主な資料:令和2年度新収蔵資料

古時計説明会

 古時計を実際に動かしながら時計の仕組みを説明します。

 ○日時   6月5日(土)、6月6日(日)
       【第1回】午前11時20分 【第2回】午後2時20分 (各回とも約20分間)

 ○参加費  通常観覧料

展示品から

163金彩色絵男女文飾時計

装飾に注目

■金彩色絵男女文飾時計 イギリス・19世紀

上下各4面に異なる絵柄を配し装飾性が強い、華やかな佇ま

い。時計はかつて調度品として大切に扱われていた。機械は

ゼンマイ式の8日巻。

 

1194スケルトンクロック

 

動きに注目

■スケルトンクロック 

内部の構造がみえる。鎖引き機構が確認できる。

153口笛吹人形置時計 

モチーフに注目

■口笛吹人形置時計 ドイツ 19世紀

人形が首を動かしながら口笛を吹きながら時間を知らせるユ

ニークな時計。

 

 

令和3年あめ市歴史展示「あめ市近現代史」

 

あめ市近現代史チラシ

 古来より様々に名称や形を変えながら続いてきている「あめ市」は、城下町松本の正月の風物詩となっている伝統行事です。本展では、「あめ市近現代史」と題し、明治・大正・昭和・平成と変化する激動の時代に対し、あめ市がどのように移り変わっていったか、その歴史について紹介します。

『松本繁昌記』初市の挿絵

「『松本繁昌記』初市の挿絵」明治16年

「 塩取合戦」平成18年

「 塩取合戦」平成18年

会期・開館時間

 令和3年1月5日(火)~1月31日(日) 【毎週月曜日は休館(休日の場合はその翌日)】
 午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)

会場

 松本市時計博物館 3階企画展示室

観覧料

 無料(1・2階常設展は通常観覧料)

蓄音機で聴くSPレコードコンサート2020

 11月3日が「レコードの日」であることにちなんで、時計博物館の蓄音機によるSPレコードの演奏会を開催します。

コンソール型蓄音機

コンソール型蓄音機

蝋管式蓄音機

蝋管式蓄音機

ラッパ型蓄音機

ラッパ型蓄音機

 

日時

 令和2年11月3日(火・祝) 午後2時から3時まで

会場

 松本市時計博物館 3階企画展示室 (※演奏中の会場出入りは自由です)

料金

 無料 (1、2階常設展示は通常観覧料が必要)

内容

 時計博物館所蔵の蓄音機とSPレコードによる演奏会です。コンソール型蓄音機とラッパ型蓄音機の演奏の聴き比べや、蝋管式蓄音機の試演なども予定しています。

申込み

 不要

 

「江戸時代の絵本と浮世絵」を開催します。

偐紫田舎源氏初編上下表紙

偐紫田舎源氏初編表紙

 

 本展は、日本浮世絵博物館との共催展として、「江戸時代の絵本と浮世絵」・「押絵雛と浮世絵」・「浮世絵に描かれた時計」の3つのテーマにそって、博物館資料を浮世絵とともに展示し、博物館資料のさらなる魅力を紹介します。

会期

令和2年10月3日(土)~10月25日(日)(毎週月曜日休館)

午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)

会場

松本市時計博物館 3階企画展示室

料金

通常観覧料(大人310円 小・中学生150円)

夏期特別展「時計の部品展」を開催します。

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会期

令和2年7月23日(木・祝)~9月6日(日)

【月曜日休館、休日の場合はその翌日、(ただし8月11日(火)は臨時開館)】

会場  

松本市時計博物館 3階企画展示室

観覧料  

通常観覧料 (大人:310円 小・中学生:150円)

 

概要 

 一般的な機械式時計は、文字盤と指針があり、鐘をついて我々に時間を知らせてくれます。この時計を動かすための時計機械は、様々な役割を持つ機構に分けられます。動力をつかさどる機構、時間を調節する機構、時を打つ機構などがあり、そこに使われる時計部品も一つ一つ重要な役割を果たしています。本展では、機械式時計の歴史や、明治時代以降の日本に普及した時計を主に取り上げ、時計の仕組みや部品の役割などを紹介します。

