Vol.124 千の言葉を超える「モノ」との出会い (R7.1.30 文責:會田)
当館の常設展示室の出口付近には「ユア・オピニオン」というコーナーがあります。開館以来、沢山のお言葉が寄せられてきましたが、中でも特に多くいただくのは「実物を見てすごいと思った」「松本のことがよく分かった」というお言葉です。職員一同、皆様の思いを一つ一つ拝見し、日々の励みにしております。
![]() 出口付近の「ユア・オピニオン」 |
東洋美術史家であり、歌人・書家としても知られる會津八一(1881-1956)は「千の文献より一つの実物」という言葉を残しました。どれほど多くの本を読んで知識を蓄えたとしても、たった一つの「本物」が放つ圧倒的な説得力には及ばない――。学ぶこと、知ることにおいて、実物に触れることの大切さを鋭く突いた言葉です。
博物館はまさにそんな体験ができる場所だと思っています。展示室に並ぶ、時代の波を経て現代にたどり着いた「モノたち」は自ら言葉を発することはありませんが、その形や質感、記された内容など一つ一つから、かつての歴史や文化を静かに語りかけてきます。
私たちはその「モノたち」の代わりに、キャプション(解説文)を通じて、彼らの物語を伝えています。キャプションはあくまで補助であり、主役は目の前にある「実物」です。
情報があふれる時代だからこそ、あえて足を運び「実物」を見てみませんか。松本の歴史や文化を伝えるモノたちと時空を超えた対話をするとき、きっと「千の文献」では得られない発見があるはずです。
最後に私のお気に入りの展示資料をご紹介したいと思います。
是非、実物を見に来てください!
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松本城の堀から発見された防御や土留めのための杭。分かりやすく展示するため、実は上下逆さまに展示しています。
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奥の資料は、白骨温泉の温泉水に含まれる炭酸カルシウムが、木の成分と置き換わった化石です。大自然の営みを感じますね。
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材木を切り出すためのこぎりです。特徴ある形は、用の美にも通じるところがあるようにも感じます。これらは山で暮らす人々の生業を支えました。






