☆【放送終了】NHK新番組に当館収蔵の時計が登場します!

当館収蔵資料のご紹介もありますテレビ番組が放送されますのでお知らせします!

放送日時:3月26日(水)21時~22時
放送局・番組名:NHK BS 新番組「ランキングヒストリー」

世界を変えた発明の中で、当館収蔵のマリンクロノメーターや時計におけるネジの重要性について、担当学芸員がご案内しました。普段は見ることができない時計の内部機構もご紹介していただく予定です!ぜひご覧ください!
番組ホームページはこちらから!

【重要なお知らせ】令和7年4月1日より観覧料及び休館日が変更となります。

いつも時計博物館をご愛顧いただきありがとうございます。以下のとおり、観覧料と休館日が変更となりますのでご理解のほどよろしくお願いいたします。

〇3月31日(月)までの観覧料:大人310円/小中学生150円
4月1日(火)からの観覧料:一般(高校生以上)500円/小中学生200円


〇3月31日(月)までの休館日:毎週月曜日
4月1日(火)からの休館日:毎週火曜日

※以上に則り、3月31日(月)・4月1日(火)は休館日となりますのでご注意ください。

★時計博新聞第4号「ローリングボールクロック修理大作戦!」★

あけましておめでとうございます。時計博物館学芸員の小林です。今年もよろしくお願いいたします。今回は修理中のローリングボールクロックの状況についてご紹介します。

当館大人気の時計が故障…

 ミステリアスな動きをし、いつまでも眺めていられる時計として当館でも人気を博している「ローリングボールクロック」。当館収蔵資料の母体となっている古時計コレクションをご寄贈してくださった故・本田親蔵が製作し、時計博物館の顔ともいえる時計ですが、今年の春に故障し、動かなくなってしまいました…

ローリングボールクロックとは

 本田氏製作のローリングボールクロックは、真鍮磨きの板の端から端まで片道15秒でボールが転がり、左から時、分、秒を示す文字板の針が時を刻みます。ローリングボールクロックの発明は、1800年代初頭まで遡り、イギリス人のウィリアム・コングリーヴ(1772-1828)が1808年に特許を取得したといわれています。
 時は下って、本田氏がローリングボールクロックの製作を試みた戦後の時代は、日本にモデルがありませんでしたが、本田氏は丸2年をかけて古文献を漁りながら試行錯誤を繰り返し、昭和49年(1974)に完成させました!

ローリングボールクロック(本田親蔵製作、昭和49年)

ローリングボールクロック    (本田親蔵製作、昭和49年)

ローリングボールクロック修理大作戦スタート!

 今年の夏から本格的に時計技師さんへ修理を依頼しました。分解点検をしていただいたところ、時計の動力であるゼンマイが切れていることが判明しました。ゼンマイ切れは古い時計の故障でよくある事例です。ゼンマイが切れてしまった場合の修理は原則として、①同等のサイズのゼンマイと交換、②切れたゼンマイを加工してつなげるという2つの方法があります。

切れたぜんまいと加工してつないだ部分

切れたぜんまいと加工してつないだ部分


 いよいよローリングボールクロック修理大作戦が始まりました。ゼンマイ切れの修理方法に従えば、今回の修理も無事に終わるはず…!と思っていましたが、やはり現実は厳しいものでした。このローリングボールクロックは数年前にもゼンマイ切れが発生し、先述した②の方法でつなぎ合わせていたのです。ゼンマイをつなげる②の方法はいわば苦肉の策であり、2度目に切れてしまったらもう一度つなぐという事例は聞いたことがありませんでした。なぜなら、つなげる分ゼンマイの長さが短くなってトルクが弱くなってしまったり、ゼンマイがふくらんで修理がとても難しくなるからです。

 残る修理方法は、同等サイズのゼンマイを探して入れ替えることですが、この時計には鎖引き(チェーン&フュージ)機構というトルクを安定させる定力機構がついており、一般的なゼンマイに比べてゼンマイ幅がかなり広いため、同等のゼンマイを確保することは容易ではありません。マニア、コレクターさんならばこの悩みをわかっていただけることと思います…。

