☆化石新聞第13刊~四賀キャニオンについて~☆

はじめに

こんにちは!四賀地区北部の虚空蔵山は、遊歩道が整備されており、初心者の方でも登ることができる里山なのでおすすめです。先日私も登ってきましたが、幸い天気も良く、頂上からの眺望は最高でした。頂上から戸隠まで眺めることができたのは驚きでした。
余談が長くなってしまい恐縮ですが、今回は四賀キャニオンについてのご紹介です。

虚空蔵山頂上からの眺め(安曇野方面)

虚空蔵山頂上からの眺め(安曇野方面)

四賀キャニオンとは?

皆さんは四賀キャニオンをご存じでしょうか?「ゴールデンキャッスルのこと?」「何かの化石の別名?」などと考えてしまいますが、その正体は…岩井堂の砂岩層と言う地層です。砂岩層がなぜ四賀キャニオンと呼ばれているのかと言いますと、砂岩層がとても大きく迫力があり、まさしくアメリカにあるグランドキャニオンのようであるからです。そのため、地元では四賀のグランドキャニオンだとか、四賀キャニオンという呼び名で親しまれています。「四賀のグランドキャニオンとは、ちょっと大げさすぎやしないか?」と私も思っていましたが、初めて訪れた時びっくり仰天!本家のグランドキャニオンに行ったことはありませんが、「これは…まさにグランドキャニオンだ。」と感じました。厚みのある地層に、美しい砂色、背景に映える青空。自然のすごさと太古の歴史を肌で感じ、力がみなぎってきました。theパワースポットという感じですので、コロナ禍での不安や悩みをすっきりさせるために、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?ただし、断崖絶壁で危険な箇所もありますので、小さいお子さんや高所恐怖症の方は十分にお気をつけ下さい。

岩井堂の砂岩層 会田地区

晴れた日の様子

四賀キャニオンの歴史

四賀キャニオン(以下、岩井堂の砂岩層)は、旧会田村字岩井堂観音山(現在の松本市会田)の山肌にある雄大な砂岩層です。地質年代はシガマッコウクジラやシガウスバハギが生きていた約1300万年前(別所層)より比較的新しい、700万年前頃(浅海性の小川層)のものだと考えられています。砂岩層という名前ですが、通称波の化石と呼ばれるリップルマークや虫の巣穴の跡のほか、石炭で形成された炭層も観察できる素晴らしい地層です。小学生や中学生のお子さんは、理科の勉強にもってこいの場所です。砂岩層がある岩井堂という地域は、「岩井堂炭鉱」として栄えていたことでも有名です。明治12年(1879年)、紀州の金森信一郎一行が善光寺参りの帰り道に岩井堂観音山に露出する石炭層を発見しました。4年後の明治16年(1883年)、金森らは岩井堂で鉱区を設定し、炭鉱の鉱業権を獲得しました。金森は岩井堂炭鉱開鉱の先駆者となるとともに、その功績は近現代の諏訪・岡谷地域の養蚕業を支えた西条炭(現在の筑北村西条にかける一帯で産出した石炭)の発見に至るきっかけともなりました。岩井堂炭鉱での石炭の出荷が軌道に乗ると、明治26年(1893年)には、規模にして採炭量200トン以上を誇ったとされています。明治30年代に西条炭が開発されると、明治後期から大正時代にかけて黎明期を迎えました。

四賀に分布する4つの地

四賀に分布する4つの地

おわりに

今回は四賀キャニオンこと岩井堂の砂岩層のご紹介でした。以上見てきたように、岩井堂の砂岩層は人類が誕生する前の太古を感じられるだけでなく、人類誕生後の文明が大きく花開いた時代の歴史の足跡を追うこともできます。歴史と自然を学ぶには一石二鳥のスポットですので、天気のよい日にお出かけしてみてはいかがでしょうか。皆様のご来館をお待ちしております。

