Vol.001 展示ができるまで(R3.2.15 文責:千賀)

 博物館の展示を考える学芸員。学芸員といえば、部屋にこもって古文書を読んだり古い物を調べているイメージがあるのではないでしょうか。それも、学芸員の仕事の一部ですが…
 今回の新博物館の展示をつくるためには、できるだけ多くの“場所・もの・できごと”を実際に現地に行って調査することを大切にしています。それは、現地で見て驚いたものや感動したものこそ、展示室でご覧いただくみなさんに驚きと感動をお伝えできると考えるからです。松本には、豊かな自然・歴史・文化が現地に残されています。展示を見たみなさんに、「現地に行ってみたい!」と思い実際に見て感動してもらいたい。そんな想いで、学芸員は松本中を飛びまわっています。

1月の年中行事「初市」はお神輿を運ぶところから始まります

1月の年中行事「初市」 今は車でお神輿を運びます

夜には街中に建てられた拝殿でお祓いを受けます

夜には街中に建てられた拝殿でお祓いを受けます


Vol.000 ロビー展示「これまで、そして、これから」展のお知らせ(R3.2.8 文責:堀井)

 今回のコラムは、「展示ができるまでの物語」の視点でお届けします。
 標記のミニ展示を松本市立博物館の1階ロビーで、3月7日(日)まで開催しています。こうした展示は、みなさんにお披露目されるまでの間、どのようにできていくのでしょうか。大きくは、企画→資料選定→解説原稿作成→展示作業という流れです。
 まずは企画・立案です。誰に、どんなことを、どんな風に伝えたいかをイメージしながら企画を練ります。今回は「卒業アルバム」を展示コンセプトとしてイメージし企画しました。
 次は、実際に展示する資料を選びます。今回はパネル展示なので写真を選びますが、「アルバム」がコンセプトなので、博物館で実施してきた色々な行事の様子をピックアップするようにしています。
 資料の選定にあわせ、その資料に語らせるメッセージを考えます。これが、博物館の展示で「解説」や「キャプション」と呼ばれるものです。今回は、パネルの中に一言コメントを入れています。
 資料の選定・解説原稿ができれば、いよいよ展示作業です。出力した写真紙を片面に糊がついたパネルに貼り付け、展示パネルを切り出して作っていきます。展示パネルを壁にピンで打ち付けて設置することで、今回のパネル展が「一旦」完成します。それぞれの作業の中に、学芸員のこだわりが見え隠れするのですが、それは今後のコラムのお楽しみにとっておきます。

出力紙の貼り付けは緊張の瞬間。「スマホに保護シールを貼り付ける」イメージです。

出力紙の貼り付けは緊張の瞬間。「スマホに保護シールを貼り付ける」イメージです。

 さて、わざわざ「一旦」完成と書いたわけですが、皆さんは卒業アルバムに、同級生から寄せ書きをしてもらいませんでしたか?今回の展示、実は皆さんからのコメントを寄せていただく、参加型のイベントを行っています。「博物館が展示をつくる→来館者が展示を見る」という一方向のものではなく、双方向の展示になっています。会期が進むにつれて「変化していく展示」、皆さんもぜひ、ご参加ください。

会期末には、どんな思い出の花が咲くのでしょうか。

会期末には、どんな思い出の花が咲くのでしょうか。