☆化石新聞第12刊~四賀の4地区について~☆

はじめに

こんにちは!化石館学芸員の小林です。あっという間に新年度になりました。引き続き化石館の学芸員として皆さんをお迎えすることができ、とても嬉しいです。昨年度はコロナウイルスとの1年で、臨時休館など皆さんにご迷惑をお掛けすることがたくさんありました。その中でも、笑顔で講座に参加して下さるお客様やコロナに負けないくらい元気なお子さん達の姿を見てパワーをもらいました。今年度も、新館長含め化石館職員一同、皆様に楽しんでいただける博物館運営に努めて参りますで、今後とも宜しくお願い申し上げます。
さて、今回は化石新聞第12刊~四賀の4地区について~です。コロナウイルス感染拡大を受けて、ご自宅でも化石館を楽しいでもらいたいと始めた化石新聞も、早いもので12刊目となりました。引き続き四賀や化石の魅力をお伝えしますので、軽い気持ちで楽しく読んでいただけたら嬉しいです。

化石館館長(右)と学芸員(左)の写真

化石館館長(右)と学芸員(左)

桜写真

四賀も今年は早めの桜満開です!

 

 東筑摩郡四賀村から松本市四賀へ

松本市四賀は昔東筑摩郡四賀村でした。四賀村は1955年(昭和30年)4月1日に嶺間4ヵ村と呼ばれた会田村、五常村、中川村、錦部村が合併して誕生しました。その後、2005年(平成17年)に松本市に編入合併し、化石館や赤怒田の福寿草群生地などを中心に毎年多くの方々が訪れる魅力ある街です。
自然分野で見ると、矢久のカヤや横川の大イチョウをはじめとした長野県天然記念物が数々あり、春にはフクジュソウが可愛らしく咲き誇り、自然の豊かさを感じることができます。
化石分野で見ると、世界最古の全身骨格化石のシガマッコウクジラ、長野県天然記念物シナノアロデスムス頭骨化石などの海生哺乳類化石を中心に多くの化石を産出する化石の宝庫です。
歴史分野で見ると、江戸街道と善光寺街道が通った刈谷原宿、保福寺宿、会田宿という3つの宿場町の趣が感じられ、虚空蔵山城を中心とした戦国時代の山城跡も多く残っています。

四賀地区散策マップ

四賀地区散策マップ

会田地区

こちらは旧善光寺街道の宿場町である会田宿が残り、歴史の息吹がはっきりと感じられます。鎌倉時代には、伊勢神宮の領地として会田御厨(みくりや)が置かれました。戦国時代になると、山梨県の戦国武将武田信玄や信濃守護の小笠原氏に仕えた豪族会田海野氏の城下町が形成され、政治経済の中心地として発展しました。また、旧善光寺街道の宿場であることから、松本と善光寺平(長野市)、さらには上田を結ぶ交通の要衝でもありました。

会田地区にある廣田寺

会田海野氏の菩提寺である廣田寺

五常地区

こちらは四賀地区の中でも特に多くの化石を産出する地域です。中でも現生のトドやアシカに類似する大型海生哺乳類シナノアロデスムスの頭骨の化石は貴重で、長野県天然記念物に指定されました。今後も歴史的大発見が期待される化石のロマンがあふれる場所です。

シナノアロデスムス頭骨

展示中のシナノアロデスムス頭骨化石(長野県天然記念物)

中川地区

こちらは、戦国時代に四賀地域を支配した豪族会田海野氏の山城虚空蔵山城、長野県天然記念物に指定されている矢久のカヤ、横川の大イチョウなど多くの観光資源があり、歴史と自然の奥深さを感じることができます。

山城跡が残る虚空蔵山

山城跡が残る虚空蔵山

錦部地区

こちらは四賀化石館が位置する地域です。毎年春には福寿草まつりが開催され、可愛らしく咲き誇るフクジュソウを求めて県内外から多くの観光客が訪れます。また、古代から中世にかけて東山道の道中となる場所であり、江戸時代に入ると江戸街道の宿場町保福寺宿が整備され、松本と上田、そして江戸を結ぶ交通の要衝として栄えました。

フクジュソウ写真

毎年多くの方が訪れるフクジュソウ群生地

おわりに

以上、四賀の4地区のご紹介でした。四賀は四方を山々に囲まれた自然豊かな地域で、今からおよそ1500万年~800万年前には海が広がっていました。その証拠となるクジラや魚といった海の生き物の化石が数多く産出しています。また、戦国時代の山城跡、寺などの史跡が多くあり、旧街道沿いには歴史の面影が残る街並みや家が点在しています。四季折々に表情を変える田園風景、自然の恵み。クジラや魚が泳ぐ太古の海を想像しながら四賀地区を散策してみてはいかがでしょうか。