 

★時計博新聞第3号「時計の修理vol.1」★

はじめに

こんにちは。時計博物館学芸員の小林です!時計博新聞の更新が久しぶりとなってしまいました。創刊号・第2号では、自然の力を利用した原始時計と、13世紀~14世紀頃を出発点とする機械式時計の歴史を紹介してきました。今回は、時計に関する書籍でもあまり取り上げられることがない時計修理について綴りたいと思います。当館最大の強みである動態展示(できる限り動いた状態で展示すること)を可能にする上で大切にしている点でもありますので、この記事をとおして当館や時計に一層興味を持っていただければ幸いです。

逆振り子掛時計

今回修理を行った時計は、「逆振り子掛時計」です。2階常設展示室の西洋の部屋に展示しています。その名の通り、振り子と時計機械が上下逆転した時計で、当館収蔵資料の母体でもある本田親蔵コレクションの一つです。令和6年7月中旬から不調で動かすことができなくなってしまったため、時計技師さんに修理をしていただくことになりました。その修理行程を順を追ってご紹介します。

逆振子掛時計

逆振子掛時計(正面)

 

止まった時計に命を吹き込む

今回は、本来動かすことができる分針が動かなくなってしまっていたため、時計機械に何らかの不具合をきたしていると想定しました。まずは、時計技師さんに文字板や針を外していただき、原因を特定することから始めます。 熟練の技術を持った時計技師さんの洞察力によって、故障の原因はすぐに判明しました。アゲカマという部品が本来あるべき場所からずれ、部品の噛み合わせ不良が生じていたのです。一つの部品の不具合に伴ってすべての部品の位置ずれが起こってしまっていたため、アゲカマを含めたすべての部品を正しい場所に戻していただきました。

逆振り子時計の機械

逆振り子時計の機械

 

 

 

 

 

 

 

合わせて、歯車が回転する際にとりわけ負荷がかかるホゾ穴(歯車の心棒が差し込まれた穴)を中心に油をさしました。 部品の位置が改善され、歯車が円滑に回転するようになったところで、再度組み上げを行って修理は完了です。まるで時計に命が吹き込まれたように一定のリズムで「コチコチ」と時を刻み始めたその姿に、とても感慨深い気持ちになりました。

修理を終えて

今回の修理を通して、逆振り子時計は時計メーカーが製造したオリジナルの時計ではなく、後世に改造された時計であることがわかりました。各種部品に手を加えた形跡があり、特筆すべきは本来下部にあった振り子を上部に付け替える加工がなされていたのです。この改造を行ったのは時計収集家・本田親蔵氏本人であると考えられ、同氏のユニークな個性が偲ばれる資料といえるのではないでしょうか。当館にお越しいただき、是非とも実物の時計をご覧ください。皆さまのご来館をお待ちしております!

☆夏季特別展「美しき古時計とクラフト時計の世界」を開催します!

開催概要

 こんにちは!時計博物館学芸員の小林です。NPO法人松本クラフト推進協会特別協力のもと、夏季特別展「美しき古時計とクラフト時計の世界」を開催します。時計は、ぜんまいや振り子の発明といった科学技術の進展による「精度」「実用性」の向上、所持者のステータスシンボルとしての「装飾性」の追求など、様々な側面で進化してきました。当館所蔵の古時計コレクションと現代クラフト作家が製作したクラフト時計の展示をとおして、時計の「装飾性」に注目し、時計の作り手が一点一点に込めた情熱と手業に思いを巡らせていただければ幸いです。皆さまのご来館をお待ちしております。詳細は下記をご覧ください。
※夏季特別展のチラシはコチラから!

