見どころ

沿革　　

シガマッコウクジラ全身骨格

世界最古に出会える博物館

松本市の北部に位置する四賀地区は、新生代新第三紀の別所層や青木層などの化石を多く含む地層が分布し、県内でも有数の海生哺乳類化石（クジラ類、鰭脚類）の宝庫として知られています。

　昭和61年（1986）、保福寺川の露頭で地元の小学５年生がクジラの化石の一部を発見しました。これを受け、昭和63年（1988）に四賀村（当時）によって大規模な発掘が行われ、マッコウクジラの全身骨格化石の掘り上げに成功しました。

これは環太平洋で2例目、全身骨格としては世界最古の大発見となり、シガマッコウクジラと名付けられました。四賀化石館は、このクジラの全身骨格化石をメインに、旧四賀村内外から採集されたクジラ類やアロデスムス、貝、植物などの化石を収蔵・展示する目的で1989年（平成元年）に開設されました。

シガマッコウクジラ年譜

年代		主な出来事
昭和61	1986	地元の小学校５年生、山田智久君が化石の一部を発見する。
63年	1988	5月22日　発掘開始
63年		７月３日　掘上終了
平成１	1989	四賀村化石館開館　産状レプリカ展示
２年	1990	クリーニングが終了し、クジラ化石を展示
２年		バーンズ博士（ロサンゼルス自然史博物館）調査に来館
６年	1994	バーンズ博士、マッコウクジラの新種スカルディセタスとして論文を発表(廣田・バーンズ1995)
８年	1996	四賀村天然記念物に指定
17年	2005	長野県天然記念物に指定
18年	2006	群馬県立自然史博物館の長谷川博士再調査、新属のブリグモフィゼテル(かみつくマッコウ)として論文を発表(木村・他2006)
19年	2007	シガマッコウクジラの立体レプリカの完成・展示
27年	2015	シガマッコウクジラ復元イラスト展開催・復元イラストの展示

館内案内

フロアマップ

1階ロビー　大人気のぬりえコーナーを中心に、本物の化石に触れたり、クイズに挑戦できます。

ぬりえコーナー

大人気のぬりえコーナーでは、シガマッコウクジラやシナノトドをはじめとした合計８種類の可愛らしいイラストをご用意しております。ぬりえをしていただき、提出してくださった作品は、館内に展示しています。また、毎月ぬりえ大賞を実施し、館長賞、学芸員賞、スズキサトル賞、大人のぬりえ賞を選んでいます。お子さんだけでなく、大人の方も楽しんでいただけるコーナーになっておりますので、ぬりえ大賞を目指して、是非挑戦してみてはいかがでしょうか。

1階展示室　海生哺乳類化石を中心に、北部フォッサマグナ地域の化石の展示

１階展示室に一歩足を踏み入れると、全長5.5mのマッコウクジラの全身骨格化石と天井から吊るされた全長8.4mの現生ミンククジラ(８歳)の骨格標本が圧倒的な迫力で迎えてくれます。

また、長野県の天然記念物のシナノアロデスムス、平成26年（2014）に新種として記載されたシガウスバハギ（カワハギ科）、巨大な海獣の陰茎骨、世界最古といわれるナガスクジラの頭蓋骨、イルカの進化に一石を投じた頭蓋骨などを展示しています。いずれも世界の研究者が研究の基準とするホロタイプの標本です。このような海生哺乳類化石の他に、魚類、貝類など、北部フォッサマグナ地域に産出した化石を展示しています。山国信州が太古の海だったことを証明する大変貴重な化石がそろっています。

2階展示室　古生代・中生代の化石、鉱物標本、ホッキョクグマの剥製などを展示しています。

ホッキョクグマの剥製

２階展示室では、原生代のストロマトライト、古生代の三葉虫、中生代のアンモナイトなどの化石や、現生貝、鉱物標本を展示しています。また、生命の進化と地球環境を考える上で大変重要な、ジャコウウシ、ホッキョクグマ、ユキヒョウなど、希少動物の剥製を間近に見ることができます。
　広い学習室は講義や、レプリカ作りなどの化石教室に利用されています。