チェーン&フュージ機構 引用:Wikipedia

チェーン&フュージ機構
引用:Wikipedia

 夏から始まった修理大作戦!熟練の技術を持つ時計技師さんに最善を尽くしていただきましたが、やはり同等のゼンマイを見つけるまでは修理が難しいという結論になりました。現在は、蓄音機に使われている大型ゼンマイを加工してローリングボールクロックに合ったゼンマイを作ることができないか、時計技師さんに奔走していただいております。
 今回の修理をとおして、学芸員としての力不足を感じるとともに、動態展示を続けることの大変さを痛感しました。ローリングボールクロックは引き続き修理中ですが、当館では同じタイプのローリングボールクロック(イギリス製)を展示しています。ミステリアスでエンターテインメント性溢れるこの時計を見に、ぜひ時計博物館へご来館ください。

★時計博新聞第3号「時計の修理vol.1」★

はじめに

こんにちは。時計博物館学芸員の小林です!時計博新聞の更新が久しぶりとなってしまいました。創刊号・第2号では、自然の力を利用した原始時計と、13世紀~14世紀頃を出発点とする機械式時計の歴史を紹介してきました。今回は、時計に関する書籍でもあまり取り上げられることがない時計修理について綴りたいと思います。当館最大の強みである動態展示(できる限り動いた状態で展示すること)を可能にする上で大切にしている点でもありますので、この記事をとおして当館や時計に一層興味を持っていただければ幸いです。

逆振り子掛時計

今回修理を行った時計は、「逆振り子掛時計」です。2階常設展示室の西洋の部屋に展示しています。その名の通り、振り子と時計機械が上下逆転した時計で、当館収蔵資料の母体でもある本田親蔵コレクションの一つです。令和6年7月中旬から不調で動かすことができなくなってしまったため、時計技師さんに修理をしていただくことになりました。その修理行程を順を追ってご紹介します。

逆振子掛時計

逆振子掛時計(正面)

 

止まった時計に命を吹き込む

今回は、本来動かすことができる分針が動かなくなってしまっていたため、時計機械に何らかの不具合をきたしていると想定しました。まずは、時計技師さんに文字板や針を外していただき、原因を特定することから始めます。 熟練の技術を持った時計技師さんの洞察力によって、故障の原因はすぐに判明しました。アゲカマという部品が本来あるべき場所からずれ、部品の噛み合わせ不良が生じていたのです。一つの部品の不具合に伴ってすべての部品の位置ずれが起こってしまっていたため、アゲカマを含めたすべての部品を正しい場所に戻していただきました。

逆振り子時計の機械

逆振り子時計の機械

 

 

 

 

 

 

 

合わせて、歯車が回転する際にとりわけ負荷がかかるホゾ穴(歯車の心棒が差し込まれた穴)を中心に油をさしました。 部品の位置が改善され、歯車が円滑に回転するようになったところで、再度組み上げを行って修理は完了です。まるで時計に命が吹き込まれたように一定のリズムで「コチコチ」と時を刻み始めたその姿に、とても感慨深い気持ちになりました。

修理を終えて

今回の修理を通して、逆振り子時計は時計メーカーが製造したオリジナルの時計ではなく、後世に改造された時計であることがわかりました。各種部品に手を加えた形跡があり、特筆すべきは本来下部にあった振り子を上部に付け替える加工がなされていたのです。この改造を行ったのは時計収集家・本田親蔵氏本人であると考えられ、同氏のユニークな個性が偲ばれる資料といえるのではないでしょうか。当館にお越しいただき、是非とも実物の時計をご覧ください。皆さまのご来館をお待ちしております!

☆学都松本推進事業 まち歩き講座「時の鐘と松本城下のくらし」について

時の記念日に合わせて、まち歩き講座を開催します!

こんにちは。時計博物館学芸員の小林です。今回は、学都松本推進事業の一環として、まち歩き講座「時の鐘と松本城下のくらし」を開催します。(学都松本推進事業の詳細はコチラをご覧ください。)
まち歩きをしながら、時間や時計、時の記念日について学び、時について深く考える機会にしていただければ嬉しいです。皆さまの参加をお待ちしています。

日時:令和6年6月9日(日)午後2時~午後4時
集合場所:時計博物館 1階受付前ロビー
対象:小学生以上
定員:20名 ※定員以上の申込みがあった場合は、抽選にて決定
受講料:通常観覧料(大人310円・小中学生150円)
講師:時計博物館 学芸員
申込み:令和6年5月11日(土)午前9時~5月17日(金)午後5時までに、下記リンクからお申し込みください。
※お申込みはコチラから!