1 開催名

NPO法人松本クラフト推進協会特別協力
松本市時計博物館夏季特別展「美しき古時計とクラフト時計の世界」

2 会場

松本市時計博物館 3階企画展示室

3 会期

令和6年7月27日(土)~9月8日(日)午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
毎週月曜日休館(月曜日が祝日の場合は翌平日が休館)
※8月13日(火)は臨時開館します。

4 観覧料

通常観覧料(大人310円 小中学生150円)
未就学児無料

5 見どころ

1 木工~最も身近な時計の装飾

時計の装飾性に注目した際、最も多く製作されている木材を使った時計を展示します。ドイツ・シュヴァルツヴァルト地方の農夫が、農業の閑散期に副業として製作したカッコウ時計をはじめ、現代クラフト作家が手掛けた木工の時計まで、木材の身近さ、加工のしやすさをいかした様々な時計をご覧ください。

振り子回転置時計(当館所蔵)

振り子回転置時計

木製掛時計(当館所蔵)

木製掛時計

魚の泳ぐ街©花塚光弘

魚の泳ぐ街©花塚光弘

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2 金工~重厚感ある時計の装飾

時計のケースや高精度な機械部品としても度々使用された金属素材の時計を展示します。ルイ16世風と呼ばれるフランス製の装飾時計をはじめ、戦後までの掛時計・置時計では使用されることが少なかったアルミニウムのクラフト時計まで、重厚感ある時計の数々をお楽しみください。

バロック風掛時計(当館所蔵)

バロック風掛時計

フライパン形掛時計(当館所蔵)

フライパン形掛時計

アルミニウムの掛時計©コバヤシユウジ

アルミニウムの掛時計©コバヤシユウジ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3 様々な時計の装飾

石やガラスなど、様々な素材を使って製作された時計をご紹介します。時計の進化が人類の生活史に及ぼした影響を思いながらご覧ください。

宝石取巻大理石飾置時計(当館所蔵)

宝石取巻大理石飾置時計

ピアノ弾き人形時計(当館所蔵)

ピアノ弾き人形時計

 

4 懐中時計の装飾

スイスやフランスを中心に製作された懐中時計を展示します。裏蓋や文字盤に加飾されたエナメル絵画の美しさにご注目ください。

5 大量生産体制と時計の標準化

19世紀以降に確立した時計の大量生産体制によって、時計製作の大部分は機械生産・工場生産に移行しました。これによって規格化・標準化された時計を展示します。伝統的な手工業と比べるとデザインの斬新さなどは少ないながらも、企業努力や技術力の高さが感じられる時計をご覧ください。

木彫小形掛時計(当館所蔵)

木彫小形掛時計

水銀振り子置時計(当館所蔵)

水銀振り子置時計

☆学都松本推進事業 まち歩き講座「時の鐘と松本城下のくらし」について

時の記念日に合わせて、まち歩き講座を開催します!

こんにちは。時計博物館学芸員の小林です。今回は、学都松本推進事業の一環として、まち歩き講座「時の鐘と松本城下のくらし」を開催します。(学都松本推進事業の詳細はコチラをご覧ください。)
まち歩きをしながら、時間や時計、時の記念日について学び、時について深く考える機会にしていただければ嬉しいです。皆さまの参加をお待ちしています。

日時:令和6年6月9日(日)午後2時~午後4時
集合場所:時計博物館 1階受付前ロビー
対象:小学生以上
定員:20名 ※定員以上の申込みがあった場合は、抽選にて決定
受講料:通常観覧料(大人310円・小中学生150円)
講師:時計博物館 学芸員
申込み:令和6年5月11日(土)午前9時~5月17日(金)午後5時までに、下記リンクからお申し込みください。
※お申込みはコチラから!