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☆化石新聞第12刊~四賀の4地区について~☆

はじめに

こんにちは!今回は化石新聞第12刊~四賀の4地区について~です。引き続き四賀や化石の魅力をお伝えしますので、軽い気持ちで楽しく読んでいただけたら嬉しいです。 

 東筑摩郡四賀村から松本市四賀へ

松本市四賀は昔東筑摩郡四賀村でした。四賀村は1955年(昭和30年)4月1日に嶺間4ヵ村と呼ばれた会田村、五常村、中川村、錦部村が合併して誕生しました。その後、2005年(平成17年)に松本市に編入合併し、化石館や赤怒田の福寿草群生地などを中心に毎年多くの方々が訪れる魅力ある街です。
自然分野で見ると、矢久のカヤや横川の大イチョウをはじめとした長野県天然記念物が数々あり、春にはフクジュソウが可愛らしく咲き誇り、自然の豊かさを感じることができます。
化石分野で見ると、世界最古の全身骨格化石のシガマッコウクジラ、長野県天然記念物シナノアロデスムス頭骨化石などの海生哺乳類化石を中心に多くの化石を産出する化石の宝庫です。
歴史分野で見ると、江戸街道と善光寺街道が通った刈谷原宿、保福寺宿、会田宿という3つの宿場町の趣が感じられ、虚空蔵山城を中心とした戦国時代の山城跡も多く残っています。

四賀地区散策マップ

四賀地区散策マップ

会田地区

こちらは旧善光寺街道の宿場町である会田宿が残り、歴史の息吹がはっきりと感じられます。鎌倉時代には、伊勢神宮の領地として会田御厨(みくりや)が置かれました。戦国時代になると、山梨県の戦国武将武田信玄や信濃守護の小笠原氏に仕えた豪族会田海野氏の城下町が形成され、政治経済の中心地として発展しました。また、旧善光寺街道の宿場であることから、松本と善光寺平(長野市)、さらには上田を結ぶ交通の要衝でもありました。

会田地区にある廣田寺

会田海野氏の菩提寺である廣田寺

五常地区

こちらは四賀地区の中でも特に多くの化石を産出する地域です。中でも現生のトドやアシカに類似する大型海生哺乳類シナノアロデスムスの頭骨の化石は貴重で、長野県天然記念物に指定されました。今後も歴史的大発見が期待される化石のロマンがあふれる場所です。

シナノアロデスムス頭骨

展示中のシナノアロデスムス頭骨化石(長野県天然記念物)

中川地区

こちらは、戦国時代に四賀地域を支配した豪族会田海野氏の山城虚空蔵山城、長野県天然記念物に指定されている矢久のカヤ、横川の大イチョウなど多くの観光資源があり、歴史と自然の奥深さを感じることができます。

山城跡が残る虚空蔵山

山城跡が残る虚空蔵山

錦部地区

こちらは四賀化石館が位置する地域です。毎年春には福寿草まつりが開催され、可愛らしく咲き誇るフクジュソウを求めて県内外から多くの観光客が訪れます。また、古代から中世にかけて東山道の道中となる場所であり、江戸時代に入ると江戸街道の宿場町保福寺宿が整備され、松本と上田、そして江戸を結ぶ交通の要衝として栄えました。

フクジュソウ写真

毎年多くの方が訪れるフクジュソウ群生地

おわりに

以上、四賀の4地区のご紹介でした。四賀は四方を山々に囲まれた自然豊かな地域で、今からおよそ1500万年~800万年前には海が広がっていました。その証拠となるクジラや魚といった海の生き物の化石が数多く産出しています。また、戦国時代の山城跡、寺などの史跡が多くあり、旧街道沿いには歴史の面影が残る街並みや家が点在しています。四季折々に表情を変える田園風景、自然の恵み。クジラや魚が泳ぐ太古の海を想像しながら四賀地区を散策してみてはいかがでしょうか。

☆化石新聞第11刊~フクジュソウについて~

はじめに

こんにちは!今回は化石新聞第11刊~フクジュソウについて~です。

「フクジュソウ」とは?

 「フクジュソウ」は地域に春を告げる可愛らしい植物で、毎年2月~3月頃に黄金色の綺麗な花を咲かせます。1月1日の誕生花としても知られ、別名元日草とも呼ばれています。キンポウゲ科の植物で、日本ではフクジュソウ、ミチノクフクジュソウ、キタミフクジュソウ、シコクフクジュソウの4種を総称して「フクジュソウ」と呼ぶことが多いです。その中でも、四賀地区に群生する「フクジュソウ」はフクジュソウの種類です。「フクジュソウ」の花は、日光が当たると開き、日がかげると閉じるので、晴れの日や日が出ている時間帯にご覧になるのがおすすめです。「フクジュソウ」の歴史として、福寿草という和名が古くから新春を祝福するという意味があり、縁起の良い植物として栽培されてきました。

