考古博物館ニュース② 「学芸員のおすすめ資料」
有孔鍔付土器
有孔鍔付土器とは、縄文時代中期に発達した大型のつぼ形の土器です。口縁部(つぼの口の部分)につばがあり、この部分の近くに小孔列(小さな穴の列)がうがたれているのが特徴です。酒造などに用いられたともいわれ、また、太鼓として使われたという説もあります。
画像にある資料は口縁部と底部が欠けているものの、ほぼ完形で、たる形とはち形の中間の形です。土器の内部には、赤色塗料が塗られた痕跡が残っています。
柏木古墳出土の装身具
柏木古墳は大正14年(1925)に道路を広げる工事の時に偶然発見された古墳です。古墳は残っていませんが、石室の図面が描かれ、当時としては珍しく学術的に行われた発掘でした。出土品はすべて地主の小笠原氏の所有でしたが、購入の要望があり、出土品が村を離れる危機が訪れました。昭和6年(1931)、出土品は中山村に100円で買い取られ、中山考古館に寄贈されました。当時、主な産業の養蚕が不況で村の財政状態は悪く、出土品に高額なお金を使う決断をするのは容易ではなかったでしょう。私たちがこの出土品を現在見ることができるのは、村民たちの文化財を守る強い思いがあったからといえます。
コラムクイズ
写真は中山小学校の校舎に掲げられている校章です。昭和24年(1949)に作られたこのデザインは、都に献上する馬を育てた埴原牧と、古墳から出土した遺物をデザインの中に取り入れています。デザインに用いられた遺物は矢じりと管玉のほかにもう一つありますが、それは次のうちどれでしょう。