館長雑記 しめ縄作り教室

しめ縄作り教室を開催しました。

 旧山辺学校校舎では毎年12月に「しめ縄作り教室」を開催しています。

 この教室は平成10年に「わら細工と昔の遊び道具作り教室」の名称で始まり、26年間続いている旧山辺学校校舎の伝統的な恒例行事です。毎回松本市に限らず、市内外の多くの方々に参加していただいています。

令和5(2023)年の教室

 今年度の教室は12月3日(日)に開催しました。講師は荒田直氏、原田勇氏、宮坂ヤス子氏、矢沢滋氏の4名にお願いしました。荒田氏は6月の昔の遊び道具作りの講師もしていただきました。宮坂氏はお正月リース作り教室の講師もしていただいています。原田氏は毎年材料の藁を準備していただいています。矢沢氏は講師の中では最年長の方で、お手本となる技術を披露していただいています。

しめ飾りのお手本

しめ飾りのお手本

 さて、しめ縄は本来神事の場や神前などで、神聖な場所を示すために張る縄ですが、新年には家の入り口などに空間を清め魔除けのために張る縄でもあります。昔からお正月は各家々に「年神様」が訪れ、1年の実りと幸をもたらしてくれると言われています。

 しめ縄はその年神様を迎え入れるための飾りとして、各地方や家々によって縄に細工を施した様々なデザインや技法が生まれてきました。

 

 

ごぼうじめ作り

4グループに分かれて作業始まり

4グループに分かれて作業始まり

そこで、毎年この教室で は、しめ縄づくりの基本の「ごぼうじめ」、松飾りに使う「わじめ」と「おやす」、紙で作る「幣(ぬさ)、または紙垂(しで)」、の一般的な4品目を作り、参加された家の正月飾りに使っていただけるように企画しています。親子で参加される方やリピーターの方も多く、皆さん、楽しみに参加していただいています。車座になって4つのグループに分かれ、それぞれに講師の先生に入っていただき、間近で縄綯い(なわない)のやり方を実演してもらい、実地指導していただきました。

 

 

ごぼうじめを作る

ごぼうじめを作る

 教室ではまず、しめ縄作り定番の「ごぼうじめ」から作り始めました。縄の綯い方には右綯い(みぎない)と左綯い(ひだりない)があり、しめ縄など神事に関係するものは左綯いで行います。

 ごぼうじめは一握りの藁束(わらたば)を数本ずつ三等分し、その3束の藁を綯って三つ編みにして1本の細長い棒状の縄を作ります。

 

 

 

講師の先生の手さばきを見て

講師の先生の手さばきを見て

  親子で参加された方が多く、子ども達は講師の先生の手さばきをじっと観察して、手の動かし方を一生懸命に真似ていました。

 スプレーで藁を適度に湿らせてから、二束に分けた藁を手で挟んでギュッと滑らせて撚る(よる)と、縄目ができてきます。それを作り手から見て時計回りに綯うと左綯いができます。

 

 

 

   

わからない所はその場で手ほどき

わからない所はその場で手ほどき

 分からないこと、上手くいかないところは、講師の先生が手取り足取り教えてくださり、その場でやり方を学んでいくことができました。

 ごぼうじめは全部で5本作ります。何本か作っていくうちにだんだん手馴れてきて、一人でも形の良いものができるようになりました。

 

 

 

おやす作り

おやすの作り方を見つめる

おやすの作り方を見つめる

 後半は「わじめ」と「おやす(『おちょこ』ともいう)」を作りました。どちらも松飾りの際に一緒に取り付ける飾りです。

 特におやすは藁を1本ずつ編み込む工程があり、細かく根気のいる作業です。講師の先生の手元をよく見ながら、同時進行で一緒に作っていきました。

 

 

 

手間のかかる『おやす』の仕上げ

手間のかかる『おやす』の仕上げ

おやすの形が見えてきました。ここまでできれば一安心、仕上げの段階に入ります。

 余った穂先と根元を三つ編みにして形を整え、取っ手のようにします。手間のかかる作業でしたが、初めての方も含め皆さん納得のいく良い出来栄えでした。

 

 

 

お話と感想発表

講師の先生のお話と感想発表

講師の先生のお話と感想発表

 でき上った「ごぼうじめ、わじめ、おやす」などの作品を前にして講師の先生のお話を聞きました。皆さん、自分の作品を手にしながら、やり終えた満足感でいっぱいの様子でした。

 地域に残る伝統的なしめ縄作りですが、毎年このような形で老若男女多くの方々に引き継がれていくことを、とてもうれしく思う教室となりました。

 

 

                      (館長:大池)