フクジュソウ群生地周辺地図(化石館四賀マップより抜粋)

フクジュソウ群生地周辺地図(化石館四賀マップより抜粋)

四賀地区の名所!「赤怒田のフクジュソウ群生地」のご紹介

化石でたいへん有名な四賀ですが、「フクジュソウ」の名所としても著名です。四賀地区の中でもとりわけ素晴らしい場所が、「赤怒田のフクジュソウ群生地」です。およそ2ヘクタールの北向きの斜面一面に黄金色の花が咲き誇り、毎年市内外から多くの方が訪れます。可憐に咲き誇り、春を告げる花として、松本市の天然記念物にも指定されています。毎年3月上旬~中旬にかけて「福寿草まつり」が開催され賑わいを見せておりますが、今年は残念ながら新型コロナウイルス対策のため中止となってしまいました。おまつりは中止になってしまいましたが、今年は暖冬のためか既に見ごろを迎えています。群生地には駐車場もございますし、四賀化石館から歩いて10分程度ですので、化石館にお立ち寄りの際はぜひフクジュソウもご覧になって下さい。

赤怒田のフクジュソウ

赤怒田のフクジュソウ

終わりに

以上、今回は「フクジュソウ」のご紹介でした。「フクジュソウ」の花言葉は永久の幸福、幸福を招く、祝福です。皆様のご来館を楽しみにお待ちしております。

 

 

☆化石新聞第10刊~シナノアロデスムスについて~☆

はじめに

こんにちは!今回はシナノアロデスムスについてご紹介致します。

シナノアロデスムスって?

シナノアロデスムスってどんな動物かわかりますか?わかる方は化石館ツウです(笑)シナノアロデスムスは、簡単に言うと、水族館でよく見かけるトドやアザラシの仲間です。見た目はトドやアザラシに似ていますが、残念ながら約1000万年前に絶滅してしまいました。これらの動物は、鰭脚類(ききゃくるい)と言う仲間で、脚が鰭(ひれ)になっている動物です。現在生きているアザラシなども脚がひれになっているので、化石館や水族館でよーく観察してみて下さい。見た目はかわいらしいフォルムをしていますが、これらの動物は肉食で、イカやタコを好んで食べます。ちなみに私は草食系男子なので、トドやシナノアロデスムスがうらやましいです(笑)

当時のアロデスムスの再現図

当時のアロデスムスの再現図

 シナノアロデスムスの頭骨化石の発掘

大正9(1920)年、当時の東筑摩郡四賀村五常(旧五常村)の畑で、動物らしき頭の化石が発見されました。この化石は、長年の間、名無しの化石になっていましたが、昭和16(1941)年に北海道大学の研究者によって「シナノトド」と名付けられました。その後、京都大学の研究者による再検討を経て、現在ではシナノアロデスムスという名前で広く知られるようになりました。アロデスムスの化石は世界的にも珍しく、日本でも5点しか発掘されていません。その中でも、旧四賀村で発見されたものは状態がよく、歯がしっかりそろっているのを観察することができます。その貴重さが認められ、昭和60(1985)年に長野県の天然記念物に指定されました。今では、シガマッコウクジラに並ぶ化石館の目玉の展示のひとつになっております。

シナノアロデスムス頭骨

展示中のシナノアロデスムス頭骨化石(長野県天然記念物)

最後に

以上、今回はシナノアロデスムスのご紹介でした。以前の化石新聞で紹介しましたシガマッコウクジラ、穴沢のクジラ化石、そして今回ご紹介したシナノアロデスムスの頭骨化石と、四賀地域だけで3点も長野県天然記念物があります。これは本当に誇らしいことです。皆様のご来館をお待ちしております。

シナノアロデスムス発掘地

シナノアロデスムス発掘地(1階ロビー四賀地図パネルより抜粋)

 

☆化石新聞第9刊☆

クジラは昔陸を歩いていた?

