上條館長の山城案内 会田城(虚空蔵山城)

会田城(虚空蔵山城) 松本市会田

さて、今日は虚空蔵山城です。虚空蔵山は全国各地にあります。北から見ると台形の山でどこが虚空蔵なのかわかりません。長野道の松本方面から見ると鋭角のとがった山です。南から見ると形の良い山で「会田富士」とも呼ばれています。ここは四賀を支配していた会田氏の山城です。会田氏は小県の海野一族の一系、岩下氏がこの地に入って名乗った姓です。そのせいか四賀には岩下さんが結構います。会田氏は武田方についたので、武田氏滅亡後、小笠原貞慶に攻められ、滅亡してしまいます。貞慶は自分に逆らった相手を徹底的に攻めます。虚空蔵山城が落とされ、矢久(やきゅう)地区に覆盆子(いちご)城〈一期(いちご)の城ということで名付けられた山城〉を築いていたものの敗れ、小県へ逃れる際、五輪の尾根で自害したといわれています。この後、会田城は小笠原流の山城に改良されたとも考えられ、山辺の山城とも関連性は多少あるようにも思います。

 虚空蔵山城は峯の城だけではなく、多くの砦がまとまった城と考えるほうがいいように思うので、ここでは会田城(虚空蔵山城)として記述していきます。中ノ陣城、秋吉砦、現(うつつ)城、峯の城、少し広げて唐鳥屋城も含めて、会田城と呼んだほうがいいと思います。

唐鳥屋城

唐鳥屋城

中ノ陣址

中ノ陣址

秋吉城

秋吉城

四賀球場北 林道入口

四賀球場北 林道入口

虚空蔵山に上るのにはいくつかルートがあります。大手道は岩屋神社参道だと思います。このルートはまず、四賀球場北側から林道虚空蔵線を進みます。

岩屋神社へ 登り口

岩屋神社へ 登り口

オゲ水と鳥居のある場所から登っていきます。         

直登コースは厳しいので、尾根コースをつづら折れで登っていくのですが、かなり急です。4~50分かかります。

隆起地形

隆起地形

 この山はかつて褶曲してうまれた地形らしく、松本側は急峻で、筑北側からはゆるやかです。ですから、松本側から登るのは大変なのです。

中ノ陣城 登り口

中ノ陣城 登り口

また、林道のここから少し西寄りには中ノ陣城登り口があります。中ノ陣城、秋吉城にはすんなりいけますが、上の尾根に出るまでが完全岩山登山になります。直登に近いのでお勧めしません。

143号線から分岐交差点

143号線から分岐交差点

また、風越(かざこし)峠方面からも行けます。刈谷原トンネルを抜けて143号線を10分ほど道なりに進み、県道会田西条停車場線を上って行ってください。

有機センター入口

有機センター入口

風越峠側 登山口

風越峠側 登山口

いつもの柵

いつもの柵

 

 

 

 

 

 

 

四賀有機センターの看板を左折してしばらく行くと登山口に着きます。途中、有害獣防止柵があります。柵を開けて車で進みます。

地元の小中学生とはこちらから登りました。途中、ロープや鎖で登る場所もありますが、比較的登りやすいかなと思います。40分ほどでいけます。

花川原峠からも地図では道が見えてましたので、今回下ろうと思っていたのですが、標識もなく、まだ雪や氷もあったので断念しました。

そして、今回紹介するのが、岩井堂沢からの登城です。前回は下りだったのですが、道はよかったので今回挑戦と思いました。ただ、やや長い坂が続きますので、少々疲れます。休み休みで小1時間でしょうか。道は整っています。

矢室交差点

矢室交差点

 

 さて、道順ですが、岩屋神社から登る道とちょっと違う道を案内します。四賀球場からの道とも実は合流するのですが、こちらのほうが近道なのでご紹介します。

 

国道143号線を四賀方面に進んでください。刈谷原トンネルを超えて次の信号を左折します。

県道302との交差点

県道302との交差点

峯の城 遠景

峯の城 遠景

 

 

 

 

 

 

 

しばらく道なりですが、右手に四賀小、四賀支所、会田中が見えてきます。橋を越えた十字路をまっすぐ進んでください。

T字路

T字路

次のT字路を左折して進むと岩井堂の表示が出てきます。少し行った芭蕉碑の角を曲がると四賀球場に行けます。

うつつの清水

うつつの清水

水溜め石

水溜め石

 

 

 

 

 

 

 

 

駐車場らしき場所を進むと細い林道に入りますが、もう少し進むと右手に「うつつの清水」「水溜め石」が残っています。

登り口

登り口

少し進むと虚空蔵山登り口の標識が。この周辺に車は止めておきます。

止山

止山

四阿屋(あずまや)社

四阿屋(あずまや)社

 

 

 

 

 

 

 

少し登ると止め山の白いテープがあります。ここ四賀はマツタケの産地。松くい虫による被害も大きく、大変です。20分ほど進むと四阿屋社の石積みがあります。

中の陣案内

中の陣案内

 

この後もかなり息が切れます。中ノ陣城への手書き看板もどこが道なのかはよくわかりません。

平曲輪

平曲輪

 

ここから少しずつ平曲輪らしき形が見えてきます。ここらあたりから城内と言えそうです。

大岩

大岩

尾根道

尾根道

 

 

 

 

 

 

 

そして、岩場が現れます。大きな岩の横に道がついているので、登ってみるとすごい岩がありました。あの上に登ろうかなと思いましたが、やめておきました。
それから、細い尾根道の岩場を歩きます。バランスを崩すと大変なので気を付けて進んでください。

分岐点

分岐点

すると、岩屋神社との三叉路が。ここは道がはっきりしています。

主郭

主郭

霞がかった北アルプス

霞がかった北アルプス

 

 

 

 

 

 

 

堀切と小さな曲輪を超えると主郭につきます。以前は木が生い茂っていましたが、だいぶすっきりしました。春霞で残念な展望でしたが、北アルプスが見事です。筑北の村や長野道もよくみえました。

東堀切

東堀切

 

その後、東に向かうと堀切がいくつか続きます。3つ目の堀切から花川原峠の道があるとのことですが、これかなって程度です。雪も残るので止めておきました。

岩屋神社

岩屋神社

岩屋神社内

岩屋神社内

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、戻り、岩屋神社まで行きました。岩場の中に神社があるのはやはり、ここが信仰の山とされた証拠でしょう。磨崖仏と虚空蔵菩薩が祀られています。

岩井堂

岩井堂

千手観音坐像

千手観音坐像

摩崖仏

摩崖仏

四賀キャニオン砂岩層

四賀キャニオン砂岩層

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

岩井堂は善光寺街道沿いに建つ名所で旅人も多く訪れたはずです。観音山周辺石造物群として、松本市重要文化財に指定されています。お堂の脇の摩崖仏は大きく貴重なものです。お堂のなかの千手観音坐像も重要文化財です。

 四賀キャニオンの愛称もある砂岩層も見事です。かつてはこの辺りで石炭が産出し、馬車や索道を使い、各地に輸送していたという歴史もあるようです。

岩井堂方面からの道は帰りに枯葉に何度か足を取られましたが、道はしっかりしているのでいいトレッキングになるかなと思います。今日も平日にもかかわらず、10組とすれ違いました。少し装備をしっかりして楽しんでください。