★夏期特別展「航海と旅を支えた時計」の開催について★

「航海と旅を支えた時計~甦る英国古時計コレクション~」の開催

こんにちは!時計博物館学芸員の小林です。いつも当館の博物館活動にご協力賜りありがとうございます。タイトルの通り、松本市時計博物館夏期特別展示を開催します。本展は、イギリス製の古時計を中心に、航海において使用されたマリンクロノメーターや旅先へ持ち歩いたトラベル時計、鉄道業界で今も用いられている懐中時計など、人々の生活を支えた時計の数々をご紹介するものです。旅を主に、人々の営みと密接に関わっていた多種多様な時計をご覧ください。
本展の開催チラシは以下から!
チラシ表
チラシ裏

開催概要

1 開催名

松本市時計博物館夏期特別展「航海と旅を支えた時計~甦る英国古時計コレクション~」

2 会場

松本市時計博物館 3階企画展示室

3 会期

令和5年7月29日(土)~9月10日(日)午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
※毎週月曜日休館

※8月14日(月)は臨時開館

4 観覧料

通常観覧料(大人310円 小中学生150円)

5 見どころ

⑴航海を支えた時計

本展のメインコーナーのひとつです。大航海時代(15世紀~17世紀前半)の世界各国では、安全な船旅のため、経度を測定すること、引いては船上の厳しい環境下でも正確な時刻を刻む時計の発明が急務となりました。やがて、18世紀にイギリス人大工のジョン・ハリソンとフランス人時計師のピエール・ル・ロワが、船の揺れなどの影響を受けないマリンクロノメーターを発明したことを契機に、より高精度な時計が製造されるようになりました。時計の歴史を紐解く上でも外すことができないマリンクロノメーター(船舶時計)を公開します。

マリンクロノメーター(当館所蔵)

マリンクロノメーター(当館所蔵)

※展示資料から1点ご紹介!
<マリンクロノメーター/イギリス製/19世紀>
船が揺れても水平が保たれる構造になっており、マホガニー製の重厚な木箱に収まっています。船の運命を左右するだけに、機械も精密精巧に作られています。

⑵英国古時計

本展のもう一つのメインコーナーです。1657年に世界初の振り子時計が製作され、装飾時計の時代から高精度な時計を作る時代に転換しました。この頃を境に時計産業の主役に躍り出たのがイギリスで、約1世紀の間世界の時計産業を牽引しました。本コーナーでは、時計産業発展の一端を見ることができる英国古時計をご紹介します。

ロールスロイス形自動車時計(当館所蔵)

ロールスロイス形自動車時計(当館所蔵)

※展示資料から1点ご紹介!
<ロールスロイス形時計/イギリス製/19世紀>
イギリスの代表的な自動車メーカー・ロールスロイスの自動車をモチーフにした時計です。産業革命の息吹が感じられる時計のひとつでもあります。

⑶懐中時計の世界

ポケットウォッチと呼ばれて愛されている懐中時計を公開します。高精度な時計としての実用性のほかに、一種の装飾品として愛用されたため、文字盤やケースに施されたエナメル加工、デザイン性溢れる鍵や鎖、精密精緻なムーブメントなど、見所満載です。また、現在も鉄道業界で用いられている鉄道懐中時計は、シンプルながらも見やすいデザインとなっており、必見です。

懐中時計(当館所蔵)

懐中時計(当館所蔵)

※展示資料から1点ご紹介!
<懐中時計/イギリス製/19世紀>
文字盤が表裏ガラスになっており、機械部分が見えないのに針が動く神秘的な時計です。透明時計とも呼ばれています。現在は残念ながら稼働しません。

⑷旅を支えたトラベル時計

本コーナーは、戦後の日本で流行したトラベル時計を展示します。トラベル時計は、その名の通り、旅行先で使用することができる持ち運びに便利な小型の時計です。戦後の主流は革張りケースに時計が収まったゼンマイ式のトラベル時計でしたが、現在は電池で動くものがほとんどで、デザインも豊富です。

⑸令和4年度新収蔵資料

令和4年度に寄贈いただいた野澤コレクションの時計をご紹介します。長野県箕輪町で創業した龍水社の時計と、リズム時計、シチズン時計の時計を展示します。当館開館以来初公開の時計もありますので、ぜひご覧ください。