こんにちは!今回は化石館の主役「シガマッコウクジラ」のご紹介です!おっとその前に…クジラの種類や進化についてお話します。ここで皆さんに質問です。「クジラは昔陸を四足で歩いていたのを知っていますか?」知っていた方はクジラ通です(笑)実はクジラは今からおよそ5千万年前、陸を四足で歩いて生活していました。この頃のクジラ化石として、およそ4900万年前に生息していたパキケタスという化石がパキスタンで発見されています。この化石を見ると、パキケタスがしっかりとした四肢を持っていることが分かります。このような初期のクジラ類は、学術的にムカシクジラ類というグループに属します。

クジラの進化

化石館に展示中のパネルより抜粋

クジラのメガ進化

陸上で生活していたムカシクジラ類はやがて日本列島の誕生や海流の変化によって水中で生活するようになりました。ムカシクジラ類が絶滅するとともに、現在生息する2種類のクジラ類に進化しました。この2種類とは、口に歯が並ぶハクジラ類とクジラヒゲを持つヒゲクジラ類です。ハクジラ類の代表的な例は、水族館でよく見かけるイルカやシャチなどの比較的小型のグループです。ヒゲクジラ類の代表的な例は、世界最大のシロナガスクジラで、大きいもので体長35メートルに達するとも言われています。テレビなどでクジラを見かけたら、ヒゲクジラかハクジラかよーく観察してみて下さい。

クジラヒゲ写真

化石館に展示中のクジラヒゲ

長野県天然記念物「シガマッコウクジラ」

それでは、いよいよ化石館の主役「シガマッコウクジラ」をご紹介します。シガマッコウクジラは、およそ30年前に、地元の小学5年生(当時)が発見しました。最初は、小学生が「何かの歯の化石だろう」と大切に保管していた化石が、その後の発掘調査で大発見になりました。なんとなんと、頭から尻尾まで全身のクジラの化石が発見されたのです。このクジラ化石は、およそ1300万年前に生息したマッコウクジラ類の化石であると判明し、世界最古のクジラの全身骨格化石として、長野県の天然記念物に指定されました。松本市民の皆さんは、世界最古のクジラの化石が松本にあるんだぞと是非自慢して下さい。こんな貴重なシガマッコウクジラですが、最大の特徴があります。それは、上あごと下あごに整然と並ぶバナナ状の強靭な歯です。口だけを見ると、肉食恐竜さながらです。現在のマッコウクジラも下あごに小さな歯がありますが、シガマッコウクジラほどしっかりとしていません。対するシガマッコウクジラはその強靭な歯を使って、トドやアシカといった大型の哺乳類を食べたり、巨大なサメ「メガロドン」と戦っていたそうです。様々な研究者の間では、シガマッコウクジラは当時の長野県の海(フォッサマグナの海)で最強の動物だったと言われています。分かりやすく言えば、現在の百獣の王ライオン、鬼滅の刃で言えば鬼狩りの祖:継国縁壱みたいな存在だったということです。シガマッコウクジラといったら、「世界最古」「最強」、この二つのキーワードは是非覚えて下さいね。
     シガマッコウクジラ頭部写真

☆化石新聞第8刊☆

三葉虫について

こんにちは。今回は、化石新聞第8刊~三葉虫について~です。三葉虫はアンモナイトに並ぶ代表的な古生物であり、キモかわいいフォルムでお子さんから大人の方まで人気を集めています。しかし、三葉虫の生態や詳しいところまでは知らない方が多いのではないでしょうか。そこで今回は、三葉虫についてひも解いていきます。

三葉虫の由来

三葉虫の名前の由来は、ギリシャ語で「3」を表す「Tria」と葉っぱを表す「Lobus」を日本語訳したところから来ています。これだけ聞いても、まず、「3」と「葉っぱ」の意味が分かりませんよね。この「3」と「葉っぱ」の意味は、三葉虫の背面(人間でいえば背中部分)の殻が真ん中の葉っぱ状の器官(中葉)と左右の葉っぱ状の器官(側葉)によって、3つに区切られているということです。つまり、背面の殻が3つの葉っぱのような器官で構成されているので三葉虫と呼ばれているのです。

今年度の夏休み講座で作成した三葉虫の写真

今年度の夏休み講座で作成した三葉虫

 

三葉虫は何の仲間?

