vol.119 「強靭」とは「しなやか」であること (R7.11.7 文責:髙木)
10月2日より始まった特別展「日本刀は美しい Japanese Swords Are Beautiful」の会期も後半となりました。ここで会期中に行った関連事業について振り返ってみたいと思います。
10月4日に、刀剣博物館上席専門研究員・石井彰氏の講演「日本刀の魅力」を開催しました。研師の修行経験もある異色の刀剣研究家です。刀剣が出来上がるまでの解説に始まり、特に、押形(形状を拓本で写し取り刃文や働きを手書きで写生したもの)を見せていただきながらの解説は日本刀への愛が溢れる素晴らしい講演でした。
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翌5日には「刀剣乱舞online」の宣伝部長「おっきい こんのすけ」の撮影会を行いました。館の外まで希望者が並び、午前午後2回の開催で400人以上の方に参加していただきました。「ゆるバース2025」でグランプリを受賞したというこんのすけさん、動きがとっても可愛らしくてしかも凛々しく、人気の理由がわかった気がしました。
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10月12日にはこの刀剣展の図録の監修者でもある日本美術刀剣保存協会長野県南支部の会員の皆様による「日本刀の手入れ実演」が行われました。手入れの仕方から太刀と刀の違いなど分かりやすく教えていただきました。「日本刀の手入れ実演」は10月26日、11月9日にも行われました。
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13日には信州大学居合道サークルによる「夢想神伝流居合道演武」が披露されました。仮想敵を倒す動きが洗練された演武となっていますが、演者の集中力がこちらにも伝わる迫力でした。ラストにOBで五段の方が演じられましたが、真剣を使っているということで、空を切る刀の迷いのない動きの美しさを感じました。居合刀を振ってみる体験も大盛況でした。
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25日には宮入法廣刀匠による講演会「日本刀を作る~古作の再現~」を開催しました。80人の定員に対して170人以上の応募があり、熱気のある講演となりました。「反り」や「刃文」が生まれる秘密、再現模造の苦労などを余すことなく教えていただきました。
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11月1日には「日本刀の研ぎの実演」が行われました。日本美術刀剣保存協会が認定する「無鑑査」という一流の研師の称号を持つ、松本市在住の熊井光徹さんによる実演です。刀身がいくら素晴らしくても名刀となるかどうかは研ぎの出来次第だそうです。不安定な態勢で集中して行う研ぎの難しさを実感し、また、貴重な砥石も見せていただきました。
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様々な関連事業を通して、日本刀の素晴らしさ、美しさを皆さんに体感していただけたと思います。私がこれらの事業を通して特に感じたことは、日本刀に関わる一流の方々は皆さんが「靭(しな)やか」であるということでした。硬い鋼と軟らかい鋼を組み合わせることで生まれる「折れず、曲がらず、良く切れる」という強靭な日本刀の特徴と同じです。宮入刀匠や熊井研師のお人柄から、強さとは「しなやか」であることだと教えていただいたように思います。
会期も残り少なくなりました。大勢の方々の協力のもとに作り上げた展示です。一人でも多くの方に観覧していただければと願っています。
「日本刀は美しい Japanese Swords Are Beautiful」は11月16日(日)までの開催です。













