考古博物館ニュース⑧ 「縄文土器作り講座を開催しました」

 考古博物館では、年に1回縄文土器作り講座を開催しています。
 今年も10月に野焼き用の粘土を使用して形を作り、自然乾燥を経て、11月13日に野焼きを行いました。晴天に恵まれ絶好の土器焼き日和でした。

縄文土器のはなし

 縄文時代の土器作りは、粘土を作るところから始まります。この粘土は、地面を掘ればどこからでも出てくるものではなく、また場所によって質が変わり、最終的な土器の仕上がりにも影響してきます。採取してきた粘土は、乾燥した際収縮して亀裂が生じないために砂を混ぜよく練り込み、数日置くことでようやく土器を作るための粘土になります。粘土を作った次は、土器の成形→乾燥→焼くという工程があり、土器が完成するまでに長い期間がかかります。
 縄文土器の存在が人々の生活に大きな変化をもたらしました。土器によって、食料の調理や貯蔵が可能になったのもその内の一つです。それまで生で食べていたか、食べることができなかったものを調理をすることで食事の幅が広がりました。また、水や食料を蓄えることで食料を求めて移動することが少なくなり、長い期間その場に留めることができるようになりました。
 それまでの移動しながらの生活から特定の場所に定住して生活するスタイルへと変化していった要因の一つに縄文土器が影響していたと考えられます。

縄文土器(考古博常設展示)

縄文土器(考古博常設展示)

縄文土器作り講座を通じて

 今回は若干乾燥の度合いが気になる点ではありましたが、野焼き時に割れてしまう土器が少なく安心をしました。ただどうしても輪積みが甘く接合が弱いものや乾燥の不十分なものは焼いている途中で割れてしまいました。このことをその都度反省し、今年こそはと実施していますがなかなか解消できません。
 参加者のみなさまには、土器を作ることの難しさを体験した上で、土器が出来上がってよかったという思いと同時に、縄文時代を生きた人々の技術の高さや文様の美しさを実感してもらえればと思います。そして、今後もいろいろな博物館施設で土器を見学する際に形や文様、地域による“違い”を見てもらえればより一層楽しめると思います。

野焼きの様子

野焼きの様子

 

コラムクイズ

縄文土器は野焼きで土器を焼きますが、どのくらいまで温度が上がっているしょうか。

3つの中から選択してください