三葉虫は大きなグループで見れば、クモやエビ、昆虫などを含む節足動物で、古生代に海に生息していた生き物です。もう少し細かく見れば、鋏角類(きょうかくるい)というグループに属し、サソリやクモ、カブトガニなどの親戚です。特徴は、あごがなく、触覚はあり、頭と身体の幅が広い寸胴体型なところです。

今年度の夏休み講座で作成した三葉虫の写真

今年度の夏休み講座で作成した三葉虫

 

様々な種類の三葉虫

三葉虫には身体の大きさが違ったり、違う特徴を持っていたりするなど、2万種あまりの個体が報告されています。泥に潜るもの、泳げるものなど様々です。そこで今回は、三葉虫の種類の中で、いくつか面白いものをご紹介します。

  • ナラオイヤカンブリア紀に生息し、背面の殻を持たない裸族系三葉虫。固い殻を持たず、比較的柔らかい器官しか持たないので、化石として残ることは貴重です。
  • レドリキア→真ん中の葉っぱ状の器官(中葉)、左右の葉っぱ状の器官(側葉)がしっかりと見て取れるベーシック系三葉虫。
  • レオプリウリーデス→オルドビス紀に生息し、昆虫のような大きな目(複眼)を持つ細身のお目目ぱっちりアイドル系三葉虫。
  • ファコプス→シルル紀、デボン紀に栄え、三葉虫といえばコレ!というポピュラー系三葉虫。また、外敵が来たら身体を丸めて身を守るダンゴムシ系三葉虫でもあります。
  • ドロトプス→デボン紀に生息し、身体中にトゲを持つ、オラオラ系三葉虫。

最後に

以上、今回は三葉虫の由来から仲間、種類までご紹介いたしました。何となく三葉虫のイメージはできたでしょうか?百聞は一見に如かずです。まずは化石館に来館し、2階に展示中の三葉虫を鑑賞して見てください。はるか太古の海にタイムスリップできます。三葉虫の暮らす海で一緒に生活しているようなイメージで観察してみてはいかがでしょうか?皆様のご来館をお待ちしております。

2階に展示中の三葉虫の写真

2階に展示中の三葉虫

☆化石新聞第7刊☆

2倍楽しめる四賀化石館の鑑賞の仕方5箇条

こんにちは!今回は化石新聞第7刊~2倍楽しめる四賀化石館の鑑賞の仕方5箇条~のご紹介です。古文書風の書き方でご紹介します。

一、クイズを解きながら鑑賞すべし!

人間は間違えたことや自分で考えたことが記憶に残りやすいと言われています。化石と聞くと、難しい印象を持ってしまう方も多いと思います。まずは、学ぶとか勉強するとかは忘れていただいて、化石館1階にご用意したクイズに挑戦してみて下さい。クイズを解いてみることで、自然と学ぶことが楽しくなって、色々な展示に好奇心を持つことができるようになります!

1階クイズコーナーの一部

1階クイズコーナーの一部

一、想像しながら鑑賞すべし!

整然と並ぶ展示をただ鑑賞するだけだとあまり面白くありません。化石ひとつひとつをよ~く観察してみて下さい。そうすると、その化石の生物が生きた時代が見えてきます。「この化石はどんな時代を生きたのかな?この化石が生きた時代はどんな環境だったのかな?」と想像しながら鑑賞するととても面白いです。例えば、サンゴの化石だったら当時は暖かい海が広がっていたのかな~なんて想像できますよね。その想像が間違っていても大丈夫です。想像しながら見ると実感がわいてきて昔にタイムスリップできます!

 当時の四賀の海の再現(パネルより一部抜粋)

当時の四賀の海の再現(パネルより一部抜粋)

一、体験展示やぬりえをやってみるべし!

学ぶこと、勉強することだけが博物館の魅力ではありません。楽しんでこそ、博物館の良さが分かってきます。化石館では、みなさんに楽しんでもらえる体験展示やぬりえコーナーを用意しております。中でも、クジラの背骨の骨(椎骨)の化石を持ち上げられるコーナー、8種類の絵を用意したぬりえコーナーがとても人気です。本物のクジラの椎骨を持ち上げると時代の重みをズシリと感じられます。ぬりえをすると、芸術性が高められるだけではなく、そこから化石に興味を持つこともできます。体験展示やぬりえコーナーで、お子さんの知育徳育のお手伝いができると思いますのでおすすめです。

ぬりえを楽しむ子供たち

ぬりえを楽しむ子供たち

一、人名や地名が隠れていないか探してみるべし!

