学芸員雑記 「昔の遊び道具作り教室」
旧山辺学校校舎では毎年6月に「昔の遊び道具作り教室」を開催しています。
この教室は平成11(1999)年、地域のお年寄りと子どもたちのふれ合いの場として始まりました。昔の遊び道具を作ることを通して、素材の加工、道具の使い方、遊び方などを子どもたちに伝えてきました。
現在は地域を限定することなく、子どもだけでなく、興味のあるかた誰でも参加できるようにしています。
令和5(2023)年の教室
令和5年の教室は6月18日(日)に開催しました。講師は荒田直氏、青柳秀人氏で、長野県シニア大学で「ものづくり講座」の講師をされていた方々です。
教えていただくのは「割りばし飛行機」、その他牛乳パックで羽をつくった牛乳パックとんぼ、ストローに羽を付けたストロー飛行機です。どれも簡単に作れますが、バランスを考えながら作らないとうまく飛びません。参加された方々は、飛行機を紐で吊るして前後の重さのバランスをとるなどして、丁寧に作っていました。
割りばし飛行機
割りばしは、つながっている部分の約2センチメートルを残し、割れている1本を切り取ります。切り取った短いほうは、輪ゴムを付けて飛行機を飛ばすパチンコに使います。
紙から主翼、尾翼の型を切り抜き、それを長いほうの割りばしに糊で付けます。
丸い箇所はハサミが入れにくく、ギザギザになってしまいます。小2の男子児童は、苦労したけど楽しかったそうです。
先頭にクッションを付けます。飛行機の中央辺りを紐で吊るし、先頭から尾翼までの重さが釣り合っているか確認します。釣り合わなかったら、軽いほうに紙を糊付けして足します。
少しの違いでバランスが崩れるので難しい工程。でも、ここを丁寧にやっておかないと、遊ぶときに楽しくありません。
その他の遊び道具
牛流パックトンボは、牛乳パックで作る竹とんぼです。牛乳パックをスケートボード状に切り取ってプロペラにし、先端を半分に切ったストローに挿みこんでステープラーで留めます。両手の平でストローをすり合わせるようにして飛ばします。昔は竹が簡単に手に入りましたが、今ではかえって入手困難。昔の遊びを現代の素材で楽しみました。
ストロー飛行機は、ストローの両端に丸めた紙を糊付けするだけ。こんな簡単な構造で、びっくりするほどよく飛びます。ただし、こちらも貼り付ける位置をきちんとしないと飛びません。
最後に、参加者全員で隣接するグランドに出て、完成した飛行機を飛ばしました。きちんと作ってあっても微妙なバランスで飛びが悪かったりしました。飛ばしながら羽を調整したり、飛ばし方を工夫したりと、みなさん真剣に遊んでいました。
この教室は毎年実施予定ですので、ぜひご参加ください。この教室を通して、工夫して道具を作っていた昔の人の知恵を知り、私たちなりに出来る無駄のない持続可能な物作りへのヒントとして欲しいです。そして周りの人たちに伝えたり、一緒に遊んでもらえたりしたら嬉しいです。
(学芸員:岡野)