☆四賀化石館令和3年度年間行事予定のご案内☆

はじめに

こんにちは!化石館学芸員の小林です。苦手な冬が終わり、春を感じられる季節になったのも束の間、花粉が多い毎日に泣かされています。毎年数々の花粉症の薬を飲み続けていますが、これといった効果がなく嘆いています。おすすめの花粉症対策がありましたら、教えていただきたいです。さて、今回は…お待たせしました!四賀化石館の令和3年度の年間行事予定のご案内です。令和2年度はコロナウイルス感染拡大のため、講座の中止や人数制限など、皆様に色々とご迷惑をお掛けしましたことをお詫び申し上げます。令和3年度は引き続き世の中の状況を見ながら、安全を確保したうえで講座を開催する予定です。毎年大人気の講座もございますので、ご参加を希望される方は事前に下記詳細をご覧下さい。また、コロナウイルスの感染状況によっては、講座の中止や延期などをさせていただく場合もございますので、あらかじめご了承下さい。

年間行事詳細

☆化石教室「化石採集コース」
内容:①化石館の見学 ②地層見学 ③化石採集体験(野外は松本市のバスで移動します。)
日時:5月23日(日) 6月26日(土) 7月24日(土) 9月25日(土) 10月23日(土)
   午前9時~12時、午後1時~4時 ※どちらも同内容です。
定員:各回20名 小学生以上(小学生は必ず保護者同伴)
参加費:1名500円
募集期間:4月27日(火)午前9時~5月5日(水)午後4時30分
募集方法:電話、fax、ホームページの応募フォーム
注意事項:先着順ではありません。定員より申し込み多数の回は抽選によって決めさせていただきます。抽選後、予約確定の日時と参加要項をお届けします。悪天候で化石採集が中止の時でも地層見学後、屋内で楽しい化石教室を行います。

令和2年度の化石教室の様子

令和2年度の化石教室の様子

☆化石教室「レプリカ作りコース」
内容:①化石のレプリカ作り(作ったレプリカをお持ち帰りいただけます。)②化石館の見学
日時:11月27日(土) 12月18日(土)
   午前9時30分~11時30分、午後1時30分~3時30分 ※どちらも同内容です。
定員:各回20名 5歳以上(小学生以下は必ず保護者同伴)
参加費:1名500円
募集期間:現在のところ未定です。
募集方法:電話、fax
その他:大人も楽しめる内容です。保護者の方もぜひご覧下さい。

令和2年度のレプリカ作りの様子

令和2年度のレプリカ作りの様子

☆夏休み3講座

内容:①未定 ②「微化石モンスターを探せ」砂の中から小さな化石を発掘します。(貝やうにの化石) ③「化石クリーニング体験」
   石の中に隠れた貝の化石を掘り出します。
日時:①7月25日(日) ②8月1日(日) ③8月5日(木)
   それぞれ午前10時~11時30分、午後1時30分~3時 ※どちらも同内容です。
定員:各回20名 ①②5歳以上(小学生以下は必ず保護者同伴) ③小学3年生以上
参加費:①③1名500円 ②通常観覧料(大人310円 小中学生150円)
募集期間:未定
募集方法:電話、fax

令和2年度の化石クリーニング体験の様子

令和2年度の化石クリーニング体験の様子

おわりに

以上、四賀化石館令和3年度年間行事のご案内でした。上記以外にも、コロナウイルスの感染状況を見て大人の化石教室など、他の講座を開催する場合もあります。詳しくは随時化石館のホームページや広報まつもとなどにてご確認下さい。来年度もコロナウイルスに負けないよう職員一同元気ハツラツで皆様をお迎えいたしますので、たくさんの方々のご来館をお待ちしています。

☆3月21日開催!博物館まつりのご案内☆

はじめに

こんにちは!化石館学芸員の小林です。ようやく厳しい寒さも落ち着き、春の気配が感じられる季節となりました。四賀化石館のすぐ近くの赤怒田のフクジュソウ群生地では現在フクジュソウが満開に咲いています。今年は残念ながら福寿草まつりが中止となってしまいましたが、多くの方々がフクジュソウを見にいらしております。今年は暖冬のためか、見頃が終わるのも早いと思いますので、フクジュソウをご覧になりたい方は近い内にお越し下さるのが良いかと思います。

赤怒田のフクジュソウ

赤怒田のフクジュソウ

博物館まつりとは?