化石を鑑賞するからには、何かひとつ覚えて帰りたいものですよね。そこでおすすめするのが、化石の名前に人名や地名が隠れていないか探すことです。ただ眺めるだけだと楽しくありませんが、人名や地名が隠れていないか注目してみると、難しい生物の名前も覚えやすくなります。例えば、シガマッコウクジラ、シナノアロデスムス、ウチムラシロウリガイなどです。シガ、シナノは発掘された場所の地名、ウチムラは発掘された地層(内村層)から来ています。他にも、化石館には人名や地名が入った化石がいくつもあります。みなさんも、人名や地名といった宝探しの旅にスタートしませんか?

四賀地区赤怒田から見つかったアカヌタヒバリガイ

四賀地区赤怒田から見つかったアカヌタヒバリガイ

一、学芸員やスタッフの展示解説を聞いてみるべし!

博物館のスタッフって何だか話しかけにくいオーラが出ていますよね。心配ご無用、化石館はフレンドリーなスタッフが皆様の学びのお手伝いをします。勤務の関係上、ご説明ができかねることもありますが、皆様のためになるお話をします。運が良ければ、シガマッコウジラの発掘に参加した方のお話も聞けるかもしれません。みなさんに解説ができる機会を楽しみにお待ちしています。

シガマッコウクジラ(レプリカ)と握手する学芸員

シガマッコウクジラ(レプリカ)と握手する学芸員

最後に

以上、化石新聞第7刊でした。化石館の楽しみ方は以上に挙げたものに限りません。自分なりの楽しみ方をぜひ見つけてみて下さい。きっと存分に化石館を楽しむことができます!それでは、皆様のご来館をお待ちしております。

☆化石新聞第6刊☆

アンモナイトの由来

アンモナイトの名前の由来は、ヨーロッパで信じられた神様「アモン神」とギリシャ語で石を表す「lites(アルファベット表記)」から来ています。アモン神の頭にはアンモナイトのようにクルクル巻いた角がついています。その角に似ていることからアンモナイトという名前になったということは、とても興味深いですね。

過去のぬりえ大賞受賞作品のアンモナイト

過去のぬりえ大賞受賞作品のアンモナイト

アンモナイトの進化

実は、アンモナイトはポケモンのように進化したと言われています。アンモナイトの化石をよ~く観察すると、仕切りがあるのが分かります。その仕切りがシンプルなものから、徐々に曲線を描き複雑になっていったと言われています。最もシンプルなものからゴニアタイト、やや複雑なセラタイト、枝葉のように複雑なアンモナイト(狭義のアンモナイト)と進化しました。

アンモナイトのレプリカ

アンモナイトのレプリカ

色々なアンモナイト

アンモナイトのサイズとして、手のひらサイズのものから直径2.5メートルにも及ぶ化石も見つかっています。また、形は、皆さんがなじみのある渦巻状のものだけではなく、棒状のもの、巻き方に規則性がないものも存在します。後者は、異常巻きアンモナイトと言われ、日本で見つかることが多いことから、ニッポ二テスと名付けられた種類もいます。

2階に展示中のアンモナイト

2階に展示中のアンモナイト

アンモナイトの仲間達

アンモナイトは、貝のように見えますが、貝類ではなく頭足類という種類です。今でいえば、イカやタコの仲間です。頭と足が一緒についているため、頭足類と言われています。アンモナイトはイカやタコのご先祖です。殻を使わないため、退化してしまったと考えられます。ここで、豆知識です。イカの中でも殻の名残がある種類がいます。よくお寿司屋さんで目にするコウイカです。コウイカは殻こそないものの、体内に殻の名残である甲羅が残っています。コウイカを見かける機会があったらぜひよくよく観察してみて下さい。

コウイカの甲羅(現生)

コウイカの甲羅(現生)

最後に

以上、アンモナイトについてでした。アンモナイトは残念ながら絶滅してしまいましたが、かわいらしいフォルムで皆さんには人気ですので、化石館に来てゆっくり鑑賞してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

☆化石新聞第5刊☆

化石から分かること

こんにちは!今回は、化石新聞第5刊「化石から分かること」についてです。化石にはいくつか種類があるのはご存じでしょうか?今回はいくつかの種類を紹介しながら、化石から分かることを考えていきます。

示準化石(しじゅんかせき)