⑹「時計技師の技術と機械式時計の仕組み」

時計産業を支える時計技師の仕事と機械式時計を構成している各部品を紹介します。普段ではほとんど見られない時計の裏側の世界へとご案内します。

⑺「松本市時計博物館オリジナルぬりえコーナー」

お子さんの夏休みに合わせ、今回は5種類の絵柄を楽しむことができるぬりえコーナーを準備しました。たくさんの時計に囲まれながら、優雅なぬりえタイムを楽しんでみてはいかがでしょうか。

★古時計ねじ巻き見学会開催のご案内★

1 開催名

古時計ねじ巻き見学会

見学会の様子(大型振子置時計)

過去の見学会の様子

2 開催日時

令和5年3月11日(土)、3月12日(日)午前9時~午前10時まで 
※各日の見学会は同内容です。

3 会場

松本市時計博物館1階・2階常設展示室

4 受講料

通常観覧料 大人310円 小中学生150円

5 内容

古時計のねじ巻きや時刻合わせの様子を特別公開し、各時計の歴史、特徴をお話しする見学会です。通常、開館前に時計技師が行っている作業を見学することで、博物館の裏側を垣間見ることができます。古時計の新たな魅力を発見してみてください。

見学会の様子

過去の見学会の様子

6 定員

10名程度

7 申込み

令和5年3月7日(火)午前9時~3月10日(金)午後5時 
電話にて時計博物館(0263-36-0969)まで ※満員になり次第受付終了とさせていただきますので、あらかじめご了承ください。

★時計博新聞第2号「時計の歴史~機械式時計編~」★

はじめに

 こんにちは。時計博物館学芸員の小林です!時計博新聞の創刊からだいぶ期間が開いてしまい申し訳ありません。前号では、機械式時計が誕生する前、太陽や線香、水、砂といった自然万物のメカニズムを用いた原始時計についてご紹介しました。機械部品を用いない時計ですが、先人たちの英知が感じられる時計が多かったですね。ご興味のある方はコチラをご覧ください。

線香時計

線香時計(龍の時計、当館所蔵)

機械式時計の誕生

 今回は、機械式時計の歴史についてご紹介します。機械式時計とは、歯車などの機械部品を組み込んだ時計のことです。紀元前の時代から自然の力を利用した原始時計を用いてきた人間にとって、機械式時計の発明は大変革でした。一方で、機械式時計がいつ、どこで、誰によって発明されたのかを証明する資料はありません。現存最古の機械式時計は、1360年頃にフランス国王シャルル5世がドイツ人のアンリ=ド=ヴィックに製作させた塔時計だといわれています。

スペイン製掛け時計(機械式時計初期おもり式、当館所蔵)

スペイン製掛け時計(機械式時計初期おもり式、当館所蔵)

機械式時計草創期~おもり式時計

 アンリ=ド=ヴィック製作の塔時計をはじめとした草創期の機械式時計は、重いおもりを垂らし、おもりが重力によって降下する力を原動力としました。歯車や連動する時計の針が急速に回ってしまうのを調整するため、冠型脱進機という調速機構を用いました。その後の機械式時計の発展は、この脱進機の改良により、急速に進んだと考えられます。
 機械式時計の発明により、時計の精度が格段に向上した半面、草創期の機械式時計に用いられたおもりは大変重く、また、時計の下部におもりが降下するためのスペース確保が必要であり、扱いづらいものでした。

オランダ製ダッチクロック(機械式時計初期おもり式、当館所蔵)

オランダ製ダッチクロック(機械式時計初期おもり式、当館所蔵)