今回は3月21日(日)に開催される博物館まつりのご案内です。博物館まつりとは、松本市立博物館のほか、博物館友の会、市民学芸員の会、エムの会、あゆみの会の皆さんといった市民の方々にもご協力を賜り、博物館や松本の魅力を見て、聞いて、体験していただけるイベントです。博物館の職員だけではなく、市民学芸員や友の会の皆様の活動もご紹介し、行政と市民が一体となった催しとなっています。現在開館している松本市立博物館は、3月をもって、新しい博物館が完成するまでの間休館となります。現在の松本市立博物館は昭和43年(1968年)に開館し(当時は日本民俗資料館)、現在まで多くの市民の方々のご協力を賜りながら、53年間愛され続けてきました。その歴史の中で最後のイベントとなりますので、多くの方々のご来館をお待ちしております。詳細は下記をご覧ください。

日時:令和3年3月21日(日)午前9時30分~午後3時30分
   ※市内15施設(私立博物館と14の分館)の開館時間は各館で異なりますのでご注意下さい。
会場:松本市立博物館、松本市歴史の里
入館料:当日は松本市立博物館と市内14の分館で入館無料となります。
展示内容:松本の歴史紹介、まるごと博物館分館コーナー、松本地方の化石展、友の会活動報告、まる博ウォーキングなど

博物館まつりチラシ

博物館まつりチラシ

松本地方の化石展(会場:松本市立博物館2階展示室)

当日は一日限りの特別展示「松本地方の化石展」を松本市立博物館2階展示室で開催します。長野県が昔海だった証拠となる海の生き物の化石を中心に、普段化石館にも展示していないような貴重な化石を見ることができます。また、市民学芸員であり松本周辺の化石を発掘・研究されている小池伯一氏によるスペシャルなギャラリートークも行います。またとない機会ですから、ぜひお越し下さい。全4回(各回同内容、15分間)で、①11時~、②11時30分~、③13時~、④13時30分~の開催です。事前の予約は不要で、入場料も無料です。当日はわたくし小林も展示のご案内をしております。ご都合がよろしい方はぜひふらっとお立ち寄り下さい。

先着25組限定!博物館まつり記念品のプレゼント!(会場:四賀化石館ほか各分館)

博物館まつり開催に合わせ、当日は各分館も入館無料となりますが、さらに!!!先着25組の方に博物館まつりの記念品をプレゼントいたします。プレゼントの内容はもらってからのお楽しみです。プレゼントはなくなり次第終了となりますので、お早めにご来館下さい。また、配布数は各館によって異なりますので、あらかじめご了承下さい。化石館にも多くの方のご来館をお待ちしております。

おわりに

以上、博物館まつりのご案内でした。現在の松本市立博物館での最後のイベントです。ぜひ皆さんで53年間の歴史の最期を見届けましょう。松本市立博物館本館だけでなく、四賀化石館もとても魅力のある展示がございますので、皆様のご来館をお待ちしております。

☆化石新聞第11刊~フクジュソウについて~

はじめに

こんにちは!化石館学芸員の小林です。最近お昼食事制限をして、1か月5キロの減量に成功しました(笑)この頃は大好きな甘いものをたくさん食べているので、リバウンドしないか心配です。リバウンドといえば、コロナウイルスがリバウンドせず、このまま収束することを願うばかりですね。さて、今回は化石新聞第11刊~フクジュソウについて~です。

「フクジュソウ」とは?

 「フクジュソウ」は地域に春を告げる可愛らしい植物で、毎年2月~3月頃に黄金色の綺麗な花を咲かせます。1月1日の誕生花としても知られ、別名元日草とも呼ばれています。キンポウゲ科の植物で、日本ではフクジュソウ、ミチノクフクジュソウ、キタミフクジュソウ、シコクフクジュソウの4種を総称して「フクジュソウ」と呼ぶことが多いです。その中でも、四賀地区に群生する「フクジュソウ」はフクジュソウの種類です。「フクジュソウ」の花は、日光が当たると開き、日がかげると閉じるので、晴れの日や日が出ている時間帯にご覧になるのがおすすめです。「フクジュソウ」の歴史として、福寿草という和名が古くから新春を祝福するという意味があり、縁起の良い植物として栽培されてきました。

フクジュソウ群生地周辺地図(化石館四賀マップより抜粋)

フクジュソウ群生地周辺地図(化石館四賀マップより抜粋)

四賀地区の名所!「赤怒田のフクジュソウ群生地」のご紹介

化石でたいへん有名な四賀ですが、「フクジュソウ」の名所としても著名です。四賀地区の中でもとりわけ素晴らしい場所が、「赤怒田のフクジュソウ群生地」です。およそ2ヘクタールの北向きの斜面一面に黄金色の花が咲き誇り、毎年市内外から多くの方が訪れます。可憐に咲き誇り、春を告げる花として、松本市の天然記念物にも指定されています。毎年3月上旬~中旬にかけて「福寿草まつり」が開催され賑わいを見せておりますが、今年は残念ながら新型コロナウイルス対策のため中止となってしまいました。おまつりは中止になってしまいましたが、今年は暖冬のためか既に見ごろを迎えています。群生地には駐車場もございますし、四賀化石館から歩いて10分程度ですので、化石館にお立ち寄りの際はぜひフクジュソウもご覧になって下さい。