★古時計ねじ巻き見学会開催のご案内★

1 開催名

古時計ねじ巻き見学会

見学会の様子(大型振子置時計)

過去の見学会の様子

2 開催日時

令和5年3月11日(土)、3月12日(日)午前9時~午前10時まで 
※各日の見学会は同内容です。

3 会場

松本市時計博物館1階・2階常設展示室

4 受講料

通常観覧料 大人310円 小中学生150円

5 内容

古時計のねじ巻きや時刻合わせの様子を特別公開し、各時計の歴史、特徴をお話しする見学会です。通常、開館前に時計技師が行っている作業を見学することで、博物館の裏側を垣間見ることができます。古時計の新たな魅力を発見してみてください。

見学会の様子

過去の見学会の様子

6 定員

10名程度

7 申込み

令和5年3月7日(火)午前9時~3月10日(金)午後5時 
電話にて時計博物館(0263-36-0969)まで ※満員になり次第受付終了とさせていただきますので、あらかじめご了承ください。

★時計博新聞第2号「時計の歴史~機械式時計編~」★

はじめに

 こんにちは。時計博物館学芸員の小林です!時計博新聞の創刊からだいぶ期間が開いてしまい申し訳ありません。前号では、機械式時計が誕生する前、太陽や線香、水、砂といった自然万物のメカニズムを用いた原始時計についてご紹介しました。機械部品を用いない時計ですが、先人たちの英知が感じられる時計が多かったですね。ご興味のある方はコチラをご覧ください。

線香時計

線香時計(龍の時計、当館所蔵)

機械式時計の誕生

 今回は、機械式時計の歴史についてご紹介します。機械式時計とは、歯車などの機械部品を組み込んだ時計のことです。紀元前の時代から自然の力を利用した原始時計を用いてきた人間にとって、機械式時計の発明は大変革でした。一方で、機械式時計がいつ、どこで、誰によって発明されたのかを証明する資料はありません。現存最古の機械式時計は、1360年頃にフランス国王シャルル5世がドイツ人のアンリ=ド=ヴィックに製作させた塔時計だといわれています。

スペイン製掛け時計(機械式時計初期おもり式、当館所蔵)

スペイン製掛け時計(機械式時計初期おもり式、当館所蔵)

機械式時計草創期~おもり式時計

 アンリ=ド=ヴィック製作の塔時計をはじめとした草創期の機械式時計は、重いおもりを垂らし、おもりが重力によって降下する力を原動力としました。歯車や連動する時計の針が急速に回ってしまうのを調整するため、冠型脱進機という調速機構を用いました。その後の機械式時計の発展は、この脱進機の改良により、急速に進んだと考えられます。
 機械式時計の発明により、時計の精度が格段に向上した半面、草創期の機械式時計に用いられたおもりは大変重く、また、時計の下部におもりが降下するためのスペース確保が必要であり、扱いづらいものでした。

オランダ製ダッチクロック(機械式時計初期おもり式、当館所蔵)

オランダ製ダッチクロック(機械式時計初期おもり式、当館所蔵)

機械式時計の進化~ゼンマイと振り子時計の発明

 16世紀初頭、ドイツ人のピーター=ヘンラインによって時計の新たな原動力となるゼンマイが、次いで17世紀中頃、オランダ人の科学者クリスチャン=ホイヘンスによって振り子を脱進機として用いた振り子時計が発明されました。これを契機に、オランダ、イギリス、ドイツ、フランスなどのヨーロッパ諸国で、振り子掛け時計や大型置き時計、チャイム時計など様々な時計が製作されました。それぞれの時計の特徴に関しては、今後の時計博新聞で随時紹介する予定ですのでお楽しみに。
 当時の時計は現代のような量産型の時計ではなく、時計師の手工業による1点ものが多く、時計一つから当時の世相を感じ取ることができます。ぜひ当館にご来館いただき、今も時を刻む至極の古時計コレクションに思いを馳せてください。

機械式時計の部品(明治期、日本製、当館所蔵)

機械式時計の部品(明治期、日本製、当館所蔵)

機械式時計の小型化~懐中時計

  ゼンマイの発明からおよそ100年、17世紀に入り小型の携帯時計である懐中時計が考案されました。現存最古の懐中時計は、オリバー=クロムウェルが使用した懐中時計(1625年頃の製作か?)だといわれています。当時は懐中時計を扱う時計師が少なかったため、一部の上流貴族が持つ高級品でした。その後、スイスを中心に量産体制が確立すると、安定供給が実現され、多くの人の手に渡るようになりました。現在、懐中時計の販売を手掛けるメーカーは少数となってしまいましたが、スマートウォッチやスマートフォンにはないファッション性を持ち、ロマンがあります。当館では、時計の歴史を100年早めたとも言われる天才時計師・ブレゲの製作した懐中時計も展示しています。ぜひ間近でご覧ください。皆様のご来館を心よりお待ちしております。

