考古博物館ニュース⑨ 考古博物館の体験学習(勾玉作り編)

考古博物館の体験学習

 考古博物館では、いくつか体験を用意しています。
 勾玉作りや火起こし、弓矢飛ばしといった古代体験のほか館内にも土器パズルなどのミニコーナーを設けています。
 今回は、勾玉作りについて紹介します。勾玉作成キットの販売もしていますので、お家でも作ってみてください。

古代人のアクセサリー

 勾玉は縄文時代~古墳時代の装身具(アクセサリー)です。古墳から出土することが多く、副葬品として埋葬者の装飾にも使われていたとされます。
 勾玉の多くは石を加工して作られました。当館の体験講座では“滑石(かっせき)”という加工のしやすい柔らかい石を使いますが、古代の人々は“翡翠(ひすい)”“瑪瑙(めのう)”“水晶(すいしょう)”といった石の中でも特に硬いものを使い勾玉を作っていました。加工のしにくい石を使うため作るのに相当な労力と時間がかかったと思われます。特に翡翠は日本の国石になっている石で、日本一の翡翠の産地である糸魚川産のものは質が高いとされます。糸魚川産の翡翠から作られた装飾品は全国各地で見つかっており、縄文時代~古墳時代のおよそ3,000年流通していたことがわかっています。
 勾玉は、権力の象徴として身につけられていたとされ、その人の地位の高さ・力の強さを示していたとされます。権力者は質が高く美しい勾玉を求めたのでしょうか。

常設展示中の勾玉

常設展示中の勾玉

勾玉の形はなんの形?

 勾玉は、Cの字を逆にした形をしていますが、その形の由来は諸説あり、はっきりとわかっていません。
 当館で勾玉作り体験時に説明する3つの説を紹介します。
 
動物の牙や爪・・・勾玉は動物(イノシシやクマ)の牙や爪の形が似ています。縄文時代早期には牙や爪に穴を空けて装身具としていたことが発掘調査からわかっています。動物への感謝や自分の力の誇示として身に着けていたのでしょうか。
胎児の形・・・生まれたばかりの赤ちゃんや動物を解体した際に発見されたとされる胎仔などから生命の神秘を感じ取り、その形を表したのでしょうか。特に生と死の距離が近かった時代に出産の無事や子孫繁栄なども願ったのでしょうか。
月の形・・・空に浮かぶ月(三日月)を模した形にも似ています。時間の進みや季節の移り変わりと密接な関係を天体から感じ取ったのではないでしょうか。
 
 当時の人々がどのようなことを想いながら勾玉を作り、また身に着けていたのか考えながら勾玉作りを体験してみるのもいいかもしれませんね。

考古博で使用している教材

考古博で使用している教材

 

コラムクイズ

天皇の即位の儀式を行う際に耳にする「三種の神器」の中には勾玉が含まれています。三種の神器は、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)と八咫鏡(やたのかがみ)とあと何でしょう。

3つの中から選択してください