機械式時計の進化~ゼンマイと振り子時計の発明

 16世紀初頭、ドイツ人のピーター=ヘンラインによって時計の新たな原動力となるゼンマイが、次いで17世紀中頃、オランダ人の科学者クリスチャン=ホイヘンスによって振り子を脱進機として用いた振り子時計が発明されました。これを契機に、オランダ、イギリス、ドイツ、フランスなどのヨーロッパ諸国で、振り子掛け時計や大型置き時計、チャイム時計など様々な時計が製作されました。それぞれの時計の特徴に関しては、今後の時計博新聞で随時紹介する予定ですのでお楽しみに。
 当時の時計は現代のような量産型の時計ではなく、時計師の手工業による1点ものが多く、時計一つから当時の世相を感じ取ることができます。ぜひ当館にご来館いただき、今も時を刻む至極の古時計コレクションに思いを馳せてください。

機械式時計の部品(明治期、日本製、当館所蔵)

機械式時計の部品(明治期、日本製、当館所蔵)

機械式時計の小型化~懐中時計

  ゼンマイの発明からおよそ100年、17世紀に入り小型の携帯時計である懐中時計が考案されました。現存最古の懐中時計は、オリバー=クロムウェルが使用した懐中時計(1625年頃の製作か?)だといわれています。当時は懐中時計を扱う時計師が少なかったため、一部の上流貴族が持つ高級品でした。その後、スイスを中心に量産体制が確立すると、安定供給が実現され、多くの人の手に渡るようになりました。現在、懐中時計の販売を手掛けるメーカーは少数となってしまいましたが、スマートウォッチやスマートフォンにはないファッション性を持ち、ロマンがあります。当館では、時計の歴史を100年早めたとも言われる天才時計師・ブレゲの製作した懐中時計も展示しています。ぜひ間近でご覧ください。皆様のご来館を心よりお待ちしております。

イギリス製懐中時計(別名透明時計、当館所蔵)

イギリス製懐中時計(別名透明時計、当館所蔵)

 

★年末年始の休館日のお知らせ★

いつも松本市時計博物館をご愛顧いただき誠にありがとうございます。学芸員の小林です!冬も深まり、あっという間に2022年の年末を迎えました。来年も一層お客様に快適に過ごしていただける博物館運営に努めて参りますので、よろしくお願い申し上げます。さて、年末年始の休館日についてご案内いたします。下記をご覧ください。

休館期間:令和4年12月29日(木)~令和5年1月3日(火)
※2023年は1月4日(水)午前9時からご覧いただけます。

★あめ市歴史展示「塩の道とあめ市のはじまり」のご案内★

はじめに

 こんにちは!時計博物館学芸員の小林です。11月20日(日)にまち歩き講座「松本の時の鐘を訪ねて」を開催しました。皆さんと共に協働しながら、松本についての学びを深めることができ、一層松本に愛着を持つ機会となりました。生憎の雨模様でしたが、たくさんのお客様にご参加いただき誠にありがとうございました。
 さて、今回はあめ市歴史展示開催についてのご案内です。あめ市歴史展示は、商都松本の新春の風物詩である「松本あめ市」の開催に合わせ、あめ市実行委員会様との共催で、毎年開催している展覧会となります。今回の展覧会のテーマは、「塩の道とあめ市のはじまり」です。あめ市の起源ともいわれる「塩市」と、塩が運ばれた街道、通称塩の道について触れ、あめ市のはじまりを紐解きます。あめ市の誕生に触れながら、代々受け継がれた松本のにぎわいを生む伝統行事に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

開催概要

あめ市歴史展示のチラシはコチラ

1 会期

令和5年1月4日(水)~1月29日(日) 午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
※1月10日(火)、16日(月)、23日(月)は休館日

2 会場

松本市時計博物館3階企画展示室

3 観覧料

大人310円、小中学生150円(あめ市歴史展示のみご覧になる方は無料です)

4 展示構成

⑴ 導入「あめ市の変遷」…あめ市歴史年表を中心に、あめ市の誕生から発展までの歴史を紹介します。
⑵ メイン「塩の道とあめ市のはじまり」…あめ市の起源とされる塩市と、塩を運んだ街道「塩の道」に関する資料を展示します。中でも、塩の道ちょうじや(大町市)収蔵の塩の道関連資料は当館初公開です。ぜひご覧ください。
⑶ メイン2「松本あめ市の隆盛」…あめ市のメインイベント「時代行列」に関する資料を中心に、あめ市のにぎわいの歴史をご紹介します。
⑷ コラム「上杉謙信の義塩伝説」