イギリス製懐中時計(別名透明時計、当館所蔵)

イギリス製懐中時計(別名透明時計、当館所蔵)

 

★年末年始の休館日のお知らせ★

いつも松本市時計博物館をご愛顧いただき誠にありがとうございます。学芸員の小林です!冬も深まり、あっという間に2022年の年末を迎えました。来年も一層お客様に快適に過ごしていただける博物館運営に努めて参りますので、よろしくお願い申し上げます。さて、年末年始の休館日についてご案内いたします。下記をご覧ください。

休館期間:令和4年12月29日(木)~令和5年1月3日(火)
※2023年は1月4日(水)午前9時からご覧いただけます。

★まち歩き講座「松本の時の鐘を訪ねて」開催のご案内★

はじめに

 こんにちは!時計博物館の小林です。朝晩が冷え込む季節となりました。先日、浅間温泉文化センターで開催された千田嘉博氏の講演会「松本城と世界のお城」に参加してきました。300名を超える方々がお越しで、改めて松本市民の学びへの熱意が感じられ、学芸員として身が引き締まる思いです。講師の千田嘉博氏は、大学で日本中世史を学んでいた私にとって憧れの方であり、その方から松本城に関する最新の見解を聞けるということで、とても幸せなひと時でした。改めて、松本城が人類史上の顕著な普遍的価値を持つ近世城郭だったことを知り、松本市民として誇りを感じる時間でした。
 前置きが長くなってしまいましたが、今回はまち歩き講座のご案内です。この講座は時計博物館内の見学だけでなく、江戸時代の松本の時間感覚を支えた時の鐘を見学しながら、時間や時計の貴重さに思いを馳せるものです。松本城下を歩きながら学芸員が解説しますので、温かい服装をご準備の上ご参加ください。
 詳しくは下記要項をご覧いただきますようお願いいたします。チラシはコチラから!

講座の要項

1 日時

令和4年11月20日(日)午後2時~午後4時

2 集合場所・会場

集合場所:時計博物館1階受付前
会場:時計博物館2階展示室→浄林寺→松本城太鼓門→旧念来寺

浄林寺鐘楼

浄林寺鐘楼

3 申し込み方法 

11月8日(火)午前9時からお電話にて(0263-36-0969) ※先着20名

4 対象

高校生以上

5 受講料

通常観覧料(大人310円)

6 講師

松本市時計博物館 学芸員 小林 駿

7 内容

日本は明治時代初期まで、公的機関や上流階級を除いて現在のような機械式時計を持たず、お城や神社・寺院から聞こえてくる鐘の音で時間を把握していました。l今回は松本城下に時を知らせた時の鐘を巡り、時間や時計の大切さに思いを馳せるまち歩き講座です。皆様のご参加をお待ちしております。

江戸時代に製作された和時計

江戸時代に製作された和時計

 

 

★「蓄音機で聴く!SPレコードコンサート2022」の開催について★

1 開催名

「蓄音機で聴く!SPレコードコンサート2022」~蓄音機で楽しむ楽器の音色と魅力~

2 テーマ

★イベントのチラシは、コチラをクリック★

 SPレコードコンサートは、11月3日の「レコードの日」に合わせ、当館で毎年開催しています。昭和52年(1957)、日本レコード協会は「レコードは文化財である」という考えから、文化の日の11月3日をレコードの日に制定しました。当館は時計のほか多くのレコードを所蔵しており、その一部を今回のコンサートでお楽しみいただきます。古い蓄音機の多くはゼンマイを動力としており、時計と似た点があったことから、時計蒐集家・本田親蔵氏も蓄音機を蒐集しました。
 今年のSPレコードコンサートのテーマは、「蓄音機で楽しむ楽器の音色と魅力」です。今回はピアノ協奏曲やヴァイオリン協奏曲、フルート協奏曲など、様々な楽器が奏でる音色をお楽しみいただきます。蝋管式、ラッパ式、コンソール式といった蓄音機の型における音の違いにも注目です。蓄音機から流れるレトロな音楽にひたり、優雅なひと時をお過ごしください。

3 開催日時

令和4年11月3日(木・祝)午後2時~午後3時まで

4 会場

松本市時計博物館 3階企画展示室(演奏中、会場への出入り自由)

5 料金

通常観覧料 大人310円 小中学生150円

6 その他

事前のお申込みは不要です。当日上記会場までお越しください。皆様のご来館を心よりお待ちしております。