赤怒田のフクジュソウ

赤怒田のフクジュソウ

終わりに

以上、今回は「フクジュソウ」のご紹介でした。「フクジュソウ」の花言葉は永久の幸福、幸福を招く、祝福です。ぜひこの機会にご覧いただき、皆さんでコロナウイルスが収束し幸せな日常が戻ることをお祈りしましょう。赤怒田の群生地は化石館からほど近い場所にあり、季節も過ごしやすくなりましたので、化石館にもぜひお立ち寄り下さい。皆様のご来館を楽しみにお待ちしております。

 

 

☆化石新聞第10刊~シナノアロデスムスについて~☆

はじめに

こんにちは!化石館学芸員の小林です。最近は趣味のそば打ちとうどん作りに熱中しています。2月に入り一段と冷え込む毎日ですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。コロナウイルスが依然としておさまらない毎日ですので、体調管理には気をつけて過ごしたいですね。さて、今回はシナノアロデスムスについてご紹介致します。

シナノアロデスムスって?

シナノアロデスムスってどんな動物かわかりますか?わかる方は化石館ツウです(笑)シナノアロデスムスは、簡単に言うと、水族館でよく見かけるトドやアザラシの仲間です。見た目はトドやアザラシに似ていますが、残念ながら約1000万年前に絶滅してしまいました。これらの動物は、鰭脚類(ききゃくるい)と言う仲間で、脚が鰭(ひれ)になっている動物です。現在生きているアザラシなども脚がひれになっているので、化石館や水族館でよーく観察してみて下さい。見た目はかわいらしいフォルムをしていますが、これらの動物は肉食で、イカやタコを好んで食べます。ちなみに私は草食系男子なので、トドやシナノアロデスムスがうらやましいです(笑)

当時のアロデスムスの再現図

当時のアロデスムスの再現図

 シナノアロデスムスの頭骨化石の発掘

大正9(1920)年、当時の東筑摩郡四賀村五常(旧五常村)の畑で、動物らしき頭の化石が発見されました。この化石は、長年の間、名無しの化石になっていましたが、昭和16(1941)年に北海道大学の研究者によって「シナノトド」と名付けられました。その後、京都大学の研究者による再検討を経て、現在ではシナノアロデスムスという名前で広く知られるようになりました。アロデスムスの化石は世界的にも珍しく、日本でも5点しか発掘されていません。その中でも、旧四賀村で発見されたものは状態がよく、歯がしっかりそろっているのを観察することができます。その貴重さが認められ、昭和60(1985)年に長野県の天然記念物に指定されました。今では、シガマッコウクジラに並ぶ化石館の目玉の展示のひとつになっております。

シナノアロデスムス頭骨

展示中のシナノアロデスムス頭骨化石(長野県天然記念物)

最後に

以上、今回はシナノアロデスムスのご紹介でした。以前の化石新聞で紹介しましたシガマッコウクジラ、穴沢のクジラ化石、そして今回ご紹介したシナノアロデスムスの頭骨化石と、四賀地域だけで3点も長野県天然記念物があります。これは本当に誇らしいことです。ぜひ一度化石館に訪れて化石の奥深さに触れるとともに、松本城や上高地に並ぶ松本市の魅力として、市外の友達に自慢して下さい。4月からは松本市が中核市に移行します。我々とともに、地元松本の魅力をどんどん発信していきましょう。皆様のご来館をお待ちしております。

シナノアロデスムス発掘地

シナノアロデスムス発掘地(1階ロビー四賀地図パネルより抜粋)

 

☆化石新聞第9刊☆

新年のご挨拶

こんにちは!化石館学芸員の小林です。新年あけましておめでとうございます。昨年はコロナウイルス感染拡大のため、講座の中止などで皆様にご迷惑をお掛けいたしましたが、多くの方々のご来館誠にありがとうございました。現在もコロナウイルス感染拡大が留まることを知らず、不安な毎日が続いております。一日も早くコロナウイルスが収束し、平穏な毎日が戻ることを祈るばかりです。コロナウイルスの影響で確定ではありませんが、今年も四賀化石館では皆様に楽しんでいただけるような講座開催、気持ちよく観覧いただけるような施設運営に努めて参ります。引き続きご愛顧の程宜しくお願い致します。
学芸員の解説の様子

クジラは昔陸を歩いていた?

