Vol.054 道祖神のこと ( R5.5.23 文責:石井)

道祖神とは境の神の総称で、石に文字や神の像を刻んだ碑を路傍にたてて祭られることが多いです。サエノカミ、サイノカミ、ドウロクジンなどと呼ばれる地域もあり、その存在は全国的にもみられます。

時代・地域により異なりますが、昔は村落守り神、道の神、疫病除けの神、豊作の神、子どもの守り神と多様な祈りをささげています。

松本市内の道祖神碑は600基を超え、四賀地区を筆頭に市域の東側に多い傾向がみられます。市内の道祖神のうち、4割が双体道祖神と呼ばれる男女一対の彫像で、これらは縁結びの神とされています。

江戸時代には、ムラが繫栄するとそのムラの道祖神が盗まれるということがあり、これを「道祖神の嫁入り」といいました。この道祖神を盗むと十両の結納金をいただくという意味の「帯代十両」と刻まれている道祖神もあります。

ここでは新博物館の周りにある2基の現代道祖神を紹介します。

道祖神

写真は新博物館竣工にあたり、松本石匠組合から寄贈された現代の双体道祖神「抱擁」です。博物館北東隅の大名町通り沿いに佇んでいます。

道祖神2

写真は博物館建設地にあった大手門駐車場(北棟)竣工時に建設共同企業体から寄贈された双体道祖神です。博物館建設にあたり、南側の土手小路沿いにある東洋計器大手門駐車場内広場に移設されました。

新博物館は松本まるごと博物館の起点、情報センター、市民の学びの場として活用され、博物館のにぎわいを街中へ波及させることが期待されています。「嫁入り」が心配されるくらいに博物館や周辺が繁栄するといいですね。