常設展展示紹介⑫ 「松本の古墳時代3」
桜ヶ丘古墳
浅間温泉にある桜ヶ丘古墳は松本市を代表する古墳の一つです。短甲(たんこう)・衝角付冑(しょうかくつきかぶと)・鉄剣といった武器・防具に加え、金銅製天冠(てんかん)が副葬され、中期(5世紀後半)の古墳であることが判明しました。短甲や衝角付冑は県内でも出土例が少なく、天冠は県内で桜ヶ丘古墳が唯一の事例です。天冠は一般にヤマト政権から地方豪族へ与えられた品と言われ、古墳の被葬者がいかに有力であったかを考えさせられます。
南方古墳
入山辺の南方古墳(7世紀中頃から8世紀初頭)は、昭和63年ほ場整備事業に伴い、ブドウ畑の下に埋もれた状態で偶然発見されました。発掘の結果、現在に至るまで盗掘を免れ、装身具は松本市最多の700点を超え、武器や馬具、銅製の鋺や高台のついた受け皿(承盤(しょうばん))といった仏具などの金属製品類、多様な器種の土器群が出土しました。
この古墳では何度か追葬が行われたことがわかっています。最初の埋葬時には武具や馬具など武力によって権威を表していたものが、仏教の伝来に伴い徐々に仏具や仏器などに変化していった様子を、副葬品の変化からうかがい知ることができます。
コラムクイズ
長野県では唯一、桜ヶ丘古墳でしか見つかっていない金銅製の天冠。全国の出土事例はどれくらいの数でしょう。