松本市内遺跡紹介① 「新村地区の古墳」
新村地区は松本平の西部に位置し、梓川右岸の扇状台地上にあります。その歴史は古代・中世・近世・近代と歩みをたどることができます。
新村地区には安塚・秋葉原古墳群が見つかっており、東方の島立地区南半から和田地区東部に展開したと推定される古代集落遺跡の墓域ではないかと考えられています。
安塚古墳
安塚古墳は昭和53年に行われた緊急発掘調査により、9基の古墳の調査が実施されました。古墳の築造時期は8世紀前半とみられます。これまで開発時期が新しいとされていた新村地区に、古代には奈良井川左岸の集落の水源を抑える有力氏族がいたことが明らかになりました。
発掘調査後に現地保存された第6号古墳は、石室は立石により3室に分けられ、奥壁の鏡石も残存し、蓋石とも思われる大きな石が落ち込んでいました。また、第8号墳からは、銅製の帯飾りが出土しています。奈良時代、帯飾りは朝廷の役人の服装の一部として使われていました。このことから、古墳の被葬者は地方役人であった可能性があります。
秋葉原古墳
昭和57年に行われた秋葉原遺跡の発掘調査では、古墳5基が発見されました。このうち第1号古墳は、発掘調査から直径12mほどの小さな円墳であったと推定され、古墳に供えられた土器の年代から築造は8世紀初頭~前半とみられます。発見時には、墳丘の土盛りが失われ石室のみが残っていました。現在は横穴式石室のみが上高地線脇に移築復元されています。松本市特別史跡となっています。
これらの古墳は、地表下に梓川の石を用いて横穴式石室を構築した終末期古墳で、追葬を想定した家族墓的性格があり、この地方の特徴ある古墳です。
安塚・秋葉原古墳群は、古代の奈良井川左岸一帯の地域の開発を考えるうえで欠かせない遺跡と言えます。
松本のたからでも紹介されています。こちらもご覧ください。
松本のたから:安塚第6号古墳
松本のたから:秋葉原第1号古墳
コラムクイズ
この像は新村にゆかりのある、とある昔ばなしの主人公の銅像です。一体なんのお話でしょう。