今回は化石館の主役「シガマッコウクジラ」のご紹介です!おっとその前に…クジラの種類や進化についてお話します。ここで皆さんに質問です。「クジラは昔陸を四足で歩いていたのを知っていますか?」知っていた方はクジラ通です(笑)実はクジラは今からおよそ5千万年前、陸を四足で歩いて生活していました。この頃のクジラ化石として、およそ4900万年前に生息していたパキケタスという化石がパキスタンで発見されています。この化石を見ると、パキケタスがしっかりとした四肢を持っていることが分かります。このような初期のクジラ類は、学術的にムカシクジラ類というグループに属します。

クジラの進化

化石館に展示中のパネルより抜粋

クジラのメガ進化

動物の進化は正しくポケモンの進化のようです(笑)陸上で生活していたムカシクジラ類はやがて日本列島の誕生や海流の変化によって水中で生活するようになりました。ムカシクジラ類が絶滅するとともに、現在生息する2種類のクジラ類に進化しました。この2種類とは、口に歯が並ぶハクジラ類とクジラヒゲを持つヒゲクジラ類です。ハクジラ類の代表的な例は、水族館でよく見かけるイルカやシャチなどの比較的小型のグループです。ヒゲクジラ類の代表的な例は、世界最大のシロナガスクジラで、大きいもので体長35メートルに達するとも言われています。テレビなどでクジラを見かけたら、ヒゲクジラかハクジラかよーく観察してみて下さい。

クジラヒゲ写真

化石館に展示中のクジラヒゲ

長野県天然記念物「シガマッコウクジラ」

それでは、いよいよ化石館の主役「シガマッコウクジラ」をご紹介します。シガマッコウクジラは、およそ30年前に、地元の小学5年生(当時)が発見しました。最初は、小学生が「何かの歯の化石だろう」と大切に保管していた化石が、その後の発掘調査で大発見になりました。なんとなんと、頭から尻尾まで全身のクジラの化石が発見されたのです。このクジラ化石は、およそ1300万年前に生息したマッコウクジラ類の化石であると判明し、世界最古のクジラの全身骨格化石として、長野県の天然記念物に指定されました。松本市民の皆さんは、世界最古のクジラの化石が松本にあるんだぞと是非自慢して下さい。こんな貴重なシガマッコウクジラですが、最大の特徴があります。それは、上あごと下あごに整然と並ぶバナナ状の強靭な歯です。口だけを見ると、肉食恐竜さながらです。現在のマッコウクジラも下あごに小さな歯がありますが、シガマッコウクジラほどしっかりとしていません。対するシガマッコウクジラはその強靭な歯を使って、トドやアシカといった大型の哺乳類を食べたり、巨大なサメ「メガロドン」と戦っていたそうです。様々な研究者の間では、シガマッコウクジラは当時の長野県の海(フォッサマグナの海)で最強の動物だったと言われています。分かりやすく言えば、現在の百獣の王ライオン、鬼滅の刃で言えば鬼狩りの祖:継国縁壱みたいな存在だったということです。シガマッコウクジラといったら、「世界最古」「最強」、この二つのキーワードは是非覚えて下さいね。
     シガマッコウクジラ頭部写真

最後に

以上、今回はクジラの進化とシガマッコウクジラのご紹介でした。今年も化石新聞では、知って得する化石や地学の豆知識をお届けします。もし、こんな記事を書いてほしいというご要望がありましたら、気軽に学芸員にお声かけ下さい。

講座チラシ写真

申し込みなどご不明点は気軽に職員まで

☆新しい四賀地区マップ完成のご案内☆

迫力の四賀地区マップが完成!

 こんにちは!化石館学芸員の小林です。今年は連日雪が降り、冷え込む毎日で音を上げています。長野県生まれ長野県育ちの私ですが、断然夏派です(笑)おすすめの防寒グッズがあったら教えて下さい。
 さて、化石館1階ロビー中央の四賀地区マップが新しくなりました。今回の地図は、化石館職員や地元のイラストレーターさんの協賛の下、地元の方々にもご協力いただきながら約1年を掛けて完成致しました。ご尽力いただいた方々に、この場を借りて御礼申し上げます。
      四賀地区マップ 

新しい地図の魅力

 新しい地図のコンセプトは「海の中の旅」です。ご存じの方も多いかと思いますが、長野県はおよそ1000万年前「フォッサマグナの海」と呼ばれる海でした。長野県が海だった頃を想像しながら四賀の散策をしてもらいたいという想いで、四賀周辺地域を青で塗り、長野県の海を表現しました。シガマッコウクジラやアロデスムスに並ぶ展示として、皆様に楽しんでいただけるような地図に仕上がったと思いますので、ぜひ足を運んでご覧下さい。               

海をコンセプトにした深い青のらせん階段

海をモチーフにした深い青のらせん階段

海を泳ぐミンククジラを表現

海を泳ぐミンククジラを表現

 

新しい地図の楽しみ方

 皆様に海の中を感じていただけるような地図が完成しましたが、より一層楽しめる方法をお伝えします。それは、地図を鑑賞して面白そうな場所に実際に訪れてみることです。小学校時代の理科や社会の授業の風景は覚えてないけれど、社会科見学や課外学習に行った思い出ははっきりと覚えているぞ!という皆さんも多いと思います。百聞は一見に如かずです。実際に触れて、見て、感じることで色々な勉強にも繋がりますし、きっと忘れられない思い出になることでしょう。以下に、学芸員の小林がおすすめする穴場スポットをいくつかご紹介しますので、皆様もぜひ「化石と歴史の街四賀」にぶらり途中下車してみてはいかがでしょうか?

