馬場家の風景 カタオカザクラ
今、馬場家住宅西側の門庭で1本の桜が満開を迎えています。「カタオカザクラ」という名前のこの桜は、松本城などで見られる「ソメイヨシノ」とは異なり「カスミザクラ」という桜の一種です。名前の「カタオカ」は、かつて馬場家住宅も含まれていた旧片丘村の山中で発見された事に由来します。
多くの桜は10年程度経たないと花を咲かせませんが、カタオカザクラは高さ数十センチの若木でも2~3年で花を咲かせるという性質があります。また、大きくても4~5m程度にしか育たないという性質を持っています。そのほかに開花時期がソメイヨシノに比べ遅い、花の柄に短い毛が生える、花をつけている部分から葉が生えるといった特徴があります。
カタオカザクラは、元東京大学理学部付属植物園日光分園主任の久保田秀夫氏に発見され、昭和27年にカスミザクラの新品種として認められました。原生地の山火事により一時は姿を消したものの、久保田氏が残していた木から接ぎ木苗が作られ、松本市内では馬場家住宅や内田地域づくりセンターなどで見ることができます。
門前では新緑の屋敷林を背景にした薄紅色のカタオカザクラが見事に咲いています。ご来館の際には、若葉の候の桜もお楽しみ下さい。