化石として見つかった生物が、いつの時代を生きたかを知ることができる化石を、示準化石と言います。例として、アンモナイトや三葉虫が挙げられます。三葉虫は古生代のカンブリア紀に現れ、ペルム紀末期に絶滅しました。アンモナイトは古生代のデボン紀に現れ、中生代の白亜紀末期に滅亡しました。また、同じ三葉虫やアンモナイトでも、徐々に進化したり衰退したりしたので、それぞれの特徴から、より詳細な時代が分かります。

2階に展示中のアンモナイト

2階に展示中のアンモナイト

示相化石(しそうかせき)

化石として見つかった生物の生きた当時の環境が分かる化石のことを示相化石と言います。例えば、四賀でよく見つかるニシンのウロコの化石です。ニシンは海に泳ぐ魚で、今では北海道などの寒い海に生息しています。つまり、ニシンのウロコの化石から、松本市四賀には昔寒い海が広がっていたことが分かります。他にも、サンゴの化石なら暖かくて浅い海が広がっていたと分かるでしょう。

ニシンのうろこ化石

ニシンのうろこ化石

生痕化石(せいこんかせき)

虫がはった跡や恐竜の足跡など、生き物が生きた痕跡が分かる化石を生痕化石と言います。四賀化石館には、とても大きな虫のはい跡の生痕化石がありますので、お越しの際はぜひゆっくりご覧になってください。

1階に展示中の虫のはい跡

1階に展示中の虫のはい跡

生き物の特徴が分かる化石

以上のような化石以外にも、生き物の特徴が分かる化石もあります。お子さんに大人気のティラノサウルスの歯は、バナナのようなブレード状になっており、大型の動物を強靭な歯で噛みちぎって食べていたということが分かります。また、シガマッコウクジラの全身骨格化石が典型例です。歯を見れば、上下に恐竜のような大きな歯が並んでいます。この歯を調べることで、シガマッコウクジラがトドなどの大型動物を食べる肉食動物で、獰猛な性格だったと分かります。

シガマッコウクジラ全身骨格化石

シガマッコウクジラ全身骨格化石

最後に

以上、化石新聞第5刊でした。皆さんも、四賀化石館にお越しの際は、ただ展示品を鑑賞するだけではなく、化石から分かることはないか、その生物が生きた時代はどのような環境だったかなど、いろいろなことを想像しながら巡ってみてください。自分が海の中にいるように好奇心を持って鑑賞するととても面白いですよ!

 

☆化石新聞第4刊☆

化石とは?

こんにちは!今回は化石新聞第4刊~化石とは?~のご紹介です。皆さんは化石とは何かご存じですか?化石とは、「我々人類が誕生する前に生きていた生物の死がいや痕跡が長い時間をかけて堆積し、地表から見つかったもの」です。「我々人類が誕生する前に生きていた生物」のところが重要です。ここテストに出ます(笑)お客様から「人間の化石はありますか?」「ミイラは化石ですか?」と質問をいただくことがあります。答えは、NOです。化石の定義は研究者によって異なることが多く難しいですが、このポイントだけ覚えましょう!

1階に展示中の貝化石

1階に展示中の貝化石

化石のでき方

続いて、化石のでき方についてです。化石は以下のような手順でできます。
①我々人類が誕生する前に生きていた生物の死骸が海などの底に横たわる。
②死骸の上に泥や砂が積もる。(泥や砂でパックされる)
③長い年月をかけて砂や泥の層ができ、硬い岩石になる。(地層)
④地震などの地殻変動で地面が盛り上がる。
⑤盛り上がったところから化石が見つかる。

岩井堂の砂岩層

岩井堂の砂岩層

化石の神秘

化石のでき方を見ると、化石ができることが奇跡的なことだとお分かりいただけると思います。それこそ天文学的確率です。①~⑤の1つでも欠けたら化石はできませんし、見つかりません。化石が発掘されることは本当に神秘的なことです!何万匹、何億匹といった生物が生きた中でも、現在化石となって発見されるのはごくわずか。そして、大発見の裏には、何人もの学者達の地道なクリーニング作業、調査研究作業があります。だからこそ化石館は、多くの方々の素晴らしい成果の集まりです。ご来館の際はぜひ一点一点をゆっくり鑑賞してみてください。

最後に

以上、今回は化石についてのご紹介でした。夏休みの自由研究やこれからの学びのきっかけになれば嬉しいです。