学芸員雑記 ミュージアム・トーク!

 職員による校舎・館内展示案内を行うことがあります。2月下旬、松本市在住の方々が来館され、明治時代の学校生活や山辺の民俗について学ばれました。そのときの様子など併せて紹介します。

校舎を楽しむ

校舎の特徴を説明

校舎の特徴を説明

 外から、校舎の特徴について説明します。和洋折衷(わようせっちゅう)の校舎ですが、具体的にどこが洋風でどこが和風なのか?実物を見ながら確認します。

軒瓦の垂れの部分に「黌」の字

軒瓦の垂れの部分に「黌」の字

 気付きにくい箇所も案内します。例えば、軒瓦(のきがわら)の垂れの部分に「黌(まなびや)」の字。「黌」の文字は鬼瓦にもあり、あたかも校章かのように使われています。全ての軒瓦にある光景は、ぜひ見上げて観て欲しいところ。

 校舎の中では中央の廊下や和風の天井など、特徴的な箇所を観ていきます。

資料を楽しむ

 展示してある資料にどういった価値があるのか、見所はどこなのかを説明します。

第1室で佐々木喜重の建築仕様を観る

第1室で佐々木喜重の建築仕様を観る

 校舎を設計した大工の棟梁、佐々木喜重(ささき きじゅう)は設計当初から和洋折衷を意識していました。建築仕様のどこからそれがうかがえるのか、第1室のケースをのぞきながら確認しています。

 第2室では開校式の来賓受付簿を観ました。松本の初代市長「小里頼長(おり よりなが)」、松本出身の社会運動家「木下尚江(きのした なおえ)」、松本城天守の修理保存に活躍した松本中学校の校長「小林有也(こばやし うなり)」など、錚々たる顔ぶれであったことなど紹介しました。

体験してみよう

 明治の授業はどんなものでしょうか、少しだけ体験します。

石盤と石筆で文字を書く体験

石盤と石筆で文字を書く体験

 明治の子どもたちがノートの代わりに使った石盤(せきばん)に、石筆(せきひつ)を使って字を書きます。固い石筆に当たると、力を入れないといけません。でも、チョークより細かい字が書けるかも?

掛図を読んでみる

掛図を読んでみる

 予め勉強する内容が印刷されている大きな「掛図(かけず)」を読んでみます。
「授業の始ハ午前七時 授業の終ハ午後三時なり」

 このほか、明治34年の試験問題にも挑戦しました。

 体験された方は「厳しい環境下で学ぶ子供たちの姿が思い浮かんだ」そうです。

  旧山辺学校校舎を団体でご利用で、事前にご要望いただいた場合、職員が展示解説を行います(時間によってご要望に添えない場合があります)。興味のある方はお問合せください。

(学芸員:岡野)