松本市内遺跡紹介④ 「里山辺地区の遺跡」
里山辺地区は、松本市街の東に位置し、美ヶ原から流れる薄川(すすきがわ)の流域に沿って発展した地域です。狩猟・漁撈(ぎょろう)・植物採集といった面で恵まれ、古くから人々の往来をしめす遺跡が、谷間に連続しています。
また、奈良・正倉院の古布には「筑摩郡山家郷」と記されるなど、市内でも早くから開発され、数多くの遺跡が残っています。
林山腰遺跡
林山腰遺跡は、林城跡大城と小城の間に位置する大嵩崎(おおつき)集落に位置する遺跡です。
1次調査では、縄文時代中期~後期の大きな集落跡が見つかりました。中でも「柄鏡形敷石住居跡」(縄文時代後期)は、松本平でも数少ない調査例です。遺物は縄文土器や石器、土製品、須恵器、土師器等が多量に出土しています。
2次調査は、集落の北西部の山脚と谷沿いを発掘し、中世に遡る土地造成の跡や、礎石を用いた大規模な建物跡などが見つかりました。遺跡に隣接する林城は、信濃守護である小笠原氏の居城となっており、これに関連する遺構と考えられます。
堀の内遺跡
堀の内遺跡は、薄川(すすきがわ)、追倉沢(おっくらざわ)が開いた扇状地上流の水が得やすい場所に位置します。
発掘調査の結果、縄文をはじめ弥生、古墳、平安という各時代の住居址110軒のほか、方形周溝墓、建物址など、数多くの遺構と、各時代の遺物を数多く発見されました。住居が多数密集した大規模集落ではなく、数軒以内の住居と土坑が点在していることが特徴です。
また、古墳時代の末期から奈良時代にかけて、大規模な導水や河川管理が発達したので、新しい集落が次々と生まれました。
コラムクイズ
里山辺地区にある国史跡「林城跡(大城・小城)」を築いた、松本城主にもゆかりのある一族はどれでしょう?