ご希望の方にはポケットサイズの四賀地区マップを配布中です。詳しくは窓口まで。

ご希望の方にはポケットサイズの四賀地区マップを配布しております。詳しくは窓口まで。

学芸員おすすめの四賀穴場スポット①廣田寺(歴史)

 江戸時代は徳川幕府がそれぞれの地域を藩(現在の市町村のようなもの)として置き、幕藩体制という支配体制を採用していました。当時は松本市も松本藩として栄えました。一方で、四賀は鉄砲の玉の原料である鉛が多く産出する地域であったため、松本藩ではなく、江戸幕府が直接的に支配する直轄領に組み込まれました。幕府に大切にされていたため、明治時代初期に起こった「廃仏毀釈」(仏教寺院を破壊し、仏教を排斥した運動)を免れ、今でも四賀にはとても立派で貴重なお寺が数々残っています。
 四賀地区で随一のお寺で私が最初におすすめするのが廣田寺です。曹洞宗のお寺で、戦国時代に小笠原氏や武田信玄に仕えた地元の豪族、会田氏の菩提寺(代々のお墓があるお寺)になっています。屋根をよーく観察すると、「六文銭」の家紋が描かれています。六文銭は真田幸村で有名な真田氏の家紋として知られています。そんな六文銭が何故廣田寺にあるのだと不思議に思いますよね。理由は、「六文銭」は真田氏や会田氏の本家である海野氏の家紋であるからです。つまり、真田氏と会田氏は同じ家を生まれとする親戚です。余談ですが、安曇野市豊科の田沢や光にも海野氏の分家が入っています。とても迫力があるだけではなく、以上のように他の地域との関わりや歴史の趣を感じられる場所ですので、ぜひ足を運んでみて下さい。
     廣田寺の写真

学芸員おすすめの四賀穴場スポット②洞光寺(歴史)

 次におすすめするのは、洞光寺です。私が訪れた際には、住職さんがとてもご親切に案内して下さいました。中でも素晴らしいのは、長野県宝になっている「絹本著色真言八祖像」です。残念ながら普段は一般公開されていないのですが、年に数回お披露目されるみたいなので、強運の方は拝めることができるかもしれません(笑)
 また、本堂入って正面の欄間に描かれた絵は、狩野派の絵師の作品らしく、歴史の奥深さと色の美しさが感じられ、感動しました。他にも、木曽義仲が戦勝祈願の参拝に立ち寄った際、兜を置いたとされる兜石もあります。秋は綺麗な紅葉が見られるようなので、季節は秋がおすすめです。
     洞光寺本堂

学芸員おすすめの四賀穴場スポット③穴沢のクジラ化石(自然)

  続いてご紹介するのは、穴沢のクジラ化石です。昭和11年12月13日、四賀地区穴沢川の左岸で砂防工事中にクジラの化石が発見されました。この化石が発見された昭和11年は、第二次世界大戦開戦のわずか3年前です。よって、一般人が化石の研究や動物の進化について考える余裕などありませんでした。このような時代背景の中、当時の会田村(現四賀会田地区)は、この化石を貴重なものとして現地保存し、天然記念物として申請すべく多額の金銭を投じました。今から80年以上前の関係者らの先見の明によって、13個の椎骨(背骨)、9本の肋骨が産出したままの状態で保存され、今なお残っております。昭和13年に長野県天然記念物に指定され、昭和48年に「穴沢のクジラ化石」として再指定されました。今では「松本のたから」として多くの方に親しまれています。
    穴沢のクジラ化石

最後に

 今回は新しくなった四賀地区マップと学芸員がおすすめする四賀の穴場スポットのご紹介でした。化石で有名な四賀ですが、戦国時代の山城の跡や江戸時代の宿場町が3つ残っており、歴史的にもとても魅力ある場所です。四賀化石館にお立ち寄りの際は、ぜひ地図をご覧になり、オリジナルの散策コースを考えて観光してみてはいかがでしょうか。

 

☆化石新聞第8刊☆

三葉虫について

こんにちは。学芸員の小林です!化石館で働き始めて初の冬になりますが、四賀の朝晩の冷え込みに早くも音を上げそうです(笑)今回は、化石新聞第8刊~三葉虫について~です。三葉虫はアンモナイトに並ぶ代表的な古生物であり、キモかわいいフォルムでお子さんから大人の方まで人気を集めています。しかし、三葉虫の生態や詳しいところまでは知らない方が多いのではないでしょうか。そこで今回は、三葉虫についてひも解いていきます。

三葉虫の由来

三葉虫の名前の由来は、ギリシャ語で「3」を表す「Tria」と葉っぱを表す「Lobus」を日本語訳したところから来ています。これだけ聞いても、まず、「3」と「葉っぱ」の意味が分かりませんよね。この「3」と「葉っぱ」の意味は、三葉虫の背面(人間でいえば背中部分)の殻が真ん中の葉っぱ状の器官(中葉)と左右の葉っぱ状の器官(側葉)によって、3つに区切られているということです。つまり、背面の殻が3つの葉っぱのような器官で構成されているので三葉虫と呼ばれているのです。

今年度の夏休み講座で作成した三葉虫の写真

今年度の夏休み講座で作成した三葉虫

 

三葉虫は何の仲間?

三葉虫は大きなグループで見れば、クモやエビ、昆虫などを含む節足動物で、古生代に海に生息していた生き物です。もう少し細かく見れば、鋏角類(きょうかくるい)というグループに属し、サソリやクモ、カブトガニなどの親戚です。特徴は、あごがなく、触覚はあり、頭と身体の幅が広い寸胴体型なところです。

今年度の夏休み講座で作成した三葉虫の写真

今年度の夏休み講座で作成した三葉虫

 

様々な種類の三葉虫

三葉虫には身体の大きさが違ったり、違う特徴を持っていたりするなど、2万種あまりの個体が報告されています。泥に潜るもの、泳げるものなど様々です。そこで今回は、三葉虫の種類の中で、いくつか面白いものをご紹介します。

  • ナラオイヤカンブリア紀に生息し、背面の殻を持たない裸族系三葉虫。固い殻を持たず、比較的柔らかい器官しか持たないので、化石として残ることは貴重です。
  • レドリキア→真ん中の葉っぱ状の器官(中葉)、左右の葉っぱ状の器官(側葉)がしっかりと見て取れるベーシック系三葉虫。
  • レオプリウリーデス→オルドビス紀に生息し、昆虫のような大きな目(複眼)を持つ細身のお目目ぱっちりアイドル系三葉虫。
  • ファコプス→シルル紀、デボン紀に栄え、三葉虫といえばコレ!というポピュラー系三葉虫。また、外敵が来たら身体を丸めて身を守るダンゴムシ系三葉虫でもあります。
  • ドロトプス→デボン紀に生息し、身体中にトゲを持つ、オラオラ系三葉虫。

最後に

以上、今回は三葉虫の由来から仲間、種類までご紹介いたしました。何となく三葉虫のイメージはできたでしょうか?百聞は一見に如かずです。まずは化石館に来館し、2階に展示中の三葉虫を鑑賞して見てください。はるか太古の海にタイムスリップできます。三葉虫の暮らす海で一緒に生活しているようなイメージで観察してみてはいかがでしょうか?皆様のご来館をお待ちしております。

2階に展示中の三葉虫の写真

2階に展示中の三葉虫

☆大人のための化石教室開催のご案内☆ ※募集を終了致しました。

はじめに

こんにちは。昨日久しぶりにMT車を運転してドキドキした学芸員の小林です!今年度も大人のための化石教室を開催することになりました。コロナウイルス感染拡大のため、全2回のみの開催となりますが、毎年人気の講座ですので、ふるってご予約下さい。なお、予約は2021年1月5日(火)午前9時~お電話にて開始です。満員になり次第募集を締め切らせていただきますのでご了承下さい。詳細は下記をご覧ください。

講座チラシ写真

ご不明点は気軽に職員まで

第1回「松本平の化石についての講義と化石館収蔵庫見学」

  • 日時 2021年1月23日(土)9時~12時
  • 内容 地元の化石研究者で、日本古生物学会会員の小池伯一氏による講義と、現在進めているシガマッコウクジラのオリジナル標本の整理事業を紹介します。収蔵庫内は寒いので温かい服装でご参加下さい。
  • 参加費 通常観覧料(大人310円)
  • 定員 20名
  • 持ち物 飲料水、筆記用具
    昨年の講座の様子

    昨年の講座の様子

第2回「化石クリーニング体験」

  • 日時 2021年2月20日(土)13時~16時30分
  • 内容 たがねとハンマーを使って岩石の中から化石を掘り出すクリーニング作業を体験していただきます。私たちと一緒に長い年月眠っていた化石を起こしてみませんか?
  • 参加費 1名500円
  • 定員 20名
  • 持ち物 飲料水、筆記用具、手袋(軍手など)、草刈りなどで使うゴーグル(お持ちの方のみ)
    昨年の講座の様子

    昨年の講座の様子

注意事項

  • 予約は2021年1月5日(火)午前9時~お電話にて開始いたします。
  • 満員になり次第、募集を締め切らせていただきますので、予めご了承下さい。
  • 対象は高校生以上となります。
  • 新型コロナウイルス対策のため、付き添いでの参加はご遠慮下さいますよう宜しくお願い致します。
  • 新型コロナウイルス対策のため、館内でのマスクの着用、手指の消毒にご協力のほど宜しくお願い致します。

大人のための化石教室とは?

化石教室は、お子様を中心に大人気の講座で、毎年抽選となっています。そこで、大人も参加してみたいという多くのご要望に応え、今年度も「大人のための化石教室」を開催することとなりました。内容的にも、夏秋の化石教室は、体験型でお子様も楽しめる講座であるのに対し、大人のための化石教室は講義中心の本格的な講座です。また、普段聞けないお話を聞くことができたり、普段は入れない収蔵庫に入れたりと、スペシャルな体験ができる講座です。化石の不思議な世界を旅しながら、子供の頃を思い出して楽しんでみませんか?対象は高校生以上です。例年開催しておりますが、初めて参加される方も大歓迎です。たくさんのご参加をお待ちしております。

☆11月の化石教室「レプリカ作りコース」を開催しました☆

はじめに

こんにちは!最近仕事の帰り道によくキツネに遭遇する学芸員の小林です。キツネって聞くと、ずる賢いイメージを持ってしまいますよね。気になったので、インターネットで調べて見たところ、キツネはとても縁起のいい動物で、直観力が働いたり、幸運の兆しが現れるという意味を持った動物であるということが分かりました。幸運の兆しということなので、早速年末ジャンボを買いに行こうかと思います(笑)

石こうでレプリカを作る

さて、先日化石教室「レプリカ作りコース」を開催致しました。今回も10月のレプリカ作りコースと同様、松本市でイラストレーターとしてご活躍されている鈴木さゆり先生に講師を務めていただきました。今回も午前午後満員御礼での開催となりました。多くの方のご参加ありがとうございました。レプリカ作りコースは、石こうを型に流し込んでレプリカを作る工程から始まりました。型は本物の化石から型を取って作ったものなので、レプリカと言えど本物にとてもそっくりです。実は石こうを流し込む工程が一番難易度が高く、小さいお子さんには少し難しかったことと思います。でもとても真剣な表情で、お父さんお母さんと協力しながら、全員見事に成功しました。化石館で定期的にレプリカを作っているのですが、そのお仕事にスカウトしたいくらい上手でした(笑) 

   講師による説明講座全体の写真

わくわくドキドキでレプリカの完成を待つ

石こうを型に流したら、石こうが固まるのを待ちます。この時間が楽しい時間でもあり、上手に出来上がるか不安な時間でもあります。この乾くまでの間に、化石館職員によるギャラリートークを行いました。すでに解説を聞いたことがある人も、初めて聞く人も楽しめるギャラリートークだったのではないでしょうか。ギャラリートークの後、皆さんにクジラの背骨(椎骨)の化石を触ってもらいました。1300万年という歴史の重みを感じていただけたと思います。まさにパワーストーンですので、参加者の皆さんは運気をたくさん吸収できたと思います。私と同じように宝くじ売り場に行くことをおすすめします(笑)

レプリカに命を吹き込む

30分経って、いよいよレプリカが固まりました。しかし、これでレプリカは完成ではありません。できたレプリカに色を塗って命を吹き込んでいきます。この工程が最も個性が出るところです。本物のようにシックに仕上げる方、虹色にカラフルに色付けをする方などなど。中でも面白かったのは、鬼滅の刃のキャラクターのような色で塗るお子さんが多かったことです。こんなところでも、鬼滅ブームをひしひしと感じました。
色塗りに熱中するお子さん

品評会

最後に、出来上がった作品を前に並べて鈴木先生に好評をしていただきました。プロのイラストレーターにたくさん褒めてもらったお子さん達はとても嬉しそうでした。人前で褒めてもらえる機会は中々ないので、とても自信になったと思います。
品評会の写真

最後に

コロナ禍の中、多くのお客様にご参加いただきありがとうございました。早いもので今年最後の講座となってしまい、とても寂しい気持ちです。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、講座の縮小・中止や人数制限など、皆様には大変ご迷惑をお掛けしました。講座に参加できるのを楽しみにしていたのに、参加ができなかった方も多いことと思い、お詫び申し上げます。皆様にご迷惑をお掛けしたにも関わらず、「今年も参加できてとても楽しかったです」「コロナで大変な時に開催してくれてありがとうございます」など、温かいコメントをいただき、感動とともに感謝致しております。来年度も楽しいイベントを開催できるよう努めますので、引き続き宜しくお願い致します。