考古博物館ニュース④ 学芸員のおすすめ資料

銅製三尊仏像

 銅製三尊仏像は、高さ9.8㎝、幅8.2㎝で、1本の茎(なかご)から分かれた3本の茎上部に座像が作られています。当初は、錫杖(しゃくじょう)の頭部ではないかと考えられていましたが、錫杖頭部に特徴的な円形の輪型がないことから、念持仏として台上に安置されたとも考えられています。

銅製三尊仏像

銅製三尊仏像

三尊仏彫刻の石製硯

 三尊仏彫刻の石製硯は、縦約6.8㎝、横約3.8㎝、厚さ1.5㎝の小型の石製の硯です。裏面には、三尊仏の彫刻があり、塼仏(せんぶつ)の型になっています。
 塼仏とは、仏像が浮き彫りになるように作られたものです。この硯は、そのための型として利用され、これに粘土をつめて三尊仏像を作り、焼きかためて製品にしたと考えられます。

三尊仏彫刻の石製硯

三尊仏彫刻の石製硯

平瀬遺跡

 上記2資料は松本市島内地区の北部に位置する「平瀬遺跡」から出土しました。
 鎌倉時代の文献に、「信州平瀬法住寺(ほうじゅうじ)」という寺院が記されており平瀬遺跡は「法住寺」に関連するものではないかと考えられていました。
 発掘の結果、寺院の建物跡は確認されませんでしたが、上記の資料や布目瓦など寺院に関連する遺物が発見されました。そのため、平瀬遺跡は、法住寺に何らかの関係のある集落であったと考えられています。また、古墳時代の住居跡も発見されました。これにより、島内地区の平地部でも、古代から人々の生活が営まれていたことがわかりました。

 

コラムクイズ

平瀬遺跡のある松本市島内。同じ島内地区内の北方遺跡から出土した目を惹く遺物はなんでしょう?

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