★まち歩き講座「松本の時の鐘を訪ねて」開催のご案内★

はじめに

 こんにちは!時計博物館の小林です。朝晩が冷え込む季節となりました。先日、浅間温泉文化センターで開催された千田嘉博氏の講演会「松本城と世界のお城」に参加してきました。300名を超える方々がお越しで、改めて松本市民の学びへの熱意が感じられ、学芸員として身が引き締まる思いです。講師の千田嘉博氏は、大学で日本中世史を学んでいた私にとって憧れの方であり、その方から松本城に関する最新の見解を聞けるということで、とても幸せなひと時でした。改めて、松本城が人類史上の顕著な普遍的価値を持つ近世城郭だったことを知り、松本市民として誇りを感じる時間でした。
 前置きが長くなってしまいましたが、今回はまち歩き講座のご案内です。この講座は時計博物館内の見学だけでなく、江戸時代の松本の時間感覚を支えた時の鐘を見学しながら、時間や時計の貴重さに思いを馳せるものです。松本城下を歩きながら学芸員が解説しますので、温かい服装をご準備の上ご参加ください。
 詳しくは下記要項をご覧いただきますようお願いいたします。チラシはコチラから!

講座の要項

1 日時

令和4年11月20日(日)午後2時~午後4時

2 集合場所・会場

集合場所:時計博物館1階受付前
会場:時計博物館2階展示室→浄林寺→松本城太鼓門→旧念来寺

浄林寺鐘楼

浄林寺鐘楼

3 申し込み方法 

11月8日(火)午前9時からお電話にて(0263-36-0969) ※先着20名

4 対象

高校生以上

5 受講料

通常観覧料(大人310円)

6 講師

松本市時計博物館 学芸員 小林 駿

7 内容

日本は明治時代初期まで、公的機関や上流階級を除いて現在のような機械式時計を持たず、お城や神社・寺院から聞こえてくる鐘の音で時間を把握していました。l今回は松本城下に時を知らせた時の鐘を巡り、時間や時計の大切さに思いを馳せるまち歩き講座です。皆様のご参加をお待ちしております。

江戸時代に製作された和時計

江戸時代に製作された和時計

 

 

★「蓄音機で聴く!SPレコードコンサート2022」の開催について★

1 開催名

「蓄音機で聴く!SPレコードコンサート2022」~蓄音機で楽しむ楽器の音色と魅力~

2 テーマ

★イベントのチラシは、コチラをクリック★

 SPレコードコンサートは、11月3日の「レコードの日」に合わせ、当館で毎年開催しています。昭和52年(1957)、日本レコード協会は「レコードは文化財である」という考えから、文化の日の11月3日をレコードの日に制定しました。当館は時計のほか多くのレコードを所蔵しており、その一部を今回のコンサートでお楽しみいただきます。古い蓄音機の多くはゼンマイを動力としており、時計と似た点があったことから、時計蒐集家・本田親蔵氏も蓄音機を蒐集しました。
 今年のSPレコードコンサートのテーマは、「蓄音機で楽しむ楽器の音色と魅力」です。今回はピアノ協奏曲やヴァイオリン協奏曲、フルート協奏曲など、様々な楽器が奏でる音色をお楽しみいただきます。蝋管式、ラッパ式、コンソール式といった蓄音機の型における音の違いにも注目です。蓄音機から流れるレトロな音楽にひたり、優雅なひと時をお過ごしください。

3 開催日時

令和4年11月3日(木・祝)午後2時~午後3時まで

4 会場

松本市時計博物館 3階企画展示室(演奏中、会場への出入り自由)

5 料金

通常観覧料 大人310円 小中学生150円

6 その他

事前のお申込みは不要です。当日上記会場までお越しください。皆様のご来館を心よりお待ちしております。