展示紹介:松枯れ材を活用したエレキギター

展示の様子

市内で生産されたアカマツギター。松本市はギター生産量日本一です。

アカマツは、松本市の「市の木」にも指定される、市民にとって馴染み深い樹木ですが、近年、市内では松枯れの被害が深刻化しています。松枯れの被害にあった木材は有効活用されず放置されたり、焼却処分されたりすることがほとんですが、市内の企業がエレキギターの材として有効活用する取組みを行っています。そのギターの1つが松本市に寄贈されました。人と自然の関わり、木材の利用を伝える資料として、山と自然博物館で展示中です。

松本産アカマツ・ギタープロジェクトとは?

市内のギター製造会社、(株)ディバイザーでは、松枯れにより止むを得ず伐採したアカマツを用いたエレキギターを作り、販売しています。きっかけは、社員が市内の山林で、松枯れ被害の対策に携わったことでした。 「松枯れ被害など、地域の環境に関心を持つきっかけをつくりたい」という想いから、通常はギターに使用しないアカマツ材の、しかも松枯れ被害にあった取扱いの難しい木材を用いて、試行錯誤の末に完成させました。通常は避ける木材の節や虫食いの跡をデザインに取り入れ、松枯れ材によく見られる青みがかった染みをあえて生かした塗装を施すことで、個性的な印象の「アカマツギター」が完成しました。

松枯れとは

健康なマツが急激に枯れていく病気です。原因は線虫という小さな生物(マツノザイセンチュウ)の寄生により、根から吸い上げた水を通す仮道管が詰まってしまうことです。この線虫は、マツノマダラカミキリの体内にいて、カミキリがマツの新葉をかじると、そこからマツに感染・増殖します。そして枯れたマツにカミキリが産卵し、翌年の初夏には線虫に寄生された新成虫が羽化します。この線虫は、従来日本にはいませんでしたが、外国からの輸入木に寄生しており、そこからマツノマダラカミキリに寄生したといわれています。

マツノマダラカミキリ

マツノマダラカミキリ