今月の短歌 ~窪田空穂の歌の魅力をご紹介します~

 〔10月の短歌〕

 

街角

 秋日ざし明るき町のこころよし  

      何れの路に曲りて行かむ

 (あきひざしあかるきまちのこころよし
         いずれのみちにまがりてゆかん)

              歌集『卓上の灯』所収

 

昭和25年、空穂73歳の作品です。
秋晴れの一日、町中をゆっくり散歩しているときの気分を詠っています。
さわやかな町の空気は心地よく、次はどこの路を行こうかなと、ちょっぴり心を弾ませているようにも感じられます。どこの角で曲がっても、きっとそこにも明るい秋の光があふれ、よいことが待っているかのようです。

高く澄み切った空に、心も晴れ晴れとする季節となりました。
たまのお休みの日に、お家の周りをゆっくり歩いて見たらいかがでしょうか。何気なく入った小路に、いままで気付かなかったような発見があるかも知れませんよ。
唯々、秋色の町を歩き、疲れたら立ち止まり一息つく。そんなひと時をどうぞ。