Vol.059 これで何見る?-展示室の双眼鏡-( R5.6.27 文責:宮下 )

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上の写真は、新博物館3階の常設展示室内に備え付けている双眼鏡です。展示室と双眼鏡、一見アンマッチにも思える組み合わせですが、実際に使ってみると展示物と向き合う楽しさが2倍・3倍になる、かもしれないアイテムです。

今回のコラムでは、双眼鏡が置かれている展示と、その楽しみ方をご紹介します。
上記の双眼鏡が置いてあるのはここ。

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常設展示室に入ってすぐ目の前に広がる松本城下町ジオラマ(模型)です。天保6年(1835)の松本城下絵図をはじめ、古地図など様々な資料を基に南北2.4km、東西1.2kmの範囲を300分の1スケールで推定復元しています。

訪れた人を江戸時代末期の松本城下へといざなう迫力のジオラマですが、その大きさのため、端から中央部を見るとやや遠くなってしまいます。また、ジオラマの中の人々は、指先ほどの大きさ。古写真などから再現したこだわりの街並みを見るのにも集中力が必要です。そこで細部まで良く見られるようにジオラマの南西部分と北東部分に双眼鏡を一台ずつ用意しています。

双眼鏡でジオラマ見ると、遠くの部分や小さいものが詳細に見られるだけでなく、周りの景色がさえぎられて当時の松本城下に入り込んだような臨場感が感じられます。拡大された世界を、道や川・堀に沿って見てみると、思わぬところで足止めをされたり、いつの間にか路地に迷い込んだり。時に町人や武士とすれ違いながら約200年前の松本を散策している気分が味わえます。

普通に見ると城下の様子を様々な角度で一望できます

普通に見ると城下の様子を様々な角度で一望できます

拡大してみていくと、水路や街角の思わぬ建物に出会えます

拡大してみていくと、水路や街角の思わぬ建物に出会えます

 双眼鏡を使うことで、ジオラマの見え方が変わり広い視点とは異なる形で松本の町との出会いを楽しむことができます。「この道の繋がり方はどう見えたのだろう?」「川沿いを進むと建物がどのように現れるだろう?」。限られた視野だからこそ見えてくる景色があることにお気づきいただけると思います。

展示室の双眼鏡は、数が限られていますが、お手持ちのスマートフォンやカメラなどでも同様に楽しめます。開館の際には、こんな形の「町巡り」もぜひ楽しんでみてください。

ところで、偶然目に入った木の形が、馬のように見えたのは